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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

ひと月だけの愛の嘘

ひと月だけの愛の嘘


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 トリッシュ・モーリ(Trish Morey)
 オーストラリア出身。初めて物語を作ったのは十一歳のとき。賞に応募するも、応募規定を誤ってしまい失格に。その挫折がもたらした影響は大きく、やがて彼女は会計士としての道を選ぶ。故郷アデレードからキャンベラに移り住んだとき、現在の夫と出会った。結婚し、四人の娘に恵まれ幸せな日々を送っていたが、夢をあきらめきれずもう一度小説家を目指すことに。数々の挫折を乗り越え、ついに自らの手で作家としての人生を切り開いた。今ではオーストラリアのロマンス作家協会で、副会長を務める。

解説

 質素ながらも父と平穏に暮らしていたティナは、ある日、母が莫大な借金で窮地に陥ったことを知らされる。父と離婚後、何度も結婚を繰り返していた母は、今さら娘に救いを求めてきたのだ。貸し主の名を聞いてティナは言葉を失った。ルカ・バルバリーゴ――3年前、1度だけ夜を共にし、私に妊娠とその後の地獄を味わわせた男。2度と会いたくはないが、やむをえず母の住むヴェネチアを訪れたティナに、ルカはとんでもない提案をしてきた。「借金を帳消しにしたければ、僕とベッドをともにすることだ」

 ■美しい水の都ヴェネチアを舞台に、憎しみを抱きながらも求め合い惹かれ合うティナとルカの激しい愛の物語。トリッシュ・モーリが描くセンセーショナルな世界をお楽しみください。

抄録

 彼を目にして、ティナの心臓が一瞬とまった。
 獅子がそこにいる。
 はてしなく広い部屋に巨大なデスクがあり、ルカはその向こうの椅子に座っていた。尊大で、くつろいだ姿勢でありながら、それでいて部屋を支配している。ティナは彼から目をそらして、デスクを観察した。たぶんアンティークだろう。だが、男性的で力強く、とても頑丈そうだ。これなら充分役に立つ。
「ヴァレンティナ」ルカは立ちあがらなかった。その声は抑えられ、暗いまなざしは返事を待っている。「これは驚いた」
「本当に?」ティナはドアの前で周囲を見まわした。「鍵は内側からかかるの?」
 ルカは小さくうなずき、わずかに眉をひそめた。「どうしてそんなことをきく?」
 ティナは肩を揺すってバックパックを下ろすと、なんとか勇気を奮い起こし、無理にほほえんだ。「邪魔が入ったら恥ずかしいもの」
「恥ずかしい?」ルカはどちらであろうと気にしていないようすだった。ティナは恐怖に駆られ、逃げ出せるうちに逃げ出したくなった。最後に愛を交わしたのはずいぶん前だ。ルカとの忘れられない夜から何年もたっている。本当にやり遂げられるかしら? 誘惑の手管など知らないし、経験も乏しい。
 ところが、ルカが椅子の上でわずかに体を起こし、手足の位置を変えた。
 ショーを始める前に、ティナは唇をなめた。ああ、なんとお粗末な演技力なのだろう。あまりにもわざとらしい。これでは簡単に見破られてしまう。それでも、指でジャケットのファスナーに触れ、しばらくもてあそんでから、じらすように下げていった。ルカがじっと見つめているのはたしかだった。「ここは暑いわね。あなたも暑いと思わない?」
「窓を開けようか」ルカが警戒するように言った。その目は彼女の指から離れない。彼はすぐに椅子から立ちあがって窓を開けに行こうとはしなかった。
「いいの」突然力がみなぎるのを感じ、ティナはファスナーを下まで下ろすと、ジャケットを脱いだ。背後の恋人からむき出しの肩にキスを受けたように、ため息をつく。「きっと私だけなのね」
「なぜここに来た?」その言葉はそっけないが、いつものベルベットの声は低く、もどかしげだ。
 ティナはほほえんでサンダルを脱いだが、もたもたして片方が引っかかり、悪態をついた。ルカは足元を見ていなかったので、彼女は先に進んだ。「あなたは私にある役割を振ってくれたでしょう」
 タンクトップの裾をジーンズから引っ張り出し、ルカの注意を引いているか確かめた。それから髪が乱れるのもかまわず脱ぎ捨てると、両腕で白いTシャツブラをはさむように左右の手をベルトにかけた。これはおそらく彼が見た中で、もっとも地味でつまらないブラだろうが、今はこれしかないし、悔やんでもしかたがない。だが、ルカの目のきらめきがティナに勇気を与えた。三年間誰の目にも触れられなかった体をさらすには、その勇気が必要だ。
 ティナは革ベルトのバックルをはずし、ジーンズのボタンをはずした。「私、引き受けるわ」
 ジーンズのファスナーを下ろし、腰をくねらせながらわずかに押しさげたところでためらい、体を前に曲げて胸の谷間を見せた。もはやルカはくつろいでいるようには見えない。
「そうだわ。考えていたことがあるの」
「なんだ?」ルカの声はかすれていた。
「条件よ」
 今聞こえたのは、うめき声? それとも、うなり声かしら? ティナにとってはどちらでもよかった。「言ってくれ」ルカが言った。
「どのくらいの期間、あなたの愛人を務めればいいの? それについては聞いていなかったわ」
「考えていなかった。いくらでもいい」
「私はひと月と考えたんだけど」
「ひと月?」
「ひと月ならちょうどいいでしょう。私は愛人の相場がどのくらいか知らないけれど、高級顧客向けで新型、低燃費を想定すると――とにかく、これなら充分じゃないかしら。違う?」
「君がそう言うなら、そうなんだろう」
「ただし、私は実家に戻って仕事をしなければならない。当然あなたにも仕事があるでしょう。このことでおたがいの生活がぐちゃぐちゃになるのも望んでいない。そうよね?」
「そうだ」
 ティナの手は腰のあたりでとどまっていた。彼女はルカを見た。彼はこちらを見つめている。その強い欲望を感じたことが、ティナの怒りに油をそそいだ。リリーの電話によって火をつけられた怒りは、今や積もり積もって爆発寸前だ。ティナは心得顔でにっこりした。あなたは最低の人でなしよ。何もかも自分の流儀で進めているつもりなんでしょう。
「今後、二度と私の父に接触しないわよね? お金のことでも、ほかのことでも脅したりしない」
「二度としないよ」
「あなたのデスクって、大きくてとってもすてきね、ルカ」ティナはさらにほんの少しだけジーンズを下ろすと、くるりと背を向け、肩越しにルカを見た。「こんなに大きいのに、仕事でしか使わないなんてもったいないわ。そう思わない?」
「僕が思うに」ルカはぎこちなく立ちあがると、ローファーを蹴るように脱ぎ捨てながら、シャツのボタンをはずして、みごとな胸をあらわにした。「そのジーンズを脱ぐには手助けが必要だろう」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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