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ギャンブル依存症

ギャンブル依存症


発行: 日本放送出版協会
価格:400pt
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著者プロフィール

 田辺 等(たなべ ひとし)
 1951年、北海道生まれ。北海道立精神保健福祉センター指導部長。精神科医。77年、北海道大学医学部卒業。
 アルコール、薬物、ギャンブルなど、嗜好問題の相談と治療に精力的に取り組むほか、自助グループや子どもの虐待防止協会へのサポートを行う。日本集団精神療法奪回常任理事、北海道大学医学部非常勤講師。著書に、『心病む人への理解』(共著)『精神保健相談のすすめ方Q&A』ほか。

解説

 仕事からの逃避、借金地獄、家庭崩壊……、悪いと分かっていながらギャンブルに依存する人々。なぜ人ははまってしまうのか。そのメカニズムを説き明かし、依存症に陥った患者と家族の精神的・肉体的苦痛や経済的破綻からの生還を具体的な事例を示しながらアドバイス。新しい人生を“生き直す”ための処方箋を提示する。

目次

あなたもギャンブル依存症かもしれません
あなたのギャンブル依存度をチェック
◆序
第1章 あなたは家族を賭けている
 家族が相談に来て、そしてギャンブラーが登場した  はじめ、ギャンブルは楽しいものであった
 あなたは、今、家族を賭けている
 凶悪な通り魔事件の青年は
 疲れ切った家族たち
第2章 ギャンブルが病気となるとき
    ――ギャンブル依存症の診断
 依存と中毒と嗜癖はどう違うか
 どのような状態が病気なのか
 ギャンブル依存症――その診断基準
 ギャンブル依存症になるまでのプロセス
第3章 私は、なぜはまったか
    ――依存症になりやすい心の状態
 なぜそんなにも、ギャンブルに没頭したのだろう
 ●事例 挫折したスポーツマン――僕はそれ以外の道を見つけられなかった
 ●事例 平凡な中堅社員――どこか納得いかない自分を離れて
 ●事例 自分の戦略で勝つことが自分のパワー
 どうしてそんなに夢中に? ギャンブル依存症が発生しやすい心とは
第4章 一度なると引き返せない依存症
    ――脳の問題か、社会の問題か
 パチンコの興奮は脳内麻薬のせい?
 もう一人の共犯者――消費者金融の果たしている役割
 ローン、カード、キャッシングが環境要因
 深みにはまる心理――必勝パターンへの執着
 やめるためには、やらねばならない――依存症の“二重拘束”状況
 ギャンブルの大衆化、ソフト化とハイリスク、ハイリターン問題
第5章 どんな人が依存症になるのか
    ――他の精神疾患とギャンブル依存症との関わり
 ギャンブル依存症患者は人格障害なのか?
 うつ病とギャンブル依存症/苑うつ病とギャンブル依存症
 アルコール依存症との合併
第6章 プロセスにはまる人びと
    ――現代社会の「買い物依存症」「恋愛依存症」
 わかっちゃいるけど……――スーダラ節にみるプロセス依存の本質
 ●事例 「私は買い物依存症」
 愛しすぎる女たち、愛しすぎる男たち
 ●事例 「愛さずにはいられない」
 紫式部の描いたラブ・アディクションストーリー
第7章 まき込まれた家族の病
    ――イネイブリング、共依存、アダルトチルドレン問題
 ●事例 依存症の夫を助け続ける妻
 共依存症――まき込まれる依存症者の妻たち
 共依存症ということ
 フロイトの分析と共依存
 アダルトチルドレン――依存症家庭に育ち大人になった第二世代の問題
第8章 ギャンブル依存症の治療
 ギャンブル依存症の相談と治療――私たちの方法  (1)問題の受け入れ (2)見立て (3)意志の問題ではなく病気であることの確認 (4)よくなるためにすべきことの説明 (5)自助グループ (6)家族との治療、家族自身の治療 (7)相談とリハビリのためのケアセンター「ワンデーポート」
第9章 自助グループがあなたを救う
    ――ギャンブラーズ・アノニマスについて
 依存症の12ステップグループの基礎――アルコホーリクス・アノニマス
 米国と日本のギャンブラーズ・アノニマスの誕生
 ギャンブラーズ・アノニマスの12ステップ
 ミーティング参加への心理的抵抗
 GAの12ステップにおける回復過程
 家族の集い――ギャマノンについて
第10章 ギャンブルはやめられるか
    ――「グループ」という治療薬  精神保健福祉センターのギャンブル研究会
 グループカウンセリングで司会は何をするのか
 ギャンブル依存症は「治らないが、回復する」
 ギャンブルをやめることは目標ではなく、回復の始まり
 何も変わっていない?――再び二つの否認について
 生き方――ライフスタイルの変化、人生の価値と意味の変化
第11章 ギャンブル依存症Q&A
    ――こんなところがわからない
 Q1 親が借金を払わない方がよいのでしょうか。
 Q2 本人が「病気ではない」と拒否します。どうしたらよいのでしょう。
 Q3 夫が信じられなくなっています。このまま黙って回復を待てばよいのでしょうか。
 Q4 ギャンブルをやめない夫と離婚すべきかどうか迷っています。
 Q5 ギャンブル依存症にならないための方法、予防法はありますか。
 Q6 どこまでが普通で、どこからが病気か、線引きを教えてほしい。
 Q7 心に原因があっておきる病気なのでしょうか。
 Q8 借金が返せそうにありません。自己破産した方がよいのでしょうか。
第12章 あなたが、今すぐにすべきこと
    ――本人と家庭への行動指針
 ギャンブルに悩んでいるあなたがすべきことは
 家族のあなたがすべきこと
◆ おわりに
◆ 引用・参考文献
◆ ギャンブル依存症関連の自助グループ、リハビリテーション施設

