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悲しい過去を胸に 若き獅子たち I

悲しい過去を胸に 若き獅子たち I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス若き獅子たち
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マーガレット・ウェイ(Margaret Way)
 書くことが大好き。息子がまだ赤ちゃんのころから小説を書きはじめ、今では執筆しているときが彼女のいちばん充実した時間になっている。楽しみは仕事の合間を縫って画廊やオークションに出かけること。また、シャンパンには目がない。オーストラリアのブリスベーン市街を見下ろす小高い丘にある家が彼女の安息所である。

解説

 ■父親を夢中にさせている美しい女性に、彼は反発しながら惹かれた。彼女もまた……。

 ■オーストラリア奥地で広大な牧場を営むキンロス家の長男ブロッドは、生まれ育った屋敷キンバラから遠く離れた牧場で暮らしている。彼のもとに、ポロ競技会を開くから来るようにと、利己的で尊大な父親から手紙が届いた。今キンバラには、ブロッドの伯母で女優のフィオナが滞在している。そして伯母から話を聞いて伝記を執筆しているジャーナリストで、クールな美しさをたたえたレベッカ・ハントという若い女性もいた。父はポロ競技でレベッカにいいところを見せたいのだ。キンバラを訪れたブロッドは、彼女が父を誘惑しているのだと思い、嫌悪感を隠さなかった。レベッカのほうはブロッドの態度に困惑し、怒りすらおぼえたが、同時に彼の輝くような魅力に圧倒されずにいられなかった。

抄録

 彼女は言いつけに従い、彼のばかにした態度をまねた。「目隠ししていましょうか?」
「その必要はない。庭のほうを向いていてくれればいい」
 レベッカは冷笑した。「そこまで考えるなんて疑いすぎよ」
「どうかな。実を言うと、今日はきみのことばかり考えていた」
 感電したような衝撃がレベッカを貫いた。彼女はさっと顔を振り向けた。ブロッドは壁に埋めこまれた金庫のドアを閉めているところだった。
「父は女性に恋する年齢はとうに過ぎたと思っていたんだが」
 レベッカは唇をゆがめた。「それは大きな間違いよ。人はいくつになっても恋をするわ。十代でも四十代でも、八十代だって。実証ずみよ。人を愛するというのは崇高なことよ」
「同感だ」ブロッドは優雅な足どりで彼女に近づいた。「きみが愛しているのは誰なんだ?」
「あなたには関係ないわ」そっけなく言っても声が震えている。このままだとわたしたち、何か愚かなことをしてしまいそうだ。ブロンズとガラスでできたシャンデリアが、ブロッドの整った顔に陰影を作っている。性的衝動の高まりが彼のサファイア色の目をいっそう輝かせていた。美しく力にあふれた目を見ていると、怖くなってくる。この人はわたしを傷つけるだけだ。
「頭がどうかなったみたいだ、だろ?」彼の言葉は彼女の深層心理を代弁していた。
 ブロッドは彼女の顔を上向かせた。そして欲望に突き動かされてキスをした。彼女はすばらしすぎる。男に愛撫されるためにあるような肌、ほっそりした体。そして全身から漂う香り。彼は、レベッカのもらすあえぎ声に興奮し、疑惑など忘れて抱きしめた。主導権は自分にあると思っていたのに、まるきり引きずられている。かまうものか。疑念はどこかへ吹き飛んだ。彼女の小さなうめき声に興奮し、その体をいっそう抱きしめる。
 やわらかい唇がブロッドに応えて開いた。彼女も木の葉のように心の嵐に吹き飛ばされたのだろうか。こんなにしっくりなじむ女性は初めてだ。彼のキスは口づけなどという生やさしいものではなかった。レベッカの唇だけでなく、顔中を飢えたようにむさぼる。彼女の頼りない重みが失われ、自分のなかに溶けていく気がする。なんということだ。彼は恋のとりこになろうとしていた。この素性も知れない、油断ならない女性のとりこに。
 それが彼女の狙いなのだ。父と息子。
 愕然とするその思いのゆえに、ブロッドは彼女を放すこともできた。だが欲望の火は消えてくれない。
 彼女の持つ力だ。この甘さ! 妖しさ! ブロッドは後悔した。しかし手を離せば、腕のなかの女性は倒れてしまいそうだ。どういうつもりだ?
「レベッカ」彼はうなった。彼女を放すべきだと気づいて、怒りがつのる。
「言って。わたしにどうしてほしいの?」レベッカはかすれた声で哀願した。涙がこみあげる。わたしは長いあいだ懸命に抑えてきた心を彼にゆだねてしまった。
 ブロッドは彼女の潤んだ目を見ながら冷めた声で言った。「こんなことすべきじゃなかった。頭がどうかしていたとしか思えない」
 これは彼女の演技だという可能性もある。まるで魔女だ。それでもブロッドは彼女の細いウエストを両手でつかみ、机の端に座らせた。彼女は驚き、呆然と見つめ返している。
「悪しき時代なら、きみみたいに魔力を持った女は火あぶりの刑に処せられたかもしれない」からかう彼の声はかすれていた。
「そうしたら、あなたは楽しんだでしょうね」頬に赤みの戻ったレベッカは言い返した。
「ぼくはきっときみを救おうとしたさ。そのせいで殺されたかも」彼は自分をあざけった。いったいどうなったんだ? 幻想の小宇宙に二人だけで閉じこめられたみたいだ。
 レベッカも恐怖に打ちひしがれていた。彼女は手で顔を覆った。「戻らなくちゃ。戻らなくちゃ」呪文のようにつぶやく。
「そうだな」彼の声はどこか冷酷だった。「戻らないと、父がきみのあとを追ってくる。こうして二人でいるのを見たら、ぼくがきみを誘惑していると勘違いするかもしれない」
「でもこんなの、あなたにとってはなんの意味もないことよ」レベッカは両手で自分の体を抱いた。
「そうじゃないのが悲劇だね。レベッカ、きみには魔力がある」ブロッドはそばに寄って彼女の髪に触れ、もてあそんだ。「ぼくはきみに魅了された。だがきみを無垢だとは思っていない。父を言いなりにさせているのがその証拠だ。今、ぼくも父と同じ気持ちになったんだから間違いない」彼はぞんざいにレベッカを床に下ろした。「もう戻ろう。きみが先に行ってくれ。ぼくはあとから行く。聞いていないかもしれないが、父は花火を計画している。きみのためにね」
「スチュアートは何もかも自分の思いどおりに決めたのよ。わたしの気持ちなんて関係ないわ」これ以上ブロッドと同じ部屋にはいられない。彼はわたしを変えてしまった。恐ろしい人だ。今まで誰かに自分をさらけだしたことはなかったのに。レベッカは片手で乱れた髪を撫でつけ、ブロッドについてこないでと片手で制した。「もうこの屋敷にはいられないわ」フィオナの本も、キンバラでの滞在も終わりにしよう。
「とんでもない。少しばかり危険でも、誰もきみをここから帰さないだろうよ」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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