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魔窟の飛兵団 ランドルフィ物語7

魔窟の飛兵団 ランドルフィ物語7

著: 清水義範
発行: 朝日新聞社
シリーズ: ランドルフィ物語
価格:494円(税込)
10ポイント還元
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 清水 義範(1947〜)
 昭和22年10月28日名古屋市生まれ。愛知教育大在学中より「宇宙塵」等に作品を発表。卒業後、半村良氏に師事して上京。10年のサラリーマン生活の後、執筆活動に専念。88年『国語入試問題必勝法』で吉川英治文学新人賞受賞。奇抜な発想とユーモアを駆使した作品を次々と発表。SF、ミステリー、エッセイなど著書多数。

解説

 聖なる神授冠を甦らせ、この世に真の平和を築こうとする冒険王の旅は続く。
 残る2個の金剛石はどこに? 思索するランドルフィのもとに草の国の王の訃報がもたらされた。鳥の国との闘いで戦死したのである。しかし、その死は謎に包まれていた……。鳥の国の謎を探るために遠征したランドルフィは、この国が宿敵ダークマリオンに支配されていることを知るのだった。
 清水義範が描く、壮大な冒険ファンタジー、ついに完結!

目次

第一章 聖なる水の奇跡
第二章 英王の訃報
第三章 平和への大遠征
第四章 岩の国の大蜘蛛
第五章 鳥の国の邂逅
第六章 魔窟都市の三剣士
第七章 鳥の国の秘事
第八章 飛翔する大兵団
第九章 ヘテダリル陥落
第十章 皇帝の新時代

抄録

「ゴルチェ王が戦死なされた……。そんな、そんなことがどうして起こるのだ」「鳥の国へ遠征中での出来事です。そして、あまりの急な成りゆきに、一体何があったのかも正確には掴めておりません」「おかしいではないか。なぜそのような重要なことがはっきりしていないのだ」
 ランドルフィは怒鳴りつけるようにそう言った。「何か事情がおありのようですな」
 とりなすようにそう言ったのは、白髪白髯の執政官イタロ・メダルドであった。「たとえ戦争になるにしろ、本格的なそれが始まるまでにはまだ間があろうと思われた初期の段階で、いきなり戦闘が起こり、ゴルチェ王を守る一団がほとんど全滅してしまったということなのです。この私などは王に従ってまだ後方を進軍中のことでありました。王の闘いぶりを見もせぬうちに、突然王の訃報を得たのです」
 トマーゾ・エワルドの語るところをまとめれば、およそ次のような事情であったらしい。
 そもそも、鳥の国に政変のあったらしいことは、草の国にも洩れ伝わってきていた。その国に派遣してあった大使からの連絡がとだえていたし、様子見にやった一隊が消息を絶つというようなこともあったからである。
 そこでゴルチェ王は、鳥の国ドラコの新王エンドア・ジャリに親書を送ったのだった。新王には、従前通り我が国と友好の関係を維持されるお考えがあるのか、それとも外交を断ち、時によっては敵対しようとの意志をお持ちなのか。
 その親書に対する返事は、これまで成りゆきを見守っていたゴルチェ王をついに動かすことになるものであった。エンドア・ジャリからの返書には、余を世界第一の皇帝と認め、配下につくのであれば許すが、さもなくば草の国など一呑みにしてくれよう、という内容のことが書かれていたのである。
 これは頭が狂っておるらしい、とゴルチェ王は笑ったという。鳥の国の国力で草の国を呑み込むなど、狂人でなければ言えない科白(せりふ)だったのである。
 ついにゴルチェ王は軍を発した。そして自らその軍の先頭に立って、兵馬を進めたのである。
 草の国の軍勢が規律のゆき渡った整然とした行進をしていく光景は、威風堂々向かうところ敵なしといった感を見る者に与えるものであった。その強力な軍勢の前に立ち塞がる者などありようもなく、全軍は易々と鳥の国への国境を越えたのである。
 大軍勢は縦に長い陣形で行進した。ゴルチェ王はその最先端部にあり、トマーゾ・エワルドは陣の中央あたりにいた。
 鳥の国に入ってその領土内を進んでも、敵対しようとする軍は眼前に一兵たりとも現れなかった。大法螺を吹いたものの、草の国の強力な兵団の前には誰一人として立ちむかえるものではないのであろうと思えた。そうして、ゴルチェ王はその国の都、ヘテダリルの、ほんの目と鼻の先の地点まで、何の支障もなく達したのだった。
 ヘテダリルは、海に近い小高い丘の上にある都市であった。その丘を内陸側に下りきったところに川が流れており、その川をはさんで対岸にももうひとつ小高い丘があった。ゴルチェ王はただの森林であるその丘の上に、本陣をしいたのだという。その丘を中心に後続の部隊を二重三重に配備して、敵の都を包囲しようという考えであった。そうしておいてから、あらためてこの国の新王と交渉を始めれば、相手の出方も変わってこようという読みだった。丘の上に陣をしけば、万一攻めかけられたとしても防戦がしやすい、というのは常識である。「ところが、王がその丘の上に本陣を置いたその日のうちに、敵は攻撃をかけてきたらしいのです」
 エワルドは沈痛な声でそう言った。「その時私はまだ後方を進軍中であった。確かに王の近くにいて王を守る人数はあまり多くはなかった。だが、多くはないといっても王を守るのは選りすぐった一騎当千の兵ばかり。しかも戦術的に優位きわまりない丘の上にあって、なぜそのようにもろくも王とその護衛の兵団が敗れたのかは見当もつかぬのです」「戦闘を目撃した者はおらぬのか」「王の部隊は全滅でござった。誰も彼も、矢で射殺されておりました。そしてただ一人、瀕死の重傷を負いながらも、我らが丘の上にかけつけた時に息のある者があり、その者がようやく死にぎわに言い残した言葉はたったの一言」「何と言ったのだ」「その者はこう言いました。ゴルチェ王を殺したのは鳥であると」

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