抄録

◆あなたもギャンブル依存症かもしれません


 この本を手にとったあなたは、いったいどのような人でしょうか。
「ギャンブル依存症って何? ギャンブルが病気なの?」という純粋な知的好奇心の持ち主でしょうか。
 そういう知的好奇心の持ち主というよりは、ギャンブル依存症という文字を見て、胸がドキンとしたパチンコ、パチスロ好きのあなた。競馬好きのあなた。そういうあなたでしょうか。
 あるいは、本人ではないけれど彼のギャンブルに困っていたり、心配したりしている方でしょうか。例えば、会社の同僚、仕事仲間にお金を無心された先輩、友人。部下に無断欠勤され、しかも公金を使い込んでいると知って驚いた部長さん。その部長さんに相談された会社の顧問弁護士の方――。
 とはいえ、やはり一番多いのは、夫のつくった借金を心配している奥さんのあなた。美容室に行くことも節約して、いつも頭が重くて気分が晴れないあなた。ときには死ぬかと思うくらいに息苦しくなって、不眠症気味のあなた。
 離婚や別居を何度も考えてきたけれど、子どものためにも離婚はしたくない。でも、夫はどうして約束を守ってくれないのだろう。二度としないと誓ったのに――。そう考えてしまうと、情けなくて言葉も出ないあなた。
 その次に多いのはお母さん? いや、お父さん? 会社をやめた息子は、いったい何を考えているのか。何でこんなに借金を繰り返したり、嘘をついたりするようになったのだろう。本当にパチンコをやめる気はないのだろうか。不思議でしかたがない。私の育て方が間違っていたのだろうか、とついつい考え込み、憂うつになっているあなた。

 でもこの本は、できればやはり“あなた”に読んでもらいたい。
 パチンコにはまって、少しのめり込みすぎかなと思っている予備校生、大学生のあなた。消費者金融からの督促ですぐに払えず困っているのに、婚約者に話せないでいるあなた。昨日も残業と偽ってパチンコ店に行っていたサラリーマンのあなた。
「多重債務でもう200万近い借金になってしまった。こうなったら競馬で一発逆転の賭けを張り続けるしかない!」。本当にその通りなのだけど、それで負け続けているあなた。
「今度、サラ金から借金したら離婚だぞ」と昨晩ひどく夫に殴られて、まだ痛んでいる主婦のあなた――。そういうあなたに読んでもらいたい。読みながら、あなたのギャンブルのことをもう一度考えてほしい。そしてあなたの人生をあなたらしく生きていってほしい。


◆あなたのギャンブル依存度をチェック――20の質問


ギャンブラーズ・アノニマスは、この20の質問を、ギャンブル(賭け)に問題を持っている人にささげます。この質問は男女を闘わず、あなた自身が強迫的ギャンブラーであり、賭けるのをやめたいかを、決めるために示されています。

1□ギャンブルのために仕事や学業がおろそかになることがありましたか?
2□ギャンブルのために家族が不幸になることがありましたか?
3□ギャンブルのためにあなたの評判が悪くなることがありましたか?
4□ギャンブルをした後で自責の念を感じることがありましたか?
5□償金を払うためのお金を工面するためや、お金に因っている時に何とかしようとしてギャンフルをすることがありましたか?
6□ギャンブルのために意欲や能率が落ちることがありましたか?
フ□負けた後ですぐにまたやっ乙負けを取り戻さなければと思うことがありましたか?
8口勝った後ですぐにまたやって、もっと勝ちたいという強い欲求を感じることがありましたか?
9□ー文無しになるまでギャンブルをすることがよくありましたか?
10□ギャンブルの資金を作るために借金をすることがありましたか?
11□ギャンブルの資金を作るために、自分や家族のものを売ることがありましたか?
12□正常な支払いのために「ギャンブルの元手」を使うのを渋ることがありましたか?
13□ギャンブルのために家族の幸せをかえりみないようになることがありましたか?
14□予定していたよりも長くギャンブルをしてしまうことがありましたか?
15□悩みやトラブルから逃げようとしてギャンブルをすることがありましたか?
16□ギャンブルの資金を工面するために法律に触れることをしたとか、しようと考えることがありましたか?
17□ギャンブルのために不眠になることがありましたか?
18□口論や失望や欲求不満のために、ギャンブルをしたいという衝動にかられたことがありましたか?
19□良いことがあると2〜3時間ギャンブルをして祝おうという欲求がおきることがありましたか?
20□ギャンブルが原因で自殺しようと考えることがありましたか?

