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妻になる魔法 愛を運ぶ絵 III

妻になる魔法 愛を運ぶ絵 III


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス愛を運ぶ絵
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

 ■窮地を救ってくれたポロ競技の選手と、私は見えない糸で結ばれていたのかしら。

 ■イメージ・コンサルタントのジャンは、その日、ポロ競技場で写真撮影のモデルのアルバイトをしていた。これで日頃ボランティア活動をしている施設に寄付ができる。撮影のさなか、かぶっていた帽子が一陣の風に吹き飛ばされ、帽子に驚いた馬が騎手を振り落してジャンに倒れかかった。彼女の窮地を、背の高いハンサムな男性がとっさに救ってくれた。命の恩人はキア・ライオンといい、意外なことに、その夜のジャンの誕生パーティに友人の連れとして出席していた。しかし、二人の再会はそれだけにとどまらなかった。彼女が祖父の遺言に従い、祖父が暮らしていたあばら屋を訪れたおり、偶然にも隣の土地に住んでいるキアが現れ、何かと親切にしてくれた。だが彼の親切心の裏には、なんらかの理由があるように思え……。

抄録

 ベーコンとコーヒーのおいしそうなにおいが漂ってくる。目を覚ますと、金色の光が筋になって部屋にさしこんでいた。湾の上を舞うかもめののんびりとした鳴き声が聞こえる。
 ジャンはおもむろに起きあがって枕に寄りかかり、幸せな気分に浸った。いったいここはどこかしら。
 急行列車のような勢いで記憶がよみがえってきた瞬間、ジャンは仰向けのままずるずると枕の上をずり落ちていった。あいた戸口から、料理用ストーブのそばにいるキアの後ろ姿が見える。不愉快な夜を過ごさせようとしたわたしのたくらみを彼が根に持っていませんように。ジャンは祈るような気持だった。
 最悪だった夜の雰囲気とは対照的に、窓から流れこんでくる朝の空気はさわやかで、ありがたいことに虫は一匹も飛んでいなかった。ジャンは起きあがって寝袋から出た。
「おはよう」戸口からキアが言った。
 寝るときに着ていた古ぼけた化粧着に汗じみができているのが気になって、ジャンは体をこわばらせた。だが、キアの視線はまっすぐジャンの顔に向けられている。彼は頑固で威張り屋かもしれないけど、礼儀だけは心得ているようだ。
「おはよう」軽く挨拶を返しながら、ジャンは自分が不利な状態にいるのをひしひしと感じた。
 だって、彼は信じられないくらいすてきに見えるんですもの。とても服を着たまま窮屈なひと晩を過ごしたとは思えない。日焼けした顔にうっすらと伸びた髭が、健康的な海賊を連想させる。そして何時間も前から起きて何か楽しいことをしていたように見える。
「帰ってよ」ジャンは目を閉じた。「朝からにこにこしていられる人には我慢できないの」
「顔を洗ったら少しは気分がよくなるよ」彼は非情にも言った。「置いてあったタオルはぼくが借りたから、別のを出してくれ。朝食は五分でできる」
 キアがどんな魔法を使ったのか、蛇口からはお湯が出てきた。ジャンは手早く体を洗い、歯を磨いて、十分後にはテーブルでコーヒーカップを受けとっていた。ミルクも砂糖もなしの濃いコーヒーは、まさに彼女の望みどおりだった。
「ありがとう」感激だわ。
 だが目の前にさしだされた皿を見たとき、うれしさはたちまち困惑に変わった。ジャンにとっては一年分にも相当するほどのベーコンがうずたかく盛られ、卵とトマトが添えてある。そして腹立たしいことに、すべてが実にうまく調理されていた。
「ベーコンを全部使ったのね。こんなにたくさん食べきれないわ」
「ここには冷蔵庫がないんだ。だから残さず食べてしまわないと。それに、このくらい食べておいたほうがいい。今日は忙しい一日になるからね」キアがテーブルに置いた自分用の皿は、ジャンのよりずっと大きかった。
「忙しい?」ジャンは弱々しく尋ねた。
「ああ、この辺を案内してから、ぼくの家に連れていくよ。そうすれば、ぼくのところが青髭の館じゃないことがわかってもらえるだろう」
 からかうような声の底に、絶対に反論を受けつけない毅然とした冷静さが感じられた。いいわ、今日のところは彼を王さま気分にさせておいてあげよう。そのあとで自分の生活をとり戻せばいい。ジャンは心を決めてナイフとフォークをとりあげた。
「ここでの生活の仕方を教えていただけると、とてもありがたいんですけど」しばらくしてジャンは言った。「実はきのう、料理用ストーブに火をおこそうとしたんだけど、けむいばかりで全然うまくいかなかったの」
「まずは朝食をすませるんだ」
 自分でも意外なことに、ジャンは彼の言葉に従った。食事が終わると、皿の端に集めたベーコンの皮が山になっていた。「子供のころ、こういうものはかもめに投げてやったわ」
「そうやって、彼らによけいな騒動を起こさせるもとを作ってるんだ」彼の口調は厳しかった。「餌なんかやるんじゃない。それから、ごみバケツの蓋はきっちり閉めておかないと、ねずみが来るぞ」
 ジャンは身震いをこらえた。「じゃ、地面にごみを埋めるわ」
「ぼくが持っていくよ。おじいさんのごみは豚の餌や堆肥用にもらって、肉や野菜でお返ししていた」
「老人のひとり暮らしで、ごみがそんなに出たとは思えないけど」
 キアは広い肩をすくめた。「お互いに都合のいいやり方だったよ」
「祖父はどんな人だったのかしら?」そんな言葉が口から出たのにはわれながら驚いたが、今さら引っこめるわけにもいかなかった。
「頑固で」彼は静かに言った。「知的な人だった」
「話をしたことは?」
「とても無口で、他人のことにかまっている暇はないって感じだった。ときどき世間話をすることはあっても、たいていは挨拶程度だった。ここの暮らしが気に入っていて、孤独と海を愛しているようだった。読書好きで、よく散歩もしていたよ」
 彼は祖父を注意深く見守っていたのかしら? ゆうべの行動から察するに、きっとそうに違いない。女性や老人は守らなければという保護者気分がとても強い人なんだわ。いつもだったら軽蔑してしまうところなのに、祖父が完全に孤独な暮らしをしていたのではないとわかったせいか、なんとなく温かいものを感じた。「弁護士さんの話では、祖父の土地は百エーカーくらいあるとか」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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