和書>小説・ノンフィクション>ライトノベル>SF
著者プロフィール
井上 ほのか(いのうえ ほのか)
1964年1月25日生。東京生まれ。水がめ座。血液型O型。国学院大学文・史学科卒業。
「アイドルは名探偵」でデビュー。著書に、「少年探偵セディ・エロル」シリーズ、SFアクション「都市戦記・妖魔アルディーン」、「ルーン・エンジェルス・シリーズ」などがある。
趣味は散歩と大工仕事。少林寺拳法2段。
ホームページ「INOUE BOX」 http://www.catnet.ne.jp/inouebox/
1964年1月25日生。東京生まれ。水がめ座。血液型O型。国学院大学文・史学科卒業。
「アイドルは名探偵」でデビュー。著書に、「少年探偵セディ・エロル」シリーズ、SFアクション「都市戦記・妖魔アルディーン」、「ルーン・エンジェルス・シリーズ」などがある。
趣味は散歩と大工仕事。少林寺拳法2段。
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解説
悪の栄える犯罪都市ネオ・ナリタ。
闇の支配者を倒し、街の救世主となった涼の前に新たな敵が現れた! 香港の女頭目・梨花。彼女の妖艶な美貌と毒をふくむ色香は男たちを狂わせ、涼までもが甘く危険な罠へと誘い込まれる……。だがその裏で、本当の“悪”が狂気の計画を進めていたのだ――。愛と闇の新たなる伝説が始まる!
闇の支配者を倒し、街の救世主となった涼の前に新たな敵が現れた! 香港の女頭目・梨花。彼女の妖艶な美貌と毒をふくむ色香は男たちを狂わせ、涼までもが甘く危険な罠へと誘い込まれる……。だがその裏で、本当の“悪”が狂気の計画を進めていたのだ――。愛と闇の新たなる伝説が始まる!
目次
プロローグ
第一章 霧の夜――香港からの魔手
第二章 ザ・タワー
第三章 錬金術師ファレル
第四章 フェスティバルが近づく
第五章 霧
エピローグ
あとがき
第一章 霧の夜――香港からの魔手
第二章 ザ・タワー
第三章 錬金術師ファレル
第四章 フェスティバルが近づく
第五章 霧
エピローグ
あとがき
抄録
「……そこか、ファレル!」
厚い扉を身体で押して飛びこんだ瞬間、部屋の中のライトがいっせいに消えた。
――これは!?
思うまもなく、前後から奇妙な衝撃がぶつかり、身体が壁にたたきつけられていた。左腕に何かささったような強い痛みを感じた……反射的に手をやろうとした彼は、驚きで息をのむことになる。
――う、動けない! なぜッ!?
そのとき、頭上のライトがふたたびついて、はじめて涼は自分が見事な罠にかかったのを知った。
「ようこそ、闇の皇子……この場所まで」
それはかなりの広さを持つ空間で、白い床と壁のほかには何もなかった。
天井からスタジオのような強い照明が降りそそぎ、たった今の声は、そこからした。
首を振りあげたが、まぶしすぎて何もわからない……だが、向こうからは確かにこちらが見えているようだった。
アルディーンは今、両腕と脚をコの字形にくさびで壁にとめられていた。正面に見えるドアから入ってきた彼を、標本のようにこれで壁に打ちとめたのだ。
手も足も金具に邪魔されて自由にならない。
暗闇でぶつかった物体はすべてこのくさびである。軌道にそって飛ばされたものだとしたら、恐ろしいまでの精巧さだ……。
はじめの衝撃がすぎると、虜は全身でもがきはじめた。
力をありったけ使い、懸命に金具を壁から引き抜こうとしているのを見て、上からの声が楽しげに注意した。まるで洞窟の中のように反響がひどく、耳に痛いほどだ。
「あきらめたまえ、そのくさびは絶対にはずれない。ただの金具ではないよ、強力なマグネットになっているのだ。君といえども、それだけははずせないのだから……ああ、ほら、そうしているからその手から血が出ているじゃないか?」
左腕の上膊をとめる金具だけは、軌道からはずれたのだろうか……涼の腕の真ん中を打ちぬいてとまっている。もがくたび、脈うつような痛みが走った。
――くそッ……こんなバカな!?
