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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

奥様、お手を

奥様、お手を


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エマ・ダーシー(Emma Darcy)
 フランス語と英語の教師を経て、結婚後、コンピューター・プログラマーに転職。ものを作り出すことへの欲求は、油絵や陶芸、建築デザイン、自宅のインテリアを整えることに向けられた。人と接するのが好きで、人と人とのつながりに興味を持っていた彼女は、やがてロマンス小説の世界に楽しみを見いだし、登場人物それぞれに独自の性格を与えることに意欲を燃やすようになった。旅を楽しみ、その経験は作品の中に生かされている。現在はオーストラリアのニューサウスウェールズにあるカントリーハウスに住む。

解説

 ■イギリスから不意に訪れたハンサムな執事。その正体は……。

 ■アシュリーは七年前に夫を亡くし、人材派遣会社を経営しながら、九歳の息子、ウィリアムを一人で育ててきた。ある日、イギリスから富豪一族の執事だと称するハリーがやってきた。アシュリーの亡夫が一族の遠縁にあたることから、息子のウィリアムを跡継ぎとして迎えたいというのだ。しかし、アシュリーは素直にイギリスに赴く気にはなれなかった。亡夫とその母親が上流階級の出身であることを鼻にかけ、人を見下していたのを忘れることができなかったからだ。そんなアシュリーに、ハリーは、説得するという任務が成功するまで、執事として彼女に仕えると言って譲らない。しかも彼は言葉どおりに、あくまで礼儀正しく、かつ断固とした態度で、アシュリー母子のために何かと力を尽くしてくれる。ところが、忠実で優秀な執事だとばかり思っていたハリーが、富豪一族の当主、クリフトン卿その人だとわかり……。

抄録

 昨夜、アシュリーはまさにそう自分に言い聞かせたのだった。しかし、ほかにも考慮しなくてはならないことがある。二人の生い立ちや住んでいる国、これまでの生活の違い。二人の感情が確かなものだとしても、二人の間にはあまりに違いがありすぎる。
「将来のことはどう思ってるの?」アシュリーは何が正しいのか、現在と将来のどちらを重要視すればいいのかわからなかった。
「将来のことは誰にもわかりません。ただ、今、あなたが欲しい。この数年間、あなたほど欲しいと思った女性はいなかった」
 私もあなたが欲しい。これまでに会ったどんな男性よりも。それは否定できない。欲望をあらわにし、彼女の偽りのない答えを求めているハリーのブルーの瞳の前で、それを隠すことはできない。でも、どう答えたらいいのだろう? こんなに不確かなことばかりなのに。
 自分自身とウィリアムのために、アシュリーは正しい、いや、最善の決断をしなければならない。単に相手を求めているからといって、結果も考えず無責任に、欲望に身を任せることはできない。アシュリーはどんな小さな懸念も見過ごさず、あらゆる可能性を考慮して生きてきた。けれども、これを拒否してしまったら……。
 ハリーも思いを巡らせていた。僕は行動に出た。アシュリーに不安を忘れさせ、決断を迫った。すべてがうまくいくことに賭けて強引な行動に出たことを、僕自身よくわかっている。こうするしかなかったのだ。アシュリーを知りたい。感じたい。僕は何年も死んだような生活を送ってきた末に生き返り、人生というものを感じ始めたのだ。
 アシュリーに出会って、彼女に比べたらほかのすべてがどんなに退屈か初めてわかった。彼女は僕を目覚めさせてくれた。この新鮮な活力を手放すことはできない。彼女に背を向けさせることはできない。今、行動を起こさなければ、彼女は僕に背を向けてしまうかもしれない。彼女は一度決断したら、強い意志でそれを実行するだろう。時間を与えてはいけない。一秒たりとも考える余裕を与えてはいけない。
 ハリーはアシュリーに近づいた。血が血管の中で脈打っている。狩りに出かけるハンターや、戦いに挑む戦士の興奮と本能的な気持の高ぶりがわかる。出撃らっぱが頭の中で響きわたる。もう何も止めることはできない。何があろうとアシュリーを、僕が望む、そして彼女も望んでいる発見の旅に連れ去るのだ。
 アシュリーも望んでいた。ハリーと共に本当に生きている喜びを、自由に生きている喜びを感じ、歓喜の極みに達したいと望んでいた。激しい欲望のために、アシュリーの瞳は陰りを帯び、大きく見開かれている。彼女はかすかに体を震わせ、ハリーの方に向き直った。ハリーはアシュリーから同意を引き出すために、そしてその責任を負い、過去を未来へと向かわせるために、デスクを回ってアシュリーに近づいた。
 ハリーにとって未来はまったく意味がなかった。なるようにしかならないと思う。今だけが問題なのだ。今こうなることを、ハリーは二人のために選んだ。アシュリーもこうなっては、引き下がろうとはせず、受け身でいようともしなかった。
 ハリーはアシュリーを抱き寄せた。アシュリーは彼の胸に両手を当てた。彼の体を押しのけるためではなく、彼に触れるために。その手は軽く触れているだけなのに、ハリーは心臓をハンマーで打たれるような刺激を受けた。全身が熱くなっていく。それと共に生きている喜びと感激が広がり、アシュリーのすべてを味わいたいという欲望に火がついた。彼女は、再び生きていく喜びを感じさせてくれた。彼の胸を甘い吐息で満たし、希望を抱かせてくれた。彼の人生はまだ終わっていない、まだ喜びがあると教えてくれた。
 ハリーはアシュリーをさらに強く抱き寄せた。彼女の女らしい柔らかさを感じたかった。ハリー自身がよく知る、孤独といううつろな世界から呼びかけてくる彼女の魂に触れたかった。その世界には、色鮮やかだったはずの夢が燃え尽きた、灰色の名残しか残されていない。
 ハリーは、パレットを手にし、二人の周りに思うままに鮮やかな色を塗りつけたいと思った。もう灰色はいらない。灰色は新しい創造を待っている無だ。無視できないほど、強く創造の意欲をかき立てる。
 アシュリーはハリーの首に腕を回し、美しい顔を仰向けた。滑らかな曲線を描く下唇が小刻みに震え、ハリーの唇を待っている。気持の高ぶりに輝きを増した彼女の瞳の中には、夢と希望、そして欲望の炎が燃えている。夢を見ようと誘っている。二人が感じ合える歓びを、すべて共有したいと叫んでいる。
 チャンスだ。アシュリーも僕と同じように、もう我慢できないでいる。
 ハリーはさらに腕に力をこめた。アシュリーの柔らかな腿が、もう後戻りできない欲望のために、緊張を増した彼の腿に押しつけられた。ハリーの腰に密着している柔らかな腹部が、その奥のひそやかな歓喜を約束している。胸のふくらみも、ぴったりと彼の胸に押し当てられている。ハリーは唇を重ねた。甘いキスの感触がお互いの欲望をさらに高め、激しい感情の渦となって二人を襲い、すべてを忘れさせた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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