和書>小説・ノンフィクション>文芸>海外文学>アメリカ文学
著者プロフィール
マーク・トウェイン(1835〜1910)
本名サミュエル・ラングホーン・クレメンズ。アメリカの作家。皮肉たっぷりのユーモアや痛烈な社会批判を新鮮なアメリカ英語で展開、現代アメリカ文学の先駆者のひとりといわれる。
ミズーリ州の寒村フロリダに生まれ、4歳のとき、一家でミシシッピ川の港町ハンニバルに移った。公立学校に通ったが、1847年、父の死により、地元の印刷屋の従弟になった。51年、長兄オリオンの関係するハンニバル・ジャーナル誌の植字工となり、かたわら、小品の投稿を始めた。65年、カリフォルニアの金鉱で耳にした話を改作したほら話、「ジム・スマイリーとその跳び蛙」をニューヨークの新聞に発表して大評判となり、一躍有名になった。これは67年、「その名も高きキャラベラス郡の跳び蛙」と改題して出版された。同年、トウェインはヨーロッパとパレスチナの聖地を旅行した。「無邪気な外遊記」(1869)はこの旅を題材にしたもので、アメリカ人観光客が感動する旧大陸の文化の滑稽な面を、茶化し、笑いとばしている。70年、東部の上流階級の娘オリビア・ラングドンと結婚。ニューヨーク州バファローで生活したのち、コネティカット州ハートフォードに移った。彼の傑作の多くは、70年代および80年代に、ハートフォードかニューヨーク州エルミラ近郊の夏の別荘で書かれた。
「苦難を乗り切って」(1872)は、鉱夫や記者をしていたころの冒険を描いたもので、「トム・ソーヤの冒険」(1876)は、ミシシッピの川辺で過ごした少年時代を懐かしんで書かれた。「海外徒歩旅行」(1880)は、ドイツのシュワルツワルトと、スイスのアルプスを踏破したときの話である。「王子と乞食」(1882)は、イギリスのチューダー朝を舞台にした、王子と乞食が身分を交換するという物語で、子供向けに書かれた。「ミシシッピ川の生活」(1883)は、水先案内人をしていた頃の経験を、20年後の再訪と関連させて書いた自伝的な物語である。
晩年は著作活動の衰えがみられたが、名士として、公的な問題にしばしば発言した。1907年には、オックスフォード大学から名誉博士号を授与された。死後に残された未完の自伝は、秘書のアルバート・ペインによって編集され、1924年に出版された。
本名サミュエル・ラングホーン・クレメンズ。アメリカの作家。皮肉たっぷりのユーモアや痛烈な社会批判を新鮮なアメリカ英語で展開、現代アメリカ文学の先駆者のひとりといわれる。
ミズーリ州の寒村フロリダに生まれ、4歳のとき、一家でミシシッピ川の港町ハンニバルに移った。公立学校に通ったが、1847年、父の死により、地元の印刷屋の従弟になった。51年、長兄オリオンの関係するハンニバル・ジャーナル誌の植字工となり、かたわら、小品の投稿を始めた。65年、カリフォルニアの金鉱で耳にした話を改作したほら話、「ジム・スマイリーとその跳び蛙」をニューヨークの新聞に発表して大評判となり、一躍有名になった。これは67年、「その名も高きキャラベラス郡の跳び蛙」と改題して出版された。同年、トウェインはヨーロッパとパレスチナの聖地を旅行した。「無邪気な外遊記」(1869)はこの旅を題材にしたもので、アメリカ人観光客が感動する旧大陸の文化の滑稽な面を、茶化し、笑いとばしている。70年、東部の上流階級の娘オリビア・ラングドンと結婚。ニューヨーク州バファローで生活したのち、コネティカット州ハートフォードに移った。彼の傑作の多くは、70年代および80年代に、ハートフォードかニューヨーク州エルミラ近郊の夏の別荘で書かれた。
「苦難を乗り切って」(1872)は、鉱夫や記者をしていたころの冒険を描いたもので、「トム・ソーヤの冒険」(1876)は、ミシシッピの川辺で過ごした少年時代を懐かしんで書かれた。「海外徒歩旅行」(1880)は、ドイツのシュワルツワルトと、スイスのアルプスを踏破したときの話である。「王子と乞食」(1882)は、イギリスのチューダー朝を舞台にした、王子と乞食が身分を交換するという物語で、子供向けに書かれた。「ミシシッピ川の生活」(1883)は、水先案内人をしていた頃の経験を、20年後の再訪と関連させて書いた自伝的な物語である。
晩年は著作活動の衰えがみられたが、名士として、公的な問題にしばしば発言した。1907年には、オックスフォード大学から名誉博士号を授与された。死後に残された未完の自伝は、秘書のアルバート・ペインによって編集され、1924年に出版された。
解説
ミシシッピ川にのぞむちっぽけな町を舞台に、野生児トムが騒動を巻き起こす!
宝探し、いかだ下り、小島での野営、洞窟での恐怖……冒険を通じて少年は多くのことを学んでいく。世界中で愛され続けている名作!
