和書>小説・ノンフィクション>エンターテインメント小説>ハードボイルド小説
著者プロフィール
龍 一京(りゅう いっきょう)
元警察官、そして作詞家であり歌手、現在はエンターテイメント作家として活躍中。「小説は作家から読者への一方通行であり、読者のみなさんとのコミュニケーションが無いのが残念だ」という考えから、日本全国で積極的に講演会を開催している。『非情刑事』『非情刑事2』『非情刑事3』『女豹復讐鬼』『女豹狩り』『女豹闇稼業』など著書多数。
元警察官、そして作詞家であり歌手、現在はエンターテイメント作家として活躍中。「小説は作家から読者への一方通行であり、読者のみなさんとのコミュニケーションが無いのが残念だ」という考えから、日本全国で積極的に講演会を開催している。『非情刑事』『非情刑事2』『非情刑事3』『女豹復讐鬼』『女豹狩り』『女豹闇稼業』など著書多数。
解説
京極は手加減しなかった。容赦なく指を責めたてた。指の付け根、水掻きの部分から骨を折られた二本の指は、ぐにゃぐにゃしていた。
最愛の妹までが執拗な無差別テロの犠牲になり、警視庁公安課警部補・京極健は警察の登録名簿から抹消され地下へと潜った。冷酷非情な殺人鬼と化した京極。だがテロリストたちは企業のエゴと結託、さらに大物政治家とも迎合し、その豊富な資金で恐るべき政府転覆計画を開始した……。
最愛の妹までが執拗な無差別テロの犠牲になり、警視庁公安課警部補・京極健は警察の登録名簿から抹消され地下へと潜った。冷酷非情な殺人鬼と化した京極。だがテロリストたちは企業のエゴと結託、さらに大物政治家とも迎合し、その豊富な資金で恐るべき政府転覆計画を開始した……。
目次
第三章 伸びる魔手
第四章 自供
第五章 爆破への報復
エピローグ
第四章 自供
第五章 爆破への報復
エピローグ
抄録
(あれは君島とケインズ、それに二川と真知子も)
ターミナルビルの中に入っていた京極の目が、エスカレーターから降りてくる君島たち四人の姿をとらえた。
二川と真知子が前に立ち、その後ろに君島とケインズが肩を並べていた。
サングラスの下で、京極の鋭い目が光る。君島とケインズを見据える京極の顔から血の気が引いた。頬の筋肉が痙攣し、傷痕が微妙に動く。緊張と感情の昂りが、おもわず京極の体を身震いさせた。
京極は、じっとりと汗ばむ手を懐に入れて拳銃を握りしめた。
気持ちを落ち着けようとしてか、無意識のうちに大きく息を吸い込んだ。その息を小さく吐き出し、人ごみにまぎれて、エスカレーターから降りて出口へ向かう君島たちの後ろへ回った。
京極は左手でサングラスを持ち上げた。息を止めて、背後から君島とケインズの体にピッタリ身を寄せた。
京極は、周りの一般客から気付かれないように銃を抜いた。
「声を立てたら、ぶっ殺す」
「アッ……」
君島とケインズが同時に、口もとから、小さな声を漏らした。
二人は顔を引きつらせて、生唾を飲み込んだ。足が床に吸いつかれたように、止まった。驚きの表情が、みるみる恐怖に変わった。顔色を失い、真っ蒼になっていた。
「二人とも、俺と一緒に来てもらおうか」
京極は低く、重々しい声で命じた。
「き、貴様は……」
君島が声を震わせて言った。
ケインズは周囲の人ごみを見ながら、
「これだけの人の中で、撃てるか」
人を食ったような言い方だ。
「…………」
京極の口もとから笑いがこぼれた。
命を捨ててかかる人間ほど恐いものはない。京極は自分でも信じられないほど、気持ちが落ち着いてくる。
ケインズは持っていたバッグを体の前で持ち上げた。指先でそろっとチャックを開けた。震える手を中に突っ込んで、銃を握りしめた。
バッグから黒い銃身がのぞく。その横で、君島の体が小刻みに震えていた。
ターミナルビルの中に入っていた京極の目が、エスカレーターから降りてくる君島たち四人の姿をとらえた。
二川と真知子が前に立ち、その後ろに君島とケインズが肩を並べていた。
サングラスの下で、京極の鋭い目が光る。君島とケインズを見据える京極の顔から血の気が引いた。頬の筋肉が痙攣し、傷痕が微妙に動く。緊張と感情の昂りが、おもわず京極の体を身震いさせた。
京極は、じっとりと汗ばむ手を懐に入れて拳銃を握りしめた。
気持ちを落ち着けようとしてか、無意識のうちに大きく息を吸い込んだ。その息を小さく吐き出し、人ごみにまぎれて、エスカレーターから降りて出口へ向かう君島たちの後ろへ回った。
京極は左手でサングラスを持ち上げた。息を止めて、背後から君島とケインズの体にピッタリ身を寄せた。
京極は、周りの一般客から気付かれないように銃を抜いた。
「声を立てたら、ぶっ殺す」
「アッ……」
君島とケインズが同時に、口もとから、小さな声を漏らした。
二人は顔を引きつらせて、生唾を飲み込んだ。足が床に吸いつかれたように、止まった。驚きの表情が、みるみる恐怖に変わった。顔色を失い、真っ蒼になっていた。
「二人とも、俺と一緒に来てもらおうか」
京極は低く、重々しい声で命じた。
「き、貴様は……」
君島が声を震わせて言った。
ケインズは周囲の人ごみを見ながら、
「これだけの人の中で、撃てるか」
人を食ったような言い方だ。
「…………」
京極の口もとから笑いがこぼれた。
命を捨ててかかる人間ほど恐いものはない。京極は自分でも信じられないほど、気持ちが落ち着いてくる。
ケインズは持っていたバッグを体の前で持ち上げた。指先でそろっとチャックを開けた。震える手を中に突っ込んで、銃を握りしめた。
バッグから黒い銃身がのぞく。その横で、君島の体が小刻みに震えていた。
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