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逢えるかもしれない

逢えるかもしれない

著: 春原いずみ
発行: オークラ出版
レーベル: アクア文庫 シリーズ: 『吉永×内海』
価格:945円(税込)
10ポイント還元
対応端末:パソコン スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆3
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著者プロフィール

 春原 いずみ(すのはら いずみ)
 6月7日生まれ 双子座 A型。新潟県出身・在住。現在、某法人病院に、診療放射線技師として勤務。93年、ムービックのアンソロジーにてデビュー。二足のわらじをはきつつ、現在に至る。最近のモットーは「先々の予定より、目の前の〆切」。自転車操業的な人生を送っている。

解説

 若手ながら優秀な整形外科医・吉永辰也の勤める喜多野記念病院に、内科医・内海尚之が赴任してくる。だが、短気で熱血な吉永とクールでシニカルな内海とはそりが合わず、ことごとく反発し合ってしまう。そんなある日、内海が習慣性の脱臼に、人知れず悩んでいることを吉永は知る。整形外科医として内海に手術を勧め、担当医となった吉永。内海の診療を通して二人はだんだんと惹かれ合っていくのだが……。春原いずみが贈る本格的メディカルラブ☆

抄録

「先生……どうかなさいましたか?」
「おい、あんた……」
 吉永もようやく、内海の異常に気づいた。
「なんだよ、血にも平気な人が……」
 すーっと青ざめていく顔に、てっきり貧血だと思った。もともと血の気の薄そうなタイプだ。何となく、このあたりが弟の樹と似ている。吉永はため息をつきながら、内海の腕に手を掛けて引き起こそうとした。
「ほら……」
「右腕に触るな……っ!」
 意外なくらい強い内海の声だった。思わず、吉永の手が止まる。
「え……」
 狭い室内がしんと静まり返った。ふたりいる看護婦も息をのんで、目を見開いている。
「内海……」
 吉永はすっと視線を走らせた。内海の右腕……だらりと力なく床に落ち、軽く内旋《ないせん》したままだ。
極端に落ちている右肩……。
「あんた、まさか……」
「患者さんを病室に戻してください」
 内海はうずくまったまま、声だけは冷静に言った。語尾の震えさえない、凛《りん》とした声だ。
「指示は追って書きに行きます。とりあえず、点滴……ラクテックでキープしておいてください。二十四時問のキープになりますので、二十二ゲージのサーフロー針でルートの確保をお願いします」
「は、はい……」
「おい、あんた……っ」
「吉永先生」
 思わず大声を出した吉永を遮って、内海は静かに言った。
「ちょっとバランスが悪いので、手を貸していただけますか。大丈夫。とりあえず、自分の足で歩けますから」
「まったく……」
 吉永は舌打ちしながら、ゆっくりと内海の脇を支え、立ち上がらせた。一抱えに出来そうなほど華奢な感じの体つきだ。
「……見栄張らねぇで、正直に痛がったらどうだ」
 耳元で囁《ささや》く吉永に、内海は青ざめた顔でクスリと笑ってみせる。
「……誰が弱みなんか見せるもんか」
「ったく……っ」
 吉永には、すでに内海の身に起こったことがわかっていた。吉永でなくても、整形外科医ならその臨床《りんしょう》症状だけで、誰にでもわかるだろう。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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