和書>小説・ノンフィクション>ボーイズラブ小説>白衣
著者プロフィール
春原 いずみ(すのはら いずみ)
6月7日生まれ 双子座 A型。新潟県出身・在住。現在、某法人病院に、診療放射線技師として勤務。93年、ムービックのアンソロジーにてデビュー。二足のわらじをはきつつ、現在に至る。最近のモットーは「先々の予定より、目の前の〆切」。自転車操業的な人生を送っている。
6月7日生まれ 双子座 A型。新潟県出身・在住。現在、某法人病院に、診療放射線技師として勤務。93年、ムービックのアンソロジーにてデビュー。二足のわらじをはきつつ、現在に至る。最近のモットーは「先々の予定より、目の前の〆切」。自転車操業的な人生を送っている。
解説
整形外科医・吉永と内科医の内海は、同じ病院に勤める同僚医師。また、恋人同士でもあった。だが、内海の弟・樹が骨腫瘍になり、入院したことから二人の関係にズレが生じ始める。病への恐怖から、それまで隠し続けてきた吉永への思慕を募らせる樹。そして、その想いを無下にはできない吉永。内海は、そんな二人の姿を見て、次第に不安に駆られていき……。
すれ違う愛がもどかしいメディカルラブ第2弾。
すれ違う愛がもどかしいメディカルラブ第2弾。
抄録
「先生」
樹の手がそっと……吉永の腕に触れた。
「……先生」
深くうつむいて、樹は吉永の二の腕を掴んでいた。少しずつその指先に力を込めていく。
「先生……」
「ああ」
吉永は低く答えた。廊下を歩きすぎていく足音。からからと点滴台のキャスターが鳴る音。車椅子の……独特の軋み音。
「樹……」
小さく震え始めた樹の手に手を重ねて、吉永は軽く天を仰いだ。細い指先はひんやりと冷たい。
「……疲れただろ?」
張りつめて……張りつめて。兄と……そして、兄とも慕った人に突然去られて……それでも、樹はその場を離れることを許されず、小さな体にすべてを納めて……淡く優しい微笑みの中に何もかもを押し込めて……。きっと……泣くことも、叫ぶことも、当たり散らすこともできず、ただめまぐるしく走り去る日々の中に翻弄《ほんろう》されていたのだろう。
「いいえ……」
ほとんど吐息だけで答えて、樹は体を前に倒し、吉永の腕に頬を寄せた。両手で吉永の腕を抱き、そっと滑らかな頬を押しつける。
「……何も考えないで済んだから……」
寂しくてたまらなかったことも……不安で押しつぶされそうになったことも。
吉永はするりと腕をほどくとベッドに座り直し、胸の中に樹の華奢な体を包み込んだ。
「……っ」
微かな声を漏らした樹が、次の瞬間強い力でしがみついてくる。
「先生……っ」
*この続きは製品版でお楽しみください。
樹の手がそっと……吉永の腕に触れた。
「……先生」
深くうつむいて、樹は吉永の二の腕を掴んでいた。少しずつその指先に力を込めていく。
「先生……」
「ああ」
吉永は低く答えた。廊下を歩きすぎていく足音。からからと点滴台のキャスターが鳴る音。車椅子の……独特の軋み音。
「樹……」
小さく震え始めた樹の手に手を重ねて、吉永は軽く天を仰いだ。細い指先はひんやりと冷たい。
「……疲れただろ?」
張りつめて……張りつめて。兄と……そして、兄とも慕った人に突然去られて……それでも、樹はその場を離れることを許されず、小さな体にすべてを納めて……淡く優しい微笑みの中に何もかもを押し込めて……。きっと……泣くことも、叫ぶことも、当たり散らすこともできず、ただめまぐるしく走り去る日々の中に翻弄《ほんろう》されていたのだろう。
「いいえ……」
ほとんど吐息だけで答えて、樹は体を前に倒し、吉永の腕に頬を寄せた。両手で吉永の腕を抱き、そっと滑らかな頬を押しつける。
「……何も考えないで済んだから……」
寂しくてたまらなかったことも……不安で押しつぶされそうになったことも。
吉永はするりと腕をほどくとベッドに座り直し、胸の中に樹の華奢な体を包み込んだ。
「……っ」
微かな声を漏らした樹が、次の瞬間強い力でしがみついてくる。
「先生……っ」
*この続きは製品版でお楽しみください。
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