じつに気の毒だねェ……上からの声が笑っていた。
「だが、もう一度やりなおすわけにはいかないからな。とにかくようこそ……アルディーン、いかがかね、この場所は? 君がこれから永遠に暮らす部屋だ。気に入ってもらえるとうれしいのだが」
思わず顔に浮かぶ表情がファレルを存分に楽しませていた。そうとも……と彼は言う。
「我々は君を殺すつもりなんて毛頭ないんだ。殺してもどこから生き返ってくるかしれない相手を……そうだろう? だが、自由にしておいては邪魔でたまらない! 今日だってせっかくの筋立てを半分でつぶされてしまった……」
何かと目ざわりなゴードンズ・ガードのリーダーを片づけて、それをオトリにアルディーンを追わせるつもりだったのだが、途中まではダメにされてしまった。一石二鳥の計画とうぬぼれていたのだが、
「まあいいさ。こうして目的ははたした。これで君はもう二度と動けない」
そのくさびはけっして抜けない……この壁はいかなる種類の通信も通さない……。
「気の毒だが食事も水もあげられない。だが“闇の皇子”は死ぬまいね。フフフ、君のその不死身に近い身体があだになるわけさ。君はこれから未来永劫この部屋で、生きることも死ぬこともできずに苦しみつづける……」
“アッ……ウアッ”脇腹と首筋に、背後からのびてきた針がささったのだ。声は言う。
「痛かったかね? だがそれは君の生命維持に必要なものなんだ」
ここで心電図をモニターして、あぶなくなったらいく分か栄養をあたえてやろう。
「貴様……ファレル……」
妖魔の怒りにふるえる声が、呪いをこめるように部屋にこだました。
厚い扉を身体で押して飛びこんだ瞬間、部屋の中のライトがいっせいに消えた。
――これは!?
思うまもなく、前後から奇妙な衝撃がぶつかり、身体が壁にたたきつけられていた。左腕に何かささったような強い痛みを感じた……反射的に手をやろうとした彼は、驚きで息をのむことになる。
――う、動けない! なぜッ!?
そのとき、頭上のライトがふたたびついて、はじめて涼は自分が見事な罠にかかったのを知った。
「ようこそ、闇の皇子……この場所まで」
それはかなりの広さを持つ空間で、白い床と壁のほかには何もなかった。
天井からスタジオのような強い照明が降りそそぎ、たった今の声は、そこからした。
首を振りあげたが、まぶしすぎて何もわからない……だが、向こうからは確かにこちらが見えているようだった。
アルディーンは今、両腕と脚をコの字形にくさびで壁にとめられていた。正面に見えるドアから入ってきた彼を、標本のようにこれで壁に打ちとめたのだ。
手も足も金具に邪魔されて自由にならない。
暗闇でぶつかった物体はすべてこのくさびである。軌道にそって飛ばされたものだとしたら、恐ろしいまでの精巧さだ……。
はじめの衝撃がすぎると、虜は全身でもがきはじめた。
力をありったけ使い、懸命に金具を壁から引き抜こうとしているのを見て、上からの声が楽しげに注意した。まるで洞窟の中のように反響がひどく、耳に痛いほどだ。
「あきらめたまえ、そのくさびは絶対にはずれない。ただの金具ではないよ、強力なマグネットになっているのだ。君といえども、それだけははずせないのだから……ああ、ほら、そうしているからその手から血が出ているじゃないか?」
左腕の上膊をとめる金具だけは、軌道からはずれたのだろうか……涼の腕の真ん中を打ちぬいてとまっている。もがくたび、脈うつような痛みが走った。
――くそッ……こんなバカな!?
じつに気の毒だねェ……上からの声が笑っていた。
「だが、もう一度やりなおすわけにはいかないからな。とにかくようこそ……アルディーン、いかがかね、この場所は? 君がこれから永遠に暮らす部屋だ。気に入ってもらえるとうれしいのだが」
思わず顔に浮かぶ表情がファレルを存分に楽しませていた。そうとも……と彼は言う。
「我々は君を殺すつもりなんて毛頭ないんだ。殺してもどこから生き返ってくるかしれない相手を……そうだろう? だが、自由にしておいては邪魔でたまらない! 今日だってせっかくの筋立てを半分でつぶされてしまった……」
何かと目ざわりなゴードンズ・ガードのリーダーを片づけて、それをオトリにアルディーンを追わせるつもりだったのだが、途中まではダメにされてしまった。一石二鳥の計画とうぬぼれていたのだが、
「まあいいさ。こうして目的ははたした。これで君はもう二度と動けない」
そのくさびはけっして抜けない……この壁はいかなる種類の通信も通さない……。
「気の毒だが食事も水もあげられない。だが“闇の皇子”は死ぬまいね。フフフ、君のその不死身に近い身体があだになるわけさ。君はこれから未来永劫この部屋で、生きることも死ぬこともできずに苦しみつづける……」
“アッ……ウアッ”脇腹と首筋に、背後からのびてきた針がささったのだ。声は言う。
「痛かったかね? だがそれは君の生命維持に必要なものなんだ」
ここで心電図をモニターして、あぶなくなったらいく分か栄養をあたえてやろう。
「貴様……ファレル……」
妖魔の怒りにふるえる声が、呪いをこめるように部屋にこだました。
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