★7つ以上当てはまる人は、強迫的ギャンブラーの可能性が極めて高い。


◆序


 私たちがギャンブル問題の相談を始めたのは、いわゆる1990年代のバブル経済とその崩壊の時代です。それ以来、ほぼ毎週、私たちの精神保健相談にギャンブル依存症の方が来られるようになりました。一口にギャンブルといっても、パチンコ、ポーカー、バカラ、競馬、マージャン等さまざまなものがあります。
 彼らの大多数は、どこにでもいる、どちらかといえば仕事熱心な普通の中堅サラリーマンや技術者でした。気持ちのやさしい青年やごく普通の主婦でした。そしてその大多数は、ギャンブルをすぐにはやめられないと考えていました。
 彼らは俗にいう“深追い”をしすぎていたのです。そして、「この前の失敗は深追いしすぎたからだ。今度はいいところで切り上げる」と考えながらも、手を出していました。
 多くの来所者は、頭のどこかでは「もうやめるべきだ」とわかっているのに、ギャンブルのせいで多額の借金ができてしまい、抜け出せない悪循環に陥っていました。
 彼らの家族は、一様に疲れ切っていました。というのも、ほとんどの家族が、相談に来る前の数年間のうちに数百万円の負債を整理していたのです。さらに本人に「二度としない」と誓わせ、そして裏切られていました。
「できることなら今すぐにやめてほしい」
「病気というなら今すぐ治してほしい」
 家族の訴えは切実でした。
 そこで私たちは、さらに発展させて相談援助グループを開始しました。精神保健センター(最近は、法律名が変わり、精神保健福祉センターの名称が多い)の精神保健相談では、診療機関に紹介できる精神科の病気と、医療になじみにくい心の問題とがあります。例えば不登校問題や家庭内暴力がそうです。薬物療法で解決が期待できないような心の問題では、本人や家族のカウンセリングを行います。センターでは、本人や家族のグループをつくり、グループでカウンセリングを行うことも珍しくありません。
 このような相談援助グループの一つとして、ギャンブル研究会という名称で、ギャンブル依存症の治療グループを1991年に立ち上げました。私自身、病院の勤務医時代、ほぼ10年間、毎週1回、アルコール依存症の集団精神療法を経験していたので、それをモデルとしたのです。
 私たちの研究会は、すぐに家族の集いをもつようになりました。家族たちは、話し合う機会をもっともちたいと考えるようになり、自主的に家族の会をつくって集まるようになりました。それに遅れること数年でしたが、依存症者本人たちも、自主的にギャンブラーズ・アノニマス(GA)を立ち上げました。今は、試行錯誤しながらも、「すずらんグループ」として自助グループ活動を続けています。
 本書は、グループカウンセリングをはじめとする相談援助の経験から書き起こしたものです。ギャンブル依存症を理解し、適切な対処法を考えていくための材料として、今までの経験を披(ひ)瀝(れき)しました。
 このほか、依存症の病理として、ギャンブル依存症と本質を同じくする「アルコール依存症」、「買い物依存症」、「恋愛依存症」と呼ばれる病態についても章を立てて、言及してみました。その人の心の動きをはじめ、無意識で何を求めていたのかなど事例を通して考察しています。
 自分が自分のままでよいのだという自己肯定感が揺らぐとき、人はさまざまな依存対象を求めます。酒は、酔いの中で肥大した自己像を体験できます。ギャンブルは、勝つことで達成感と戦利品によるかりそめの有能感を体験できます。強迫的買い物は、華麗さ、豪華さ、きらびやかさの装飾で、周囲から賞賛の眼差しを勝ち取ることができます。そして、献身的に愛し続けることは、苦難に耐えることが人生の価値であるかのように錯覚させるのです。
 本書の舞台は徐々に大都市化している人口170万人の札幌です。しかし、北海道の中都市でも、過疎気味の町でも、どこにでも派手なネオンの大きなパチンコ店があります。最新のレジャー白書によれば、昨年のパチンコ参加人口はおよそ1930万人、総売上は27兆8千億円です。1人当たりの平均回数25回以上という推計値は、過去10年間で2番目なのだそうです。レジャーとしてギャンブルを楽しむ方たちにも、ギャンブル依存症とならないために、本書を読んでいただきたいと思います。
 多くの依存症者に、ギャンブルにはまりやすい心の状態がありました。そして初心者でも大勝できる高い賭博性をもつギャンブルに出会い、安易に消費者金融から借金を重ねることで、依存症が発症しています。
 私たちの相談援助の経験からは、ギャンブル依存症の問題は日本のどこにでもある問題といえます。苦しんでいる方は大勢いることでしょう。私たちは、ギャンブル依存症からの回復がありえることを伝える必要性を感じています。本書を読んで、依存症ご本人、またその家族の方々の苦しみが少しでも軽くなっていただければこれにまさるよろこびはありません。


田辺 等


*この続きは製品版でお楽しみください。

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