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著者プロフィール
アガサ・クリスティ
(1890〜1976)
イギリスを代表するミステリ作家。名探偵エルキュール・ポアロのシリーズなど、探偵物がよく知られているが、他にもスパイ風の作品やミステリ以外の作品なども数多くある。映画化された作品も多く、世界的に知名度の高いミステリ作家。
(1890〜1976)
イギリスを代表するミステリ作家。名探偵エルキュール・ポアロのシリーズなど、探偵物がよく知られているが、他にもスパイ風の作品やミステリ以外の作品なども数多くある。映画化された作品も多く、世界的に知名度の高いミステリ作家。
解説
ポワロは、フランス滞在中の大富豪ルノールから「警察の力を借りたくない、助力を頼む」という手紙を受け取る。急ぎフランスの小さな町メルランビーユへ飛んだポワロを待ち受けていたのは、建設中のゴルフ場の一画で刺殺された富豪の死体だった。パリ警察の派遣した探偵ジローとの捜査の知恵くらべが進展するなか、富豪とは関係のなさそうに思われる浮浪者が同じ凶器の犠牲に……クリスティのポワロもの長編第2作。
目次
謎の招待状
私の名はシンデレラ
ポワロの予感
ジュヌビエーブ荘
ベラと署名した手紙
動いていた腕時計
ジロー探偵の自信
花壇の足跡
第二の死体
わが友、シンデレラ
両探偵、対立す
秘書は呆気にとられた
出帆しなかった息子
ポワロ、夫人を疑う
また一人、殺された!
死後四十八時間以上
謎の浮浪人
パリみやげ
ベロルディ事件
墓穴を掘ったのは男である
マルト嬢の見たこと
ジャック逮捕さる
ポワロの脳細胞に映ったもの
ベラの顔……シンデレラの顔
愛はすべてを
恋がやってきたのですね
ベラ嬢姉妹の失踪
ポワロ、五百フランを賭ける
自首してきた真犯人
私あての手紙
その夜の出来事
旅路の終り
訳者あとがき
私の名はシンデレラ
ポワロの予感
ジュヌビエーブ荘
ベラと署名した手紙
動いていた腕時計
ジロー探偵の自信
花壇の足跡
第二の死体
わが友、シンデレラ
両探偵、対立す
秘書は呆気にとられた
出帆しなかった息子
ポワロ、夫人を疑う
また一人、殺された!
死後四十八時間以上
謎の浮浪人
パリみやげ
ベロルディ事件
墓穴を掘ったのは男である
マルト嬢の見たこと
ジャック逮捕さる
ポワロの脳細胞に映ったもの
ベラの顔……シンデレラの顔
愛はすべてを
恋がやってきたのですね
ベラ嬢姉妹の失踪
ポワロ、五百フランを賭ける
自首してきた真犯人
私あての手紙
その夜の出来事
旅路の終り
訳者あとがき
抄録
ある若い小説家が、疲れはてている編集者の注意を、自分の作品に釘付けにする効果をあげ得るような独創的で力強い書き出しをしようと決心して、つぎのような文句を書いたという、有名なエピソードがあったと思う。
――「畜生!」と侯爵夫人はいいたまいぬ
妙なことに、私のこの物語も、これと同じ形式で始まるのである。ただしこういう言葉を口にした女性は、侯爵夫人ではなかった。
それは六月の初旬であった。私はパリである商取引をすませて、朝の列車で、旧友である元探偵、ベルギー人のエルキュール・ポワロと同居している、ロンドンの宿へ帰る途中であった。
カレー特急は、珍しくすいていた……実際に、私の車室には、ほかに乗客は一人いるだけであった。私はひどく急いでホテルをたつ羽目になったので、発車した時には、自分の荷物を全部、まちがいなく持ち込んだかどうかを調べるのに忙殺されていて、自分の同室者には、ほとんど注意を払わなかったが、その時、彼女の存在を強く意識させられたのであった。彼女は急に立ちあがって、ガラス戸をおろし、窓から首を突き出したと思うと、すぐに引っこめて、短い激しい感投詞を口にしたのであった。
「畜生!」
元来私は、旧式な人間なので、女は女らしくするべきだと考えていた。朝から晩まで、陽気にはしゃぎまわったり、煙突みたいに、煙草の煙をあげ続けたり、ビリングゲイトの魚屋のおかみさんのような言葉づかいをする、神経病者みたいな近代女性には、我慢がならないのであった。
私は、いささか眉をひそめて、モダーンな紅い帽子をいただいた、美しい無遠慮な顔を見あげた。ゆたかな黒いカールが両耳をかくしている。まだ十七歳そこそこの年頃と思われるのに、顔におしろいをつけ、唇も不自然に真っ赤にしていた。
彼女は、何ら恥ずる様子もなく、私の凝視を受けとめて、表情たっぷりに顔をしかめて見せた。
……冒頭より
――「畜生!」と侯爵夫人はいいたまいぬ
妙なことに、私のこの物語も、これと同じ形式で始まるのである。ただしこういう言葉を口にした女性は、侯爵夫人ではなかった。
それは六月の初旬であった。私はパリである商取引をすませて、朝の列車で、旧友である元探偵、ベルギー人のエルキュール・ポワロと同居している、ロンドンの宿へ帰る途中であった。
カレー特急は、珍しくすいていた……実際に、私の車室には、ほかに乗客は一人いるだけであった。私はひどく急いでホテルをたつ羽目になったので、発車した時には、自分の荷物を全部、まちがいなく持ち込んだかどうかを調べるのに忙殺されていて、自分の同室者には、ほとんど注意を払わなかったが、その時、彼女の存在を強く意識させられたのであった。彼女は急に立ちあがって、ガラス戸をおろし、窓から首を突き出したと思うと、すぐに引っこめて、短い激しい感投詞を口にしたのであった。
「畜生!」
元来私は、旧式な人間なので、女は女らしくするべきだと考えていた。朝から晩まで、陽気にはしゃぎまわったり、煙突みたいに、煙草の煙をあげ続けたり、ビリングゲイトの魚屋のおかみさんのような言葉づかいをする、神経病者みたいな近代女性には、我慢がならないのであった。
私は、いささか眉をひそめて、モダーンな紅い帽子をいただいた、美しい無遠慮な顔を見あげた。ゆたかな黒いカールが両耳をかくしている。まだ十七歳そこそこの年頃と思われるのに、顔におしろいをつけ、唇も不自然に真っ赤にしていた。
彼女は、何ら恥ずる様子もなく、私の凝視を受けとめて、表情たっぷりに顔をしかめて見せた。
……冒頭より
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