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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・スペシャル・エディション

大富豪と淑女 テキサスの恋 25

大富豪と淑女 テキサスの恋 25


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・スペシャル・エディションテキサスの恋
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★4
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

 ■テキサス中の女性が憧れる独身男性がどうして私なんかにかまうの?

 ■スキャンダルに飢えたマスコミから逃れるため、レスリーはヒューストンからジェイコブズビルにやってきた。大学時代の友人が救いの手を差し伸べてくれ、彼のいとこ、マット・コールドウェルが経営する大企業の秘書に採用してもらったのだ。ところが、顔を合わせるやいなや、マットはレスリーを冷たい目でにらみつけて言った。「ここに来た本当の理由はなんだ?」レスリーはごくりと唾をのんだ。なんて怖い目……。きっと彼は私の過去を知っているんだわ! 突然、底知れぬ恐怖に駆られ、彼女はマットのそばから逃げ出していた。

抄録

 マットははっと足を止めた。早足でせき立て、レスリーに苦痛を強いていたことに気づいた。彼女の脚が不自由だったことを忘れていた。その一点は演技じゃない。彼は腹立たしくため息をついた。
「脚が悪いのは本当だったな」彼は独り言のように言った。「だが、ほかはどうなんだ?」
 レスリーはマットの目を見て静かに言った。「ミスター・コールドウェル、私がどんな人間であるにせよ、あなたに何かご迷惑が及ぶようなことは絶対にありません。私は人に触られるのが嫌いです。それは本当です。でも、さっきのダンスは楽しかったわ。ダンスなんて……何年ぶりかしら」
 マットはレスリーの青白い顔をじっと眺めた。バンドが奏でる音楽も、周囲のざわめきも耳に入らない。
「時々」マットはつぶやいた。「君をとてもよく知っているような気がする。前に会ったことがあるような気がする」彼は母のことを思い浮かべていた。遠い昔、母に裏切られたことを。傷つけられたことを。
 が、マット・コールドウェルが何を考えているのか、レスリーにはわかるはずがなかった。レスリーは恐怖を表に出すまいと歯を食いしばっていた。たぶん、彼は前に私を見ているだろう。国中の人が見ているはずだ。私の顔はタブロイド紙にのったのだから。脚からどくどく血を流し、声をあげて泣きながら、血で汚れたアパートから担架で運び出されたあの夜の私を。でも、あの時、私の髪は黒で、眼鏡をかけていた。その女性が私だと、本当に見破れるものだろうか?
「他人の空似じゃありません?」レスリーは顔をしかめ、体重のかかる足を移し替えて小さくうめいた。
「行きましょう。脚がもうひどく痛くて」
 マットはしばらく突っ立っていたが、不意に身をかがめると、たくましい腕にレスリーをすくいあげ、人々が目を丸くして見守る中をドアの方へ向かった。
「ミスター……コールドウェル」
 こんなふうに男性に抱かれたのも、こんなふうに運ばれるのも、レスリーは生まれてはじめてだった。呆然として、いつもの恐怖も忘れ、彼の力強い横顔に見とれた。さっき組んで踊ったので、体が触れ合うのはだいじょうぶだった。彼のたくましさが伝わってくる。彼はとてもいいにおいがした。エキゾチックなコロンのにおい。レスリーはまったく奇妙な衝動にとらわれた。彼の広い額の上で豊かに波打っている黒っぽい髪に触れてみたくなった。
 ちらっと下を見たマットの視線が、彼をうっとりと見つめているレスリーの目とぶつかった。彼は黒っぽい眉の片方をぴくりとあげ、どうしたんだと、無言で問いかけた。
「あなたは……とてもパワフルなんですね」レスリーはおずおずと言った。
 彼女のその言い方が、マットの心の奥深いところの何かに触れた。彼女の目からやわらかな弓なりの唇に視線を移した時、マットは不意に強い心の高ぶりを覚えた。目を奪われて、足すら止まりそうになった。
 レスリーはマットのタキシードの襟の折り返しを握りながら、彼の唇を見つめていた。キスをされたいと思った。そんなふうに思ったことはいままで一度もなかった。あの忌まわしいなりゆきの中でのキスには嫌悪をもよおしただけだった。べっとりとしたみだらなキス。むかむかして吐きたくなった。
 マットのキスはきっと違う。彼が愛の技巧にたけていることを、女性を乱暴に扱わないことを、レスリーは本能的に察していた。大きくて、輪郭のくっきりとした形のよい彼の唇は官能的だ。もしキスをしたらどんな感じかしら。そんなことを思いながらレスリーの唇はうずいた。
 その好奇心を正確に読みとったマットは鋭く息を吸いこんだ。レスリーは目をあげた。
「気をつけるんだ」彼の声はふだんよりくぐもっていた。「好奇心は身を滅ぼす」
 レスリーは目で問い返した。
「君は僕に触られたくなくて、避けようとして馬から落ちた。ところがいま君は僕にキスされたくてうずうずしているらしい。どういうことだ?」
「わかりません。あなたとこうしているのが心地いいんです」レスリーは正直に言い、自分でもびっくりした。「とても変だわ。男性と体を寄せ合うなんて、いままで考えただけでも嫌だったのに」
 マットの足がぴたりと止まった。レスリーを抱いている力強い腕にかすかな震えが走る。彼の視線とレスリーの視線が絡み合った。彼の息遣いが荒くなった。彼はレスリーの背中を起こし、彼女の胸を自分の胸に押しつけた。彼は建物の表の階段に立っていたのだが、自分の内部をいま焦がしている欲求以外のすべてを忘れた。
 レスリーははじめて知った欲望に震えた。彼女は笑った。新鮮ですてきな感覚だ。急に胸のふくらみが重く感じられ、そしてうずいた。
「こういうものだったのね」彼女がつぶやいた。
「何が?」マットはかすれた声できき返した。
 レスリーは彼に視線を合わせた。「欲望って」
 マットの体がぶるりと震えた。思わず両腕に力がこもる。レスリーの唇に視線を落とすと、自分の唇が自然と開き、マットは観念した。もうキスをせずにはいられない。彼女は薔薇のにおいがした。牧場にあるマットの住まいの玄関のそばに群れて咲く、小さくて可憐なピンク色の薔薇の香りを思い出させた。彼女はマットを求めていた。マットは頭がくらくらした。彼は頭をかがめ、ため息のような声をもらしながら、彼女の下唇をそっと噛んだ。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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