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プティまり文庫 片翼の悪戯

プティまり文庫 片翼の悪戯


発行: マリクロ
レーベル: プティまり文庫
価格:200pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 今ゆうり(こんゆうり)
 静岡県出身。幼い頃から少女漫画を愛読し、高校生の時にロマンス小説と出会う。学生時代は漫画家への道を夢みたが挫折。急に思い立ち三年前から小説を書き始め、ロマンス小説も再読し始めた。書きたいことはあれこれ浮かぶが、思いに言葉が追いつかず四苦八苦している。趣味は映画観賞(単館系)と旅行。アジアが好き、青い海が好き、移動する際の乗り物も大好き。でも乗り物酔いをする体質なので、楽しめないこともしばしば……

解説

 不慮の事故により失明したピアニストちひろが誘拐された。犯人の目的は一億円の身代金と、ちひろの体だった。そこへ犯人の一人陸斗の双子の弟・海斗が現れる。身勝手な兄の代わりにちひろの世話をする、優しく心穏やかな海斗。二人は徐々に魅かれあっていく。出会ったばかりの海斗に対する気持ちは一体何? 海斗への思いにちひろの心は揺れた。やがて誘拐事件は結末を迎える。ちひろと海斗の間に芽生えた恋の行方は?

抄録

 「陸斗のように欲しい物が何でも手に入る人生が、羨ましいと思わなかった?」
 ふっとため息をつき、海斗は静かに答えた。
「全く思わなかった。ギリギリの生活だったけど、毎日が楽しかったからね。それに陸斗も見た目ほど幸せじゃないって思えて、羨ましいなんて思わなかった」
「あなたって……」
 なんて澄んだ心の持ち主なんだろう。彼の穏やかな口調からは、嫉妬や焦りの色などこれぽっちも感じられない。陸斗が犯した罪の尻拭いをさせられている今でも、兄の肩を持つつもりだろうか? 
「俺のことより、あなたはどうなの? 霜月産業の社長令嬢で、有名なピアニストなんだろう? 裕福な家に生まれた上、才能にも恵まれて……やっぱり俺みたいな凡人には、想像できないくらい幸せなんだろうなぁ」
「いいえ、私は元ピアニストよ。誰かの支えがないと満足に生活もできない。今じゃあすっかり周りから同情されるような、可愛そうな身の上よ」
「でも……」
 生まれた時から裕福で何不自由のない生活を送り、人並み以上の才能にも恵まれた。でも、人生というものは時に残酷な仕打ちをする。必死に作り続けた城は砂上にあったらしく、あっという間にもろくも崩れ去った。
「世界的にも有名な、盲目のピアニストがいるじゃないか。あなただってきっと……」
 その話題も嫌というほど耳にした。彼は私と違って、天性の才能を持っている。
「彼は神様がこの世に遣わした、最上級の贈り物なの。でも、私は神様から見放された存在よ。今の私のピアノを聞いたら、不協和音に耐えきれず誰もが逃げ出すわ」
 相馬教授の指導の甲斐もなく、私のピアノの腕前は衰える一方だった。突然失明した私の場合、勘だけでは補えない部分が多くあった。
「……そうだったのか。ごめんよ、無神経なことを言って。でも、俺はあなたを尊敬しているんだ。だって芸術家っていうのは、周りの人の気持ちを豊かにする存在だからね」
「えっ?」
「美しい絵を見たり、音楽を聞くと心が洗われるだろう? よくモーツァルトが胎教に良いって話を聞くし。素人だから腕前がどんなものか判断できないけれど、あなたの演奏が素晴らしいってことはわかるよ」
 今までずっと、より高い場所を目指してきた。プロと名の付く立場になってからは、ピアノだけが全てだった。でもその必死の努力も、不慮の事故であっけなく幕を閉じた。
「無理して楽譜通りに弾かなくても、ピアノを楽しむことはできるでしょう?」
 純粋に音楽を愛していた頃の私だったら、突然の失明でも音楽を愛し続けていたのかもしれない。でも、プロとしてのプライドが邪魔をして、失明する前の状態に戻ろうと自分で自分を追いこんでいた。
「音に楽しいと書いて、音楽なんだからね。今まで周りの人達を楽しませてきたのなら、今度は自分が楽しめば良いじゃないか。不協和音だって自分が笑い飛ばせば、ジョークで通用するだろう?」
「もう……あなたって優しいと言うより……」
 心の中にしまっておくはずだった思いが、つい口に出てしまった。信じられないくらい純粋で心優しい海斗に、私は魅かれていた。
「もう、私の心配なんかしてる場合じゃないでしょう。あなたの置かれている立場だって、充分危険なんだから」
 いつの間にか私の不安を解きほぐした海斗には、この緊急事態を理解する気がないようだった。
「あなたは誰に対しても、そんなに優しく接するの? でも残念だけど、陸斗にその優しさは伝わっていないわ。いくら双子の兄弟だからって、身代わりなんて馬鹿な考えはやめた方が賢明よ」

本の情報

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