宝探し、いかだ下り、小島での野営、洞窟での恐怖……冒険を通じて少年は多くのことを学んでいく。世界中で愛され続けている名作!
目次
第一章 すてきな悪童
第二章 塀(へい)ぬりのペテン
第三章 あこがれの君
第四章 日曜学校異変
第五章 ハサミ虫騒動(そうどう)
第六章 ハックルベリーとの出会い
第七章 求愛のしくじり
第八章 あこがれの海賊
第九章 墓地の殺人
第十章 不吉な犬声
第十一章 良心のとがめ
第十二章 ねこに劇薬(げきやく)
第十三章 海賊の船出
第十四章 島のキャンプ
第十五章 ひそかな帰宅
第十六章 秘密の計画
第十七章 あらし
第十八章 自分の葬式
第十九章 恋のかけひき
第二十章 トムのいいぬけ
第二十一章 罪のひっかぶり
第二十二章 学芸会の珍景
第二十三章 ついてない休暇
第二十四章 意外な証言
第二十五章 あとのたたり
第二十六章 宝さがし
第二十七章 幽霊屋敷の財宝
第二十八章 なぞの二号室
第二十九章 つきとめた巣
第三十章 ピクニックの夜の恐怖
第三十一章 一難、また一難
第三十二章 洞穴(ほらあな)の危機
第三十三章 奇跡の生還
第三十四章 さがしあてた宝
第三十五章 あらわれた大金
第三十六章 盗賊団結成
むすび
年譜
あとがき
第二章 塀(へい)ぬりのペテン
第三章 あこがれの君
第四章 日曜学校異変
第五章 ハサミ虫騒動(そうどう)
第六章 ハックルベリーとの出会い
第七章 求愛のしくじり
第八章 あこがれの海賊
第九章 墓地の殺人
第十章 不吉な犬声
第十一章 良心のとがめ
第十二章 ねこに劇薬(げきやく)
第十三章 海賊の船出
第十四章 島のキャンプ
第十五章 ひそかな帰宅
第十六章 秘密の計画
第十七章 あらし
第十八章 自分の葬式
第十九章 恋のかけひき
第二十章 トムのいいぬけ
第二十一章 罪のひっかぶり
第二十二章 学芸会の珍景
第二十三章 ついてない休暇
第二十四章 意外な証言
第二十五章 あとのたたり
第二十六章 宝さがし
第二十七章 幽霊屋敷の財宝
第二十八章 なぞの二号室
第二十九章 つきとめた巣
第三十章 ピクニックの夜の恐怖
第三十一章 一難、また一難
第三十二章 洞穴(ほらあな)の危機
第三十三章 奇跡の生還
第三十四章 さがしあてた宝
第三十五章 あらわれた大金
第三十六章 盗賊団結成
むすび
年譜
あとがき
抄録
「そこにいるのは、だれだ?」
「トム・ソーヤー、カリブ海の復讐鬼(ふくしゅうき)だ。名を名のれ」
「血まみれ手のハック・フィンと、大海の魔王ジョー・ハーパーだ」
これらのあだ名は、トムが愛読書からとって、つけてやったものだ。
「よし。合いことばを」
二つのしゃがれ声が、同じ恐ろしいことばを、たれこめた夜のしじまに、低くつぶやいた。
「血!」
そこでトムはハムをがけから投げ落とし、つづいて自分もすべりおり、おかげで皮膚(ひふ)をすりむくやら、服をずたずたにひき裂いた。がけ下の岸ぞいには、楽な、気持ちのいい道がついていたのだが、そこを行くのは、困難さも危険な妙味もうすくて、海賊のこけんにかかわるというわけだった。
「大海の魔王」はベーコンのわき肉を持ってきていたものの、それをここまで運んでくるのに、まるで疲れきってしまっていた。「血まみれ手」のフィンはフライパンと、なまがわきの葉タバコをいくらかぬすみ出し、それにパイプとして使うように二、三本のトウモロコシの軸(じく)を持ってきていた。けれど、海賊の中でタバコをすったり、しがんだりするのは、フィンのほかにはいなかった。「カリブ海の復讐鬼(ふくしゅうき)」は、まず火を起こさなければだめだ、といった。賢明な考えだった。当時は、マッチなど、ほとんど知られていなかったのである。百メートルほど上流の、大きないかだの上で、火がくすぶっているのが見えた。三人はこっそり近よって、燃えさしのまきを一本、かってにちょうだいした。これも大冒険よろしくかまえて、ときどき「しっ!」といったり、とつぜん、口に指を当てて立ち止まったり、さしているつもりの短剣の〈つか〉に手をかけるまねをしたり、「敵」が身動きでもしたら、「ぐさり、〈つか〉までやっちまえ」、「死人に口なし」だから、とすごみをきかせて命令をささやいたりした。いかだの連中はみんな川下の村へ出かけて、用品をしこんでいるか、らんちき騒ぎをやっているかだということは、三人ともによく知ってはいたが、だからといって、火ぬすみを海賊らしくないやりかたでやるのは、面目がたたなかったのである。
やがて、三人はいかだを押し出した。トムが指揮をとり、ハックがともの、ジョーがへさきのかいをひきうけた。トムは船のまんなかにつっ立ち、まゆをけわしく、腕ぐみして、低い、きびしい小声で命令した。
