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悪魔との甘美な契約

悪魔との甘美な契約


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャンテル・ショー(Chantelle Shaw)
 イギリスの作家。ロンドン育ちで、頭の中でおはなしを作るのが大好きな少女だった。二十歳で結婚、第一子の誕生とともにケント州の海辺に移り、現在に至っている。浜を散歩しながら小説の構想を練るという。趣味はガーデニングやハイキング。六人の子供の母親でもある。

解説

 ギリシア人大富豪の愛人となった母に連れられ、ルイーズは少女のころからよくエーゲ海の小島にある邸宅を訪れた。富豪の息子ディミトリは家庭を壊した彼女の母を憎み、冴えない娘のルイーズにいたっては目もくれなかった。彼の甘い言葉に誘われて身を捧げた、19歳のあの日までは。喜びもつかのま、「あなたは復讐の道具にされたのよ」と母に教えられ、ショックを受けたルイーズはお腹に宿った命にも気づかず、一刻も早く島から逃げようとボートに飛び乗ったのだった。7年後、ルイーズは重い病をわずらった母を助けるため、二度と会いたくなかったディミトリのもとへと向かう……。

 ■母のことを娼婦と蔑む悪魔のような男性、そして、少女のころから密かに想いを寄せていた初恋の人――ルイーズにとっては、ディミトリは時を経てもなお心をかき乱す大きな存在でした。そんな彼とある契約を結ばなければならなくなった彼女の運命は?

抄録

 異常な速さで脈打つ手首を親指でさすられて気もそぞろになり、ルイーズは震える声でしどろもどろに返すのがやっとだった。「エ、エッフェル塔にのぼりたいの?」
 特にのぼりたいわけではなかったが、せっかくの夜をこのまま終わらせたくなかった。ナイトクラブに誘っても、おそらく彼女は断るだろう。食事がすんだら、おやすみの挨拶をするに違いない。彼はルイーズを帰らせたくなかった。もっと彼女と過ごしたい。もっと彼女をよく知りたい。正直に認めるなら、その黒いシルクを脱がせ、素肌の胸にキスをして腹部に唇を這わせたい……。
 ディミトリは鋭く息を吸い、彼女を説得することに意識を集中させた。「実を言うと、エレベーターでいちばん上まで行ってみたかった」
 セクシーな笑みを見せつけられ、ルイーズの鼓動はいっきに速くなった。「それは賢明だわ。階段でのぼったら、優に千段はありそうだもの」
「よし、決まりだ。その前にデザートは? あるいはシャンパンのお代わりは?」
「いいえ、けっこうよ。ごちそうさま」ルイーズは慌てて断った。食欲は失せ、最初の二品を食べるのがやっとだった。シャンパンに至っては、すでにかなり飲みすぎた。体の中で泡がはじけ、大胆で向こう見ずな気分をあおっている。
 しかしルイーズは心の奥では知っていた。体じゅうの神経が信じられないほど過敏になっているのは、シャンパンではなくディミトリのせいだ、と。
 レストランを出て外の新鮮な空気を吸ったときには、ルイーズは心からほっとした。穏やかな風がほてった顔を冷やしてくれる。目の前には、巨大なエッフェル塔がライトアップされて夜空を背景に金色に輝いていた。
 夜の遅い時刻にもかかわらず、パリ随一の名所にはエレベーターを待つ短い列ができていた。二人の前に並ぶ若いカップルはパリのロマンティックな雰囲気に酔い、ぴたりと身を寄せている。
 こんなふうに愛し合えたらすてきでしょうね。ルイーズは切なくなった。
 人目をはばからずに思いをぶつけ合うカップルを見ているうちに、はるか昔のイレネ島での記憶が呼び覚まされた。あのとき、激しく唇を重ねるディミトリに、私は懸命に応えた……。全身が急速に熱くなり、ルイーズはもはやディミトリにも、キスをしているカップルにも、視線を向けることができなくなった。しかたなく下を向き、砂利まじりのアスファルトに心を奪われたかのように見入っていた。
 二人はひとつ目のエレベーターで三階まで上り、二つ目のエレベーターで最上階まで上がった。通路に足を踏み出す際、ディミトリが息をのむ音が聞こえた。
「まさか高所恐怖症じゃないわよね? 地上三百メートルよ」
 ディミトリは笑った。「まるで空の上にいる気分だよ。最高の眺めだ」彼はルイーズにぴったり寄り添い、通路を囲むケージの隙間から外の景色を眺めた。「向こうに見えるのは凱旋門か?」
 ルイーズはうなずいた。「街の明かりがきらきらして、宝石のようだと思わない? 明かりが川面に映るさまがとても好きなの」
 パリの夜景は息をのむほどの美しさだが、ルイーズの息苦しさには別の理由があった。一緒にのぼったほかの客が塔の反対側へまわったので、彼女とディミトリはあたかも二人きりでこの世の頂に立っているかのようだった。彼女がひとりの男性をこれほど意識するのは初めてだった。彫像を思わせる端整な横顔に視線が勝手に吸い寄せられ、全身に細かな震えが走った。
 高度のせいで風が強く、空気も冷たかったので、彼女は肩に巻いたショールをたぐり寄せた。
「寒いのなら、僕のジャケットを貸そうか?」ディミトリが尋ねた。
 ルイーズは首を横に振った。「いいえ、大丈夫」
「嘘をつくな」彼はにべもなく言った。「震えているくせに」
 陰になって彼の目はよく見えないが、ルイーズは見つめられているのを感じた。眼下でパリの明かりがまたたいているにもかかわらず、彼女にはディミトリのまなざしのことしか考えられない。今夜はずっと彼が意識されてならなかった。そしていま、全身に燃え広がる炎を抑えるのはもはや不可能だ。
「おいで」
 彼の声は急にざらついて深みを帯び、ルイーズはベルベットで肌を撫でられたような錯覚に陥った。息がつまり、抱き寄せられたときにも体が動かなかった。ディミトリのぬくもりに包まれ、官能的なムスクの香りに溺れた。彼女と同じく異常な速さで打つ彼の鼓動が伝わってくる。ルイーズは目を見開いて彼を見上げた。
 今夜はずっとルイーズにキスをしたくてたまらなかった。もう我慢できない。かすかに開いたみずみずしい唇の誘惑に屈し、ディミトリは顔を寄せた。そして永遠のように感じられる数秒、互いの吐息がまじり合うのを感じながら、彼はじっとしていた。続いてそっと唇を重ねると、シャンパンの味がした。柔らかな唇の感触に、ディミトリの心臓は早鐘を打ちだした。
 ルイーズが小さくうめいて身を硬くするや、ディミトリは腕に力をこめて容赦なく抱き寄せた。やがて彼女が唇を開いて彼の舌をいざなうと、興奮は野火のようにすさまじい勢いでディミトリの全身に燃え広がった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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