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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

恐れに満ちた再会

恐れに満ちた再会


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

 ■死んだと思っていた夫が生還し、彼女は不名誉な噂を消し去りたいと願った。

 ■エデンの夫で富裕な銀行家のダミアーノ・ブラガンツィは、南アメリカで消息を絶ち、すでに死亡したと信じられていた。五年後、エデンのもとに警察と外務省の人間が訪れ、ダミアーノはクーデターに巻きこまれて投獄されていたが、解放されて今日イギリスに帰国する、という驚くべき情報をもたらす。エデンはさっそく空港に向かい、夫と再会した。だが彼女の胸は不安と恐れでいっぱいだった。ベッドで消極的な態度しかとれないエデンのせいで、彼が行方不明になる前から結婚生活は暗礁に乗りあげていたからだ。しかもダミアーノが失踪した三カ月後、あるタブロイド紙に、彼女がほかの男性と関係したというおぞましい記事と写真が掲載され、それがもとでブラガンツィ家を出たことも、ダミアーノは知らない。再会を喜ぶ彼が、もしそのいきさつを耳にしたら……。

抄録

「家だよ……決まっているじゃないか」ダミアーノが答える。
 家? それじゃ、これからまっすぐロンドンへ戻るつもりなの? わたしには居場所のない、ほかの家族が待つあの屋敷へ。
「どこに住んでいるんだ、エデン?」ダミアーノがリムジンのほうへ歩きだした。「運転手に場所を説明してくれ」
 それを聞いて、エデンの動揺はおさまった。ばかね。わたしがもうあのロンドンの広大な屋敷に住んでいないことは、すでにダミアーノの耳に入っているはずだもの。彼はそれを冷静に受け止めているようだ。言われたとおり運転手に行き先を説明してから、エデンはリムジンの後部座席に乗りこんだ。するとまた恐怖が襲ってきた。彼女はダミアーノとの再会の瞬間までしか考えていなかった。そこから先のことは、あまりにも長い年月のあとで想像もできなかったのだ。
「ぼくも奇妙な気分なんだ。何も心配することはないよ、いとしい人」ダミアーノは、固く握りしめた彼女の手を大きな手で包みこんだ。「今日は長ったらしい説明はしたくない。ぼくは帰ってきた。きみはぼくといる。大事なのはそれだけだ」
 エデンは彼の顔をまじまじと見つめた。こんなことを考える場合ではないかもしれないが、ダミアーノは相変わらずすてきだと思わずにはいられない。端整な顔立ち、完璧な形の唇。息をのむほどハンサムだけれど、そうした男性には珍しく、すばらしく男性的でもある。下腹部が熱くなり、胸が張りつめるのを感じて、エデンは昔よく感じた恥ずかしさに襲われた。惨めだ。自分をすげなく拒絶した男性を前に、体が反応してしまうなんて。一度だけ、彼女は勇気を振りしぼってダミアーノを誘惑したことがある、夫婦のベッドに戻ってほしいと。だけど彼がわたしを肉体的に求めるなんて、二度とありえない。
 どうにか気持ちを落ち着かせ、じっくり顔を観察した結果、エデンはダミアーノの変化に気づいた。頬の肉は落ちているし、肌は日に焼けていても顔色が悪い。美しい目には疲労のあとが見える。きょうだいたちと積もる話があって、イギリスへ戻る機内では一睡もしなかったのだろう。一週間くらい眠っていないような顔つきだ。
 同時に、彼の顔には以前は見られなかった鋭さがあった。エデンが覚えている上品でクールな雰囲気は、殺気を感じさせる冷徹さにとって代わられている。アクセントも前とは違う。五年間スペイン語だけを使い、まわりの人間の話し方を慎重にまねていたからだろう。彼は非常に頭の切れる人だ。父親が亡くなったとき、単に跡継ぎだからという理由だけでブラガンツィ銀行の頭取の座についたわけではない。二十八歳で頭取に選ばれたのは、とにかく優れた経営能力を持っていたからだ。
 ふたりとも黙っているせいで、車内には張りつめた空気が漂った。エデンはかすかに眉をひそめてダミアーノを見つめ、彼の目が金色の炎のように燃えているのに気づいた。突然、ダミアーノが片手で彼女を引き寄せ、唇を口で覆った。
 それはショッキングなほど親密で官能的なキスだった。彼の舌がやわらかい口のなかをエロティックに探る。エデンは体の芯まで衝撃が走り、それから全身が焼けつくような興奮をおぼえた。思わず引きつったあえぎ声がもれる。
 そのとたん、ダミアーノは彼女を放した。熱に浮かされたように頬が上気していた。彼は動揺しているエデンの顔をちらりと見たきり、目を伏せ、かすれた声で言った。「すまない……悪かった。いったいどうしたことか、自分でもわけがわからない」
 エデンにもわからなかったが、文句を言う気にはならなかった。走ったあとのように心臓は早鐘を打ち、体は期待にうずいている。今みたいに親密に触れられたのは本当にひさしぶりだ。しかし、ダミアーノがキスを後悔しているらしいのを察して、急にばつが悪くなった。恥ずかしさを隠すために首をうなだれ、彼に握られた手を見つめる。
「痛かったかい?」ダミアーノはなおさら力をこめて握った。
「いいえ……」自意識過剰になるあまり、エデンは蚊の鳴くような声しか出せなかった。いつでもあなたの好きなようにして。そんな誘いの言葉が喜ばれると自信が持てたら、言っていただろう。だが悲しいかな、彼女は図太い神経も自信も持ちあわせていなかった。
 張りつめた沈黙のなかで、エデンはもう一方の手をダミアーノの手にのせ、そして彼の手がいやにざらついていることに気づいた。当惑しながら、傷跡の残る関節や割れた爪に指を走らせ、ひっくり返しててのひらを調べた。それは過酷な肉体労働に慣れた人の手だった。
「マニキュア師にとっては、やりがいのある手だろうな」ダミアーノが物憂げに言う。
「でも、どうしてこんな……」
「三年間、機械がないも同然の石切り場で、週に六日働かされたんだ」
「石切り場?」エデンは彼の手を両手で包みこんだ。ダミアーノが石切り場で労働を?
「最初の一年が過ぎると、軍事政権は獄中の反乱分子全員に行政的な身分を与えた。賢い策だ。国民のうち四人にひとりの男性が投獄されていたら、貧しい国では彼らを食べさせていくことができない。そこで恩赦という手を考えて労働につかせ、国の経済的負担にならないようにしたというわけだ」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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