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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

愛なんて信じない

愛なんて信じない


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アマンダ・ブラウニング(Amanda Browning)
 イングランドのエセックス州に生まれ、今もそこに住む。本で読むような、波瀾万丈の人生を二人の兄や双子の妹とともに生きてきた。本が大好きで図書館に職を得たが、やがて独身の身軽さで作家として身を立てる決意ができたと語る。成功したことがまだ信じられないが、今では余裕ができ、刺繍やバードウォッチングなどの趣味も楽しんでいる。

解説

 チェーンホテルでインテリアコーディネーターとして働くジニーは上司のローク・アダムズと入社以来、犬猿の仲。ジニーは、ハンサムだが次々と女性を捨てるロークを嫌い、ロークは、ジニーを美人だが冷たく意地悪な女だと決めつけている。ただし仕事上はすばらしいパートナーだ。ある日、ロークが困り果ててジニーに個人的な協力を求めてきた。妹の結婚式に一緒に出席してほしい――僕の恋人のふりをして、と。ジニーは当然断った。けれど家族の複雑な事情があると聞くと……。家族のことでは人に言えないつらい経験のある彼女は同情し、ロークとともに週末に結婚式が行われるスイスへ飛んだ。

抄録

 あいにく、キャロラインと話す機会はパーティが終わりに近くなるまでなかった。ジニーとロークは人込みにまぎれて油断なく機会を待ったが、ジェームズが婚約者のそばに張りついていて、話しかけられなかった。
「あとで、ほかのみんなが部屋に引き揚げたら妹をつかまえよう」時計の針が真夜中に向かってのろのろと進むころ、ロークはそう決めた。
「ジェームズが彼女と一緒だったらどうするの?」
「この家で? それはあり得ない」
「私たちは一緒にいるじゃないの」
 ロークはにやりとした。「僕をとめようがないからさ。それに僕たちは明日結婚するわけじゃない。今もし母が頼まれもしない最後の忠告を妹にしていたとしても、僕は全然驚かないね」
 ジニーは飲まずに持ち歩いていたワインのグラスを近くのテーブルに置いた。「なんだかばからしくなってきた。疲れたわ。寝に行きましょうよ」
「それは僕が今日受けた中で最高の誘いだね」
「誘いじゃないわ」こんなに疲れていなければ、もっと言葉に注意したのに。「疲れたからそう言っただけ」
「面白くないな。君は怒って、人をすくませるその目で僕をにらむはずなのに」
「疲れて怒る気力もないわ。それに、人をすくませる目って、どういう意味?」
 ロークは低く笑った。「僕が本当に怒らせたら、君はそういう目で僕を刺すように見る」
「そんなことしないわ」
「するさ。気の弱い男なら震え上がるだろうが、僕はもっと強いから耐えられる」
「そのほうがいいわ。あなたはそうされても仕方がないようだから」やり返したとき、ジニーは部屋の反対側の動きに目を引かれた。「見て、妹さんが引き揚げるみたいよ」
 ロークは振り返った。キャロラインはジェームズと一緒に部屋を出る前に母親にキスし、部屋に残っている人々に挨拶をしている。
「二人におやすみを言う時間を十分あげてから、妹を追いかけよう。それまで我慢できるかい?」
 ジニーはうなずいた。もう三十分でも大差ない。「外に出れば、涼しさで少しは眠気がさめるかも」
「それなら、おいで。家のまわりを散歩して、裏階段から上がろう」
 テラスに添ってゆっくり散歩するにつれ、深夜のひんやりした空気は確かにジニーの頭をはっきりさせた。曲がり角に来ると、二人は申し合わせたように立ちどまり、湖を眺めた。晴れた夜だ。町の明かりが頭上の星の数ほどきらめいている。
「本当にきれいなところね」
「夏の間、五、六回は来るようにしているんだ」
「ぞっとする人を訪ねて? 子としての義務を少し果たしすぎていない?」
「僕がそう言ったことを、あくまで忘れさせないつもりだね」ロークは苦笑して、彼女の頬にかかった赤い髪を払った。
「ちょっと! 私たちはもう舞台にいないのよ」ジニーが驚いたのは、ロークがもう片方の頬からありもしない髪を払ったことだった。
「実はいるんだよ。僕たちは監視されている」低い声で彼が言った。
 ジニーは立ちすくんだ。「だれに?」
「色情狂の継母にだ。僕たちが出ていくのを見て、何をするか見届けに来たんだろう。僕がささやかなロマンスを楽しむためにこんな機会を逃さないのを知っているんだ。ショーを見せてやろう。さもないと怪しまれる」
 ジニーは周囲を見たくてたまらなかったが、それではあからさますぎる。彼の視線を受けとめるしかなかった。「ショーって? どんなショーを?」
 ロークは彼女の前にまわって両肩に手を置いた。「覚悟して。君にキスをする。そうするしかない」
 ロークが顔を近づけてくる。ジニーは両手を上げて彼の胸についた。「こんな実践的なことに同意した覚えはないわよ」
「つらいときには目を閉じて故郷を思えとかいう格言があるだろう? 心配ないよ。一分もあれば終わるから」ロークは冗談を言うと、唇を重ねた。
 それが始まりだった。
 最初はただ唇を触れ合わせるだけのキスのはずだった。けれど、ジニーが彼に“故郷を思わせよう”と考えたとき、頭脳は働くのをやめた。予想外の強い電撃が彼女の全身を貫いて唇を開かせた。一度のキスが二度に、そしていつしか数えきれなくなった。
 無意識にジニーは腕を彼の首にまわした。ロークはうめいて彼女を抱き締めた。ジニーは熱い吐息をついて彼の舌を迎え入れた。キスは抑制を失い始めた。二人ともやめられなかった。というより、やめたくなかった。
 ドアを乱暴に閉める音が夜にこだまし、二人ははっと現実に引き戻された。いつの間にか抱き合っていたことに徐々に気づいて、茫然と見つめ合う。やがて、キスがただの芝居のはずだったことを同時に思い出し、二人ともショックをあらわにした。
「なんてことを!」ジニーは心臓の激しい鼓動と膝の震えと荒い呼吸を意識しながら、かすれた声で言った。
「どうしてこんなことに?」ロークも震える声でつぶやいて腕をほどき、ジニーは一歩後ろにさがった。
 二人は信じられない思いで見つめ合った。ロークはかすかに震える手で髪をかき上げた。
「これは予想外だったな!」彼は冗談にしようとしたが、言葉は本音だった。それに笑い事ではなかった――二人のどちらにとっても。

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