「風上に向けろ!」
「はい、よう!」
「そのまま進行!」
「進行!」
「一ポイント進路をかえよ!」
「一ポイント変更(へんこう)!」
三人はじっくり単調に、いかだを流れの中ほどへ進めていただけのことで、これらの命令も「かっこう」をつけるだけのためで、これという意味のないのは、知れきっていた。
「どんな帆(ほ)をつけているか」
「下桁横帆(かこうおうはん)、上檣帆(じょうしょうはん)、先斜檣帆(せんしゃしょうはん)」
「最上檣帆上げろ! ひろげる、六人がかり――前檣中檣の補助帆! はりきって!」
「はい、よう!」
「大二接檣帆をひろげろ! 帆脚索(ほあしづな)と転桁索(てんこうづな)を! さあ、みんな!」
「はい、よう!」
「舵(かじ)、下手(しもて)へ――面舵(おもかじ)、いっぱい! 船が来るぞ、用意せよ! 面舵、面舵! そら、みんな! 気合いをこめて! そのまま進行!」
「進行!」
「トム・ソーヤー、カリブ海の復讐鬼(ふくしゅうき)だ。名を名のれ」
「血まみれ手のハック・フィンと、大海の魔王ジョー・ハーパーだ」
これらのあだ名は、トムが愛読書からとって、つけてやったものだ。
「よし。合いことばを」
二つのしゃがれ声が、同じ恐ろしいことばを、たれこめた夜のしじまに、低くつぶやいた。
「血!」
そこでトムはハムをがけから投げ落とし、つづいて自分もすべりおり、おかげで皮膚(ひふ)をすりむくやら、服をずたずたにひき裂いた。がけ下の岸ぞいには、楽な、気持ちのいい道がついていたのだが、そこを行くのは、困難さも危険な妙味もうすくて、海賊のこけんにかかわるというわけだった。
「大海の魔王」はベーコンのわき肉を持ってきていたものの、それをここまで運んでくるのに、まるで疲れきってしまっていた。「血まみれ手」のフィンはフライパンと、なまがわきの葉タバコをいくらかぬすみ出し、それにパイプとして使うように二、三本のトウモロコシの軸(じく)を持ってきていた。けれど、海賊の中でタバコをすったり、しがんだりするのは、フィンのほかにはいなかった。「カリブ海の復讐鬼(ふくしゅうき)」は、まず火を起こさなければだめだ、といった。賢明な考えだった。当時は、マッチなど、ほとんど知られていなかったのである。百メートルほど上流の、大きないかだの上で、火がくすぶっているのが見えた。三人はこっそり近よって、燃えさしのまきを一本、かってにちょうだいした。これも大冒険よろしくかまえて、ときどき「しっ!」といったり、とつぜん、口に指を当てて立ち止まったり、さしているつもりの短剣の〈つか〉に手をかけるまねをしたり、「敵」が身動きでもしたら、「ぐさり、〈つか〉までやっちまえ」、「死人に口なし」だから、とすごみをきかせて命令をささやいたりした。いかだの連中はみんな川下の村へ出かけて、用品をしこんでいるか、らんちき騒ぎをやっているかだということは、三人ともによく知ってはいたが、だからといって、火ぬすみを海賊らしくないやりかたでやるのは、面目がたたなかったのである。
やがて、三人はいかだを押し出した。トムが指揮をとり、ハックがともの、ジョーがへさきのかいをひきうけた。トムは船のまんなかにつっ立ち、まゆをけわしく、腕ぐみして、低い、きびしい小声で命令した。
「風上に向けろ!」
「はい、よう!」
「そのまま進行!」
「進行!」
「一ポイント進路をかえよ!」
「一ポイント変更(へんこう)!」
三人はじっくり単調に、いかだを流れの中ほどへ進めていただけのことで、これらの命令も「かっこう」をつけるだけのためで、これという意味のないのは、知れきっていた。
「どんな帆(ほ)をつけているか」
「下桁横帆(かこうおうはん)、上檣帆(じょうしょうはん)、先斜檣帆(せんしゃしょうはん)」
「最上檣帆上げろ! ひろげる、六人がかり――前檣中檣の補助帆! はりきって!」
「はい、よう!」
「大二接檣帆をひろげろ! 帆脚索(ほあしづな)と転桁索(てんこうづな)を! さあ、みんな!」
「はい、よう!」
「舵(かじ)、下手(しもて)へ――面舵(おもかじ)、いっぱい! 船が来るぞ、用意せよ! 面舵、面舵! そら、みんな! 気合いをこめて! そのまま進行!」
「進行!」
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※注意 同一の書籍でもファイル形式が異なるものは別商品として取り扱っております。
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