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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・テンプテーション

恋は人違いから

恋は人違いから


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・テンプテーション
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 ジュリー・ケナー(Julie Kenner)
 映画、テレビから本にいたるまで、ロマンスと名のつくものが大好き。2000年に北米でデビューし、それ以来センシュアルでユーモアのある作品を提供し続けている。現役の弁護士でもあるため、創作活動は仕事のあとや週末に行うという。趣味は旅行、スキューバダイビングなど様々。夫や子供、四匹の猫たちと一緒にテキサス州オースティンに住む。

解説

 ■彼が好きなのは魅惑的な女を演じている私。シャイで臆病な本当の私ではない。

 ■洗練され、自信に満ちた、セクシーな美女。それが今のレイチェルだ。だが、昔は違った。地味で内気で、いつもいじめられていた。当時受けた心の傷が癒えない彼女は、三人のいじめっ子に復讐することにした。正体を偽って誘惑し、彼らがその気になったところで捨てる。そして自分が誰かを教えて、自尊心を打ち砕いてやるのだ。まずは一番ひどい仕打ちをしたカールから。彼はあっさりと誘いにのってきた。計画では、彼を欲求不満にさせて立ち去るつもりだったが、レイチェルは本気で熱くなってしまった。しかも翌朝、人違いをしたことに気づいて……。

 ■復讐と情熱のあいだで揺れ動くヒロインと、彼女にどんどん本気になっていくヒーローが繰り広げるストーリーをお楽しみください。

抄録

 レイチェルは背筋を伸ばして、洗練された都会の笑みを浮かべた。この笑顔に魅了されなかった男性はいない。
「これは遊びなの、ドクター? それとも求婚?」
「ああ、それは場合によるな」
「どういうこと?」
 彼の笑顔に、レイチェルは心臓がとまりそうになった。「どっちのほうが、君を長く引きとめられるかということさ」
 まあ。レイチェルは震える吐息をついた。なんの造作もなくカールは彼女を骨抜きにしていた。
 このままではまずいわ。レイチェルはすぐに安全な場所まで退却した。「サンパーのようすを見てもいいかしら?」
 その作戦は功を奏し、たちまち彼は、魅力的な男性から心配そうな獣医に変わった。「こっちへ」
 手術室は犬舎に続いていて、サンパーは広々としたケージの中でまどろんでいた。けれど、いずれにしても心の痛む眺めだ。何かがレイチェルの脚に触れ、見ると、片目だけれどとても美しい三毛猫がいた。
「ブリンキー、謎のお客様を紹介するよ。ブリンキーはずっと前からここにいるんだ。この診療所を経営しているのさ。夜間のパトロールやお客様の出迎え、その他もろもろを受け持っている」
 レイチェルは身をかがめて、ブリンキーの頭をなでた。「ハイ、猫ちゃん」
「彼女はみんなに規則を守らせるんだ」
「大変な役目ね」
「僕は別さ。しつけが行き届いているからね。君はどこへだって僕を連れていけるよ」
「それは誘いなの?」
「誘ってほしいかい?」彼の声が低くなり、レイチェルの膝から力が抜けそうになった。
 イエスと言うのよ。そして、奥の寝椅子でどこまで行けるか確かめるのよ。
 レイチェルは床に目を落とした。「サンパーをなでてやってもいいかしら」彼女はつぶやいた。
 頭の中では、ニューヨークのレイチェルがしきりに叫んでいた。だが、カールの犬舎でベリンダ・レイチェルの亡霊が体を乗っとり、声を奪っていた。
 カールがケージを開け、レイチェルはサンパーの頭をなでた。衰弱した犬はまばたきをし、彼女の手に鼻をすり寄せると、また眠りこんでしまった。
 再び涙がこみあげてきたが、今回は安堵の涙だった。レイチェルは目を大きく開いて、涙を引っこめようとした。「本当にありがとう。私では……この子は……」
「礼には及ばないよ」彼はレイチェルの方に手を伸ばした。
 なにげなく頬に触れられて、レイチェルは激しい感情に全身をつらぬかれた。その感情の波に飛びつきたい気持ちを必死に押さえつける。カールが涙をぬぐってくれたのだとわかった瞬間、堰を切ったようにレイチェルは泣きはじめ、彼の腕に抱かれるままになった。手術着の上着に顔をうずめ、声をあげて泣く。カールの手術着をハンカチ代わりにしてしまったことに気づいたのは、そのあとだった。
 世界一の男たらしになるつもりが、このざまだわ。もう一度鼻をくすんと鳴らして、レイチェルは涙の蛇口をとめた。カールはやさしく体を離し、彼女を見下ろした。「大丈夫かい?」
「緊張して、疲れて、ほっとして、いろいろあったけれど、私は大丈夫よ」
 カールの唇がレイチェルの眉をかすめた。ほんの一瞬のことなのに、彼女は息がつけなくなった。
 何もかも計画どおりに運ばない。自制心はどこかへ行ってしまった。セクシーで欲望をそそる高慢な女性がどこか近くにいたとしても、レイチェルでないことは間違いない。
 カールの目が誘っていた。温かく、親しげだが、同時に激しく求めている。レイチェルは感情を抑えた。ほんの数時間前までは、報われない恋に身を焦がす彼を抜け殻のように捨て去るところを想像して、ぞくぞくしていたというのに。
 今、レイチェルはカールに慰められ、触れられていたかった。そして、これほどやすやすと彼の魅力に屈した自分をののしった。こんなに早く恋に落ちたことはなかったわ。一度も。
 いいえ、恋に落ちたことなんてなかった。今まで、常に優位に立つために、男性の前では思いどおりの自分であるようにと、そのことばかりを考えていた。
 背中を寒気が駆けあがり、レイチェルは身を震わせた。
 カールが彼女の体に腕をまわした。「寒い?」
 レイチェルは首を振った。寒いどころか、燃えあがりそうだ。
 カールの唇が、レイチェルの耳の上で踊った。顎の無精ひげがこめかみをかすめる。脈が速くなり、彼女は呼吸するのを忘れそうになった。
「誰かが待っているのかい?」ためらいがちなささやきが聞こえた。「どこかに連れていってほしい?」
「いいえ」レイチェルは言った。哀願するような声が、どこにも連れていかないでほしいと語っていた。ただ、さらってほしかった。
「わかった」彼はささやいた。「何が欲しい?」
 カールの唇を味わいたいと切望しながら、レイチェルは唇を湿した。今ここで欲しいものは──必要なものは──はっきりしていた。
 カールのまなざしから、彼も同じものを求めていることがわかる。
 そのとき、レイチェルは気づいた。私は勝ったのだ。始めてもいないうちに、任務は完了した!

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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