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剣と竪琴 戦士に愛を

剣と竪琴 戦士に愛を


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル戦士に愛を
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マーガレット・ムーア(Margaret Moore)
 俳優エロール・フリンに憧れ、『スター・トレック』のミスター・スポックに恋をした少女は、やがて謎めいた魅力的な悪漢をヒーローに仕立てたロマンス小説を書くことに夢中になった。カナダのオンタリオ州スカボローに夫と二人の子供、二匹の猫と暮らしている。読書と裁縫が趣味。

解説

 ■わたしの戦士は歌を歌う体は傷つき、胸には絶望を抱えていても

 ■ノルマン人貴族の娘ロアンナと隻眼の戦士エムリスとの出会いは、ウェールズの霧深い森の中だった。地元の男爵の一人息子キンリクの婚約者である彼女を、エムリスがさらって逃げたのだ。ただ、気に入らない従弟キンリクをからかう目的で。十三世紀が幕を開けたばかりのウェールズでは、人々は独自の文化と言語を持ち、閉鎖的な暮らしを送っていた。ロアンナは、花嫁をさらって返すという土地の古い慣習など知らない。この長身の戦士は、いったいわたしをどうするつもりなの? だが、恐ろしげな傷跡のある戦士は、翌日には彼女を従弟に返した。そしてそれは、ロアンナにとってより良い運命とは言えなかった。彼女は、今度は自らの意志で婚約者の元を抜け出し、新たな運命の手へと飛びこんだ――エムリスの腕の中へ。みじめだったわたしの人生は、ここで変わるだろうか……。

 ■『戦士に愛を』シリーズでは、中世イギリスを舞台に、戦う男たちの愛と冒険を描いていきます。

抄録

 鍛え抜かれた勇敢な戦士。見たところはそんな感じだ。あの顔の傷が、なにがあろうと屈しない意志の強さを物語っている。ロアンナは傷があるにもかかわらず見とれてしまう男の顔から、視線をゆっくりと下げた。たくましい肩。広い胸。羽根のように軽々と彼女を抱き上げた力強い腕。引き締まった長い脚。
 熱いものがロアンナの体を駆け巡り、その熱が波紋のように全身に広がった。やがて体の一点がずきずきと脈打つのを感じて、彼女は脚をわずかに動かし、男から目をそらした。
 しかし、馬と革と雨の匂いが混じりあったような男の香りは、炎からたちのぼる煙のように彼女のほうへ漂ってきた。
 逃げなければ。ここにいたらどうなってしまうかわからない。この男は、イブをそそのかした蛇のようにわたしを誘惑する。どこかで馬を手に入れて、早く遠くへ逃げよう。
 ロアンナは音がしないよう気をつけながら、ゆっくり体を起こした。男はまだ眠っている。彼女はおそるおそる立ち上がると、まだ湿っているドレスを急いで身につけた。
 そっと足を一歩前に踏み出してみる。男は動かない。男から目を離さずに一歩一歩慎重に足を運んでいく。男の近くに来ると、長い脚が行く手を阻んでいることに気づいた。またがなければ外に出られない。深く息を吸って、足を上げる。
「もう帰るのか?」
 ロアンナが驚いてバランスを失った隙に、男はすばやく立ち上がった。彼女は後ろに下がって、用心深く男を観察した。
「片方の目しかないが、あいにく視力はいいんだ」男は言った。「なかなかいい眺めだったよ」
 男が浮かべた親しげな笑みは、情事のあとの恋人の笑みを想像させた。ロアンナはさらに後退した。
 男は近づいてくる。
「なにもしないって約束したはずよ」ロアンナはあとずさりながら言った。
 男の顔がこわばった。「人を見かけで判断してほしくないな。悪夢から抜け出したような顔をしていても、人間の皮をかぶった悪魔だとは限らないんだ」
 ロアンナは頬が熱くなるのを感じてうつむいた。少し前までわたしが考えていたことを知ったら、この男はどう思うだろう。
「芝居はやめろ」男が鋭い声で言った。「今さらおとなしい娘のふりをしても遅い。その頭の中で考えていることは、わかってるんだ」
 エムリスは自分の前で両手を握りあわせてうなだれている娘を眺めた。
 たぶんぼくは間違っていたのだろう。この娘もほかの貴族の娘と変わらないようだ。少しでも有利な結婚をすることしか頭にない。自分の将来が台なしになるのを心配しているだけなのだ。
 無性に腹がたつ。たとえ彼女の背中にむしずが走ろうと、もう一度この顔を拝ませてやる。「レディー、きみは四六時中そうやってばかなふりをして人を欺いているのか? それとも自分に都合のいいときだけなのかな」
 娘は目をぱっと光らせて顔を上げた。「女がみなそんなに愚かだとは限らないわ。決めてかかっている男には、なにを言っても無駄でしょうけれど」
 娘の緑色の瞳は怒りの炎で輝き、あごはキスを求めているかのように突き出ている。「それは失礼」エムリスは娘の顔から目を離さずにお辞儀をしてみせた。「やっぱりきみはキンリクにはもったいないな」
 男のにやにやした顔を見ると、ロアンナの体の奥からさらに怒りが込み上げてきた。自分の手の震えに気づいて懸命にとめようとしても、いつもの的確な自制力はどこかに消えてしまっていた。
「どうしてあなたはわたしの結婚に口出しするの?わたしの人生のことも、女の人生のことも、あなたはなにもわかっていないわ」
 男の手が伸びてきて、ロアンナの頬にそっと触れた。その優しい仕草に、彼女はショックを受けた。「わかっていることもある。キンリクはきみを不幸にするよ」
 涙が込み上げてきたが、まばたきをしてこらえる。「わたしにどうしろというの? もう契約に同意しているのよ」
「きみ自身がかい?」
「伯父の顔に泥を塗るようなことはできません」
「きみ自身はどうしたいんだ?」男がまた近づいてきた。息遣いがはっきりと聞こえる。
 早く逃げたほうがいい。わかっているのに、体が動かない。「わたしは……」
 立ち尽くすロアンナを、男は自分の胸に引き寄せた。男の唇が彼女の唇に軽く触れ、草原を駆けるそよ風のように愛撫し、味わった。ふいにきつく抱き寄せられると、めまいのような感覚がロアンナの全身を駆け抜けた。しだいに強引になる男のキスに応えるかのように、心臓の鼓動も速さを増していく。ロアンナの両手は、知らず知らずのうちに男の胸に伸びていた。織りの粗いチュニックに包まれた硬い筋肉や、その下の鼓動をぼんやり意識しながら、彼女は男の唇のゆっくりした動きを楽しんだ。
 この世界にこんなに快いことがあったなんて。そしてそれがわたしの身に起こるなんて……。
 男の腕にさらに力がこもり、キスは深さを増した。ロアンナのうなじの上で遊んでいた手が背中に移り、ドレスの飾り紐をほどいた。その手がドレスの下に滑りこむと、ロアンナは小さなうめき声を漏らして男の胸にもたれかかった。彼女の意識の中には、すでに男の唇と手と、膨らんでいく自分の欲望しかなかった。
 男の舌がそっとロアンナの唇を開かせて、熱い口の中に滑りこんできた。驚きとショックで彼女はわれに返り、男を突き放した。「お願い、やめて」
 男はゆっくりと誘惑的な笑みを浮かべた。「かまわないよ。きみがやめたいなら」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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