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鏡の中の花嫁 愛を運ぶ絵 I

鏡の中の花嫁 愛を運ぶ絵 I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス愛を運ぶ絵
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆2
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

 ■彼はわたしの初恋の相手だった。でも、その当時彼が情事を重ねた相手は……。

 ■「彼に手紙を書くのよ」青い瞳の女性が言った。オリビアははっと目を覚ました。今夢に見た女性は誰だろう? でも、女性の言葉どおり、とにかくドレイクに手紙を出してみよう。詳しいことは書かず、ただ耳に入れたい話があるとだけ書いて。ドレイク・アランデルはオリビアの初恋の相手だった。F1ドライバーから出発した彼は、今やホテルチェーンのオーナーだ。彼に頼るのはいやだったが、六歳になるサイモンは難聴が進行していて、貧しいオリビアには、ほかに手術代を工面する方法が思いつかない。手紙を受け取り、彼女のもとを訪れたドレイクに、オリビアは「サイモンはあなたの息子よ」と言い放つ。その言葉を一笑に付したドレイクに、オリビアはたたみかけた。「わたしの子じゃないわ。母の子よ。そして、父親はあなたなのよ!」

抄録

「なぜわたしまで?」オリビアは尋ねた。
「きみが協力しないのなら、ぼくも断る。三流雑誌に売りこむと脅しても無駄だ。そんなことをしたら、ブライアンにきみの居所がわかってしまう。そのうえ、裁判に巻きこまれてみろ。サイモンを彼の毒牙から守るのは不可能だ」ドレイクの目の表情は濃いまつげに隠されていたが、口元にはぞっとするような笑みが浮かんでいた。
「あなたを軽蔑するわ」オリビアはさっと立ちあがった。一瞬吐き気とめまいがしたが、出された食べ物に手をつけなかったことがうれしかった。おかげで堂々と出ていける。
「でも、ぼくの金は受けとるわけだ」
「サイモンはあなたの息子だっていうのに、なんてことを言うの。誰かがあの子を面倒を見なければならないのよ」
「本当にぼくの息子なら、ぼくが面倒を見る。だが、きみにまで安穏な生活を提供する気はない」
「そんな不愉快なお金を、誰が自分のために欲しがるものですか」
 立ちあがったドレイクが、二人を隔てていた距離をほんの一歩で埋め、本能的にあとずさったオリビアの肩をきつくつかんだ。オリビアは必死で逃れようとしたが、バランスを失っただけだった。
 まったく。二の腕に食いこんだドレイクの指先に支えられたとき、オリビアは内心悪態をついた。
「おとなしくしろ。よく聞くんだ、オリビア・ニコルズ。二度と言わないから、絶対に聞き逃すな。いいか、ぼくはきみが以前の生活に戻る手段として利用される気はない」
「わかってるわ」
「それならいい」ふいにドレイクの目から怒りが消え、表情がやわらいだ。楽しげな、気さくとも思える低い声で彼は続けた。「だが、きみもぼくも、サイモンがぼくの子供じゃないことは知っている。だろ? 本当は、きみは血液検査なんか望んでいないはずだ。法律を持ちださなくても、確実に双方に好都合な結論に到達できるんだから」
 彼の話には、妙に現実離れしたほろ酔いの心地よさがあった。まるで鏡の家に迷いこみ、不条理の迷路にはまったような気分だ。別の角度から攻撃をしかけられたと気づいたのは、しばらくしてからだった。結局、親子関係を証明するためには遺伝学的な検査をするしかないのだ。ドレイクのばかにしたような笑顔を見上げながら、オリビアは言葉を探した。
 風邪を引いた体で長い距離を歩いた疲れが出たのか、左右に揺れていた部屋が、急にぐるぐる回転しはじめた。吐き気とめまいがする。ドレイクの腕をつかんで必死に耐えていたオリビアの両膝が、がくっと崩れた。
 そのとき、押し殺したような声をもらしてドレイクがキスをした。
 オリビアは荒々しく刺激的なキスの味などもう忘れたと思っていたが、ドレイクの唇にわずかに触れただけで、それがとんでもない間違いだったと気づいた。心の奥に刻みこまれていた、はるか昔のたった一度のキス。今、ドレイクのキスに激しく応えずにいられないのは、長いあいだひそんでいたその記憶のせいだった。
 オリビアは抵抗するどころか、どこからともなくあふれ出る激しい感情のうねりに屈し、熱い奔流にのみこまれて、せっかくこの数年間で育んできた常識と分別を呼び起こすことができなかった。
 ドレイクの欲望の高まりが伝わってくる。激しい胸の鼓動、大きくしなやかな体の筋肉、唇にかすかに浮かぶ微笑、濃いまつげの奥にくすぶる情熱の炎……。
「なるほど、あのころと変わっていない部分もあるんだな」
 ドレイクの真意はその言葉ではっきりとわかった。オリビアはさっと顔をそむけ、体を引き離そうとした。「ちょっと待って。それは誤解よ」
「そうかな?」ドレイクは今のキスをなんとも思っていないようだ。
 オリビアがもがくのをやめるまで待ってようやく手を離したドレイクは、ぞっとするほど冷たい探るような目を向けてきた。
 胃のむかつきを覚え、オリビアは目を閉じた。喜びが急速に萎え、代わりに怒りと嫌悪がこみあげてくる。「ひどいわ!」
 この男には心がないのだろうか? 氷か鉄でできた人形と話しているような気がする。
「立証不可能な話でも哀れっぽく持ちかければ、ぼくがだまされるとでも思ったのか?」
「そんなつもりはこれっぽっちもないわ」苦い幻滅を味わいながらオリビアは言い返した。だが驚きはしなかった。十七歳の夏にすでに経験しているのだから。「詐欺師はあなたのほうよ。DNA鑑定の結果が出て、それを認めさせるのが楽しみだわ」
「場合によっては、その逆かもしれない。とにかく、鑑定の手配はぼくがしておく」
「そうね。あなたにとっては大したことじゃないでしょうから。手配ができたら連絡してちょうだい」
 オリビアはきびすを返し、ドアに向かった。だが、ドアのそばでまたぐらりと体が揺れた。なんとか倒れずにすんだのは、夢中でつかまえたドアノブのおかげだった。
「どうしたんだ?」
「なんでもないわ」だが、指先に力が入らず、ノブがまわらない。そのうえ恐ろしいことに、目の前がまた不気味に揺らぎはじめた。
 オリビアは立っているのが精いっぱいで、腰に手がまわされ、引き寄せられるまで、ドレイクがそばに来たことにも気づかなかった。力強い男の腕。オリビアは一瞬、何もかも投げだしてその腕に身を委ねたくなった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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