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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

白雪姫の嘘

白雪姫の嘘


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

 ■優しく純真そうな彼女だが、愛する人に打ち明けられない秘密があった。

 ■飼い主から世話を頼まれている犬が、羊の群れに向かっていく。「ラッキー! だめよ!」エマは必死に呼び戻したが遅かった。牧場主のケインが冷たい怒りをたたえて現れ、今度犬が羊を追いかけたら撃ち殺す、と宣告した。独裁者を思わせる彼の風貌、そして強烈な存在感に、エマは、稲妻に体を貫かれたような激しい衝撃を感じた。その運命的な出会いのあと、ケインは何かと彼女の面倒を見ようとする。しかしある事情から、彼は決してエマが恋してはいけない男だった。しかも彼にはすでに婚約者がいるらしい。これ以上親しくなるのはやめよう。エマは自分に言い聞かせたが、すでに強く彼に惹かれていた……。

抄録

 二人はなんの言葉も交わさずに、馬に乗って戻った。馬の背から鞍をはずし、自由にしてやるまでに必要だったほんのわずかな言葉をのぞいて、沈黙が続いた。ラッキーはそれに気づき、警戒して、エマのすぐそばにぴたりとついていた。
 ケインはたぶん不機嫌なだけよ。エマは、彼と並んで屋敷に向かって歩きながら考えていた。でも気分次第で態度を変えるなんて彼には似合わない。わたしと同じで、そんな弱さは見せたくないはずだ。
「すばらしい遠乗りだったわ。どうもありがとう」自分でもおざなりな挨拶に聞こえる。
 ケインは腕時計をちらっと見た。「ぼくは五分以内に電話をしなくてはならない。そのあとでラッキーを訓練してやろう」
 彼と一緒に屋敷に戻りたくはない。エマは、彼の母親やつんけんしたアナベルに会いたくなかった。
「池のところで待っていていいかしら? なんだか自分が汚れた馬になったみたいで、水が恋しいの」
「かまわないよ。十五分で戻る」
 池の近くには見事に枝を広げた楡の木があり、その下にベンチが置いてあった。エマは腰を下ろし、膝に押しつけられたラッキーの頭を撫でてやった。
 上を向いたエマの顔に木もれ日が降りそそぐ。心を空っぽにしようとしたが、ケインの姿が頭にしっかりと焼きついて離れない。
 目を閉じて、彼が馬の背に鞍をのせたときの優雅な動きを思い出そうとした。毅然と上げた顔、たくましい肩と引き締まった腰、いかつい顔、そして冷たい炎を宿した目。
 しかし、エマの体に熱っぽい小さな身震いを起こさせるのは、彼の唇だった。そして彼のほほ笑みがつくり出す白い閃光は、抵抗できないほど魅力的だ。
「エマ」
 エマはぱっと目を開いた。ケインがあまりにも静かに近づいたのでなんの音も聞こえなかった。ラッキーも身動きひとつしなかった。
 膝ががくがく震え、頭がぼうっとしてしまったので、エマは彼が差し出した手をつかんだ。ケインは彼女を引いて立たせると、初めから決めていたかのようにその体を抱いた。
「会ったときからずっと、こうしたい気持ちと闘ってきた」ケインは低い声で真剣に言い、まるで悪事でも働くかのようにキスをした。
 激しい欲望が押し寄せ、エマは何も考えられなくなった。このキスはあまりにも強烈だった。エマは広げた両手を彼の広い背中に押し当てた。彼の唇に圧倒され、むさぼるように味わううちに背骨が溶けてしまいそうな気がした。
 やがてエマは次第に不安がつのるのを感じ、おずおずと重いまぶたを上げて、燃えるように輝く彼の目に視線を合わせた。
 苦痛が体を貫き、情け容赦なく妄想のベールをはぎ取った。エマは激しくまばたきをした。体をこわばらせて身を引く。
 ケインが手を離したので、エマはあとずさりして、ため息をついた。「こんなこと、だめよ」やっとの思いでそれだけ言った。
「そうだな」ケインの返事があまりにもよそよそしかったので、エマはぞっとした。「悪かった」
 ラッキーが哀れっぽい鳴き声をあげ、脚に体を押しつけてきた。エマはラッキーの頭を撫でてやったが、頭の中でとりとめもなく渦巻いているさまざまな考えをまとめることはできなかった。唯一感じられるのは大きな失望だった。ケインにはオーストラリアに婚約者がいるのよ。
 相変わらず冷ややかな声でケインが言った。「もう二度としないよ。さあ、行こう」
 それからの十五分間は地獄にも等しかった。エマは柵に腰かけ、ケインは二匹の犬の助けを借りて、小さな白黒のボーダーコリーの雌犬と、状況がよくのみこめないもののおもしろがっているラッキーに訓練をほどこした。
 ケインはさっきのできごとをまったく意に介していないようだったが、エマはひどく心を乱されたので、感情を落ち着かせるにはあらゆる力を振りしぼらなければならなかった。きっと彼にとってあんなキスはたいした意味はないんだわ。
 さいわい数分もすると、彼の訓練の巧みさがエマの心をとらえた。目の前の光景に神経を集中させることができたので、エマの気分はおさまってきた。ケインはすばらしかった。犬の心理を実によく理解しており、忍耐強い。一回の笛がある命令を意味するのだと教えるのに、しかるのではなく、ご褒美が有効なのを知っていた。そしてラッキーは優秀だった。ラッキーに同じことを二度教える必要がないのを見て、エマはある種の誇りさえ感じた。
「すてきな光景じゃない?」背後で声がした。
 エマは振り向いた。「こんにちは、アナベル」
 アナベルの目は挑戦的だった。「ケインはいつだって自分が何をするべきかわかっているのよ。わたしのママはケインが生まれたときから知っているけど、子供のときからそんなふうだったって言っているわ。計画を立て、時機を待ち、仕事に取りかかるんですって。誰かを傷つけても気にしないし、誰にも負けたことはないのよ」
「そんな受けとめ方しかできないの?」
「どういうこと?」
「わたしなら、こう考えるわ。人のことなどかまわず独断で行動するには、知性とエネルギーと勇気が必要なはずよ。愚かな人たちはやみくもに働いて目的に到達しようとするけれど、自分が欲しいものを必ず手に入れるには、頭脳だけでなく強い精神力も備えていなければならないわ」

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