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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・スペシャル・エディション

令嬢と騎士

令嬢と騎士


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・スペシャル・エディション
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アーリーン・ジェイムズ(Arlene James)
 少女時代をオクラホマで過ごし、以来ずっと南部で暮らしている。1976年に“世界で一番ロマンティックな男性”と結婚。二人の息子に恵まれた。夫とともに旅行も楽しむが、小説を書いているときが一番充実しているという。25年あまりのあいだに、50編を超える作品を発表している。

解説

 ■屋敷も車も、財産はすべて奪われたローレル。彼女は今、エドワードにすがるしかなかった。

 ■ここに来たのは間違いだったかしら? もう何度めかわからないが、ローレルはあらためてそう思った。エドワード・ホワイト弁護士の事務所の控え室は、ダラスの町の高級な一郭にふさわしく、とても贅沢な内装で、彼の有能ぶりがうかがえる。これまで六人もの弁護士に断られ、彼が最後の頼みだった。祖母の死後、財産を管理していた弁護士は、別れた夫とともに態度を一変させ、彼女が財産を相続できる時期を、いつまでもあいまいにしている。ローレルは代々住んだ屋敷から、無一文でほうり出され、食堂のウェイトレスをしながら、やっと暮らしを立てている。わたしひとりなら、このままでも生きていける。でも、幼いバリーのことを思うと、この先、満足に育てていける自信はない。彼に裁判で、財産のいくらかでも取り戻してもらえたら、報酬もきっと支払えるはず……。だけど、こんな条件で彼ははたして弁護を引き受けてくれるだろうか? ローレルはすがる思いで、彼の部屋の扉が開くのを待っていた。

抄録

 エドワードは宙を見つめてローレルの言ったことを頭の中で繰り返し、何か分別のある、正気の相手の言葉として聞き取ろうとした。だが、結局あきらめて、内容はともかく声は正しく聞いたのだと認めた。すると怒りが全身にこみ上げてきた。この女性は自分を何だと思っているのだろう? 彼女ほどの容姿と名前があれば、男はみんな手を出したがるとでも思っているのだろうか? それとも、自分自身を安っぽく考えるあまり、助けてくれる男ならだれにでも身を売るのだろうか? それを知る方法はひとつだけわかっている。
 エドワードはローレルのすぐそばに行ってデスクにもたれ、笑顔で彼女を見下ろした。見上げる顔には邪気がなく、信頼さえこもっているように見える。「さてと……」腕を組み、軽く言った。「ぼくには、あなたと結婚したら幸せになれると、どうすればわかるのかな? 試してみましょうか」彼はさっとローレルを抱き寄せると、こっけいなほど大きく見開いた彼女の目を無視して唇を合わせた。
 ローレルは小さく声をあげたが、まともな抵抗はしなかった。この甘ったれた金持ちの女性には教訓が必要だ。エドワードは不可解にも自分がその教訓を与えてやろうという気になり、ローレルの体に腕を絡めて口の中に舌を差し入れた。彼女の手が自分のジャケットをつかむのがぼんやりと感じられた。その瞬間、彼はなぜか自分のしようとしていたことがわからなくなり、いつの間にか片手はローレルの肩胛骨の間に、もう一方の手はウエストにあった。強引に入りこんだ舌は、そんな気はないのに彼女の口の内側をまさぐる動きに変わった。ローレルは彼のジャケットから手を放して、うなじにすべらせた。ぴったりと寄り添った彼女の体は、ほっそりとしていながら意外に豊かな曲線を描いていた。
 今まで感じたことのない欲求がエドワードの中に広がった。ローレルの腰に手をあてて引き寄せると、彼女は息を止め、次の瞬間、その息をエドワードの口の中にもらした。エドワードは思わず体を震わせた。そのときになってやっと、今にも自制心を失いそうになっていたのがわかった。後少しでもこんなことをしていたら、彼女をデスクに横たえて……。
 エドワードはさっと立ち上がって、ローレルを押しのけた。彼女は焦点の合わない目でじっとエドワードを見つめた。少しはれた唇がほころんで、うっとりした笑みをたたえている。ついで、焦点が合ってくるとともに、そこには怒りではなく、うろたえた表情が浮かんだ。
「ああ」すらりとした手先が口元を押さえた。「わたし、何てことを」
 起きたことがまだ信じられないような顔をしている。エドワードはいらいらして、荒い足取りでデスクの向こう側に戻るなり、どなった。「あなたはどうかしてるんだ」
 ローレルは目に見えて縮み上がった。エドワードは髪に手を走らせ、その手が震えていることに気づいてはっとした。こんなことになったのはこの女性のせいだ、百パーセント彼女のせいだ。
「あなたはいつもこうやって問題を解決するんですか? 初めて出会った弁護士と結婚までして」
「あなたが初めての弁護士ではありません」おずおずした声だ。
「ほう、じゃあ、ほかの何人にプロポーズしたんです? 二人? 四人? まったく何てことだ!」
 ローレルはきつく唇を結んだ。小さな口は非の打ちどころがなく、緑の目はとても大きく、まつげはすばらしく長い。エドワードはそのことにますます腹が立ち、当面の問題に気持を集中しようとした。もしも自分が、ダラス中の弁護士の半分にプロポーズした、男好きの女の──しかも、ほかならぬヘフィントン家の人間の──代理人を引き受けるなどと人に知られたら、弁護士会でどんな話が飛び交うか想像がつくというものだ!
「何人の弁護士にプロポーズしたんですか?」できるかぎり、低く抑えた声で尋ねる。
「だれにも……あ、あなた以外には」
「ダニエル・ハーデイカーはどうなんです?」
「彼がわたしにプロポーズしたんです。わたしじゃありません。それに断りました」きっぱりと答えた。
 そうか、彼女はハーデイカーを拒み、ぼくにはプロポーズしたのだ──ぼくだけに。しかも、ぼくにキスされると熱く燃え上がった。エドワードは心にもなく頭に浮かんだその考えを押しのけ、渋い顔で言った。「ハーデイカーより高く買われても、祝う気持にはなれませんね」
「おっしゃるとおりです、もちろん」ローレルは悲しげだが完全に落ち着いていて、なぜか彼はそのことにもいらだった。
「こんなことは正気の沙汰じゃないですよ!」
 彼女は慎重に言葉を選んだ。「わたしはただ、この地域の財産法からして、結婚すれば、あなたは少なくともわたしの相続財産の半分は保証されると思ったんです。あなたへの支払いが保証されるから、わたしの訴訟を引き受けていただけるかと」
 これほど必死な相手と出会ったのは、実に久しぶりだった。エドワードの依頼人は、本当に必死になるには、たいてい金がありすぎるのだ。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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