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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

麗しきたくらみ

麗しきたくらみ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

 よりによってこんなみじめな形で再会するなんて……。赤ん坊を抱いてストリップ・クラブから出てきたところを、亡き親友の夫マークに見られてしまい、ペイジは思わず我が身の不運を嘆いた。花嫁付添人として一緒にダンスをして以来、禁断の恋と知りつつ、マークにひそかな思いを寄せてきたのだ。ひと月後、彼は再びペイジの前に姿を現した。「ぼくの島に来てくれ。妻が君に遺したものを渡したい」思いがけない申し出に驚き、危険な予感に怯えつつも、ペイジは彼と共に宝石のような小島へと旅立った。

抄録

 すらりと伸びたマークの優雅な体は、冷たい風から彼女を守る盾となった。彼のジャケットを羽織っているのでそれほど寒いわけではないが、優しい気遣いに彼女は心がほぐれていくのを感じた。
 彼の行為に特別な意味などないのよ、とペイジは自分に言い聞かせた。きっと女性には誰でもそうするんだわ。
 ペイジはふと、自分の感覚がいつもより鋭くなっている気がした。肌に当たる日差しはいつもより暖かく、草の緑は虹色に輝いて、これまで気づかなかった花の香りがかすかにする。小鳥のさえずりさえも、普段より甘く誘っているように聞こえた。
 おやめなさい! ペイジは体の裏切りを叱りとばした。ジュリエットの死から、先週でちょうど二年になる。本当に私に用事があるのなら、もっと早く私を見つけられたはずだわ。この女性を捜してほしいと、誰かに命じればいいだけなんだから。
 しばらく歩いたところで、ペイジは尋ねた。「車はどこなの?」
「向こうだ」彼はかなり遠くのほうを顎で示した。
 あんな遠く。こみあげる怒りを抑え、ペイジはその状況を最大限に利用することにした。「いいわ。話があるなら、今話して」
「いいだろう」彼はおもしろがるように答えたが、続いて発せられた言葉は、早くも真剣な響きを帯びていた。「ジュリエットが君に遺したものがある。つまり遺産だ」
 ペイジは不意に立ち止まった。「なんですって?」
 長い指が彼女の肘をつかみ、前へと促す。「遺言状に、ある箱を君に渡すようにと書かれていた。中身は僕も知らない。それと、多少のお金も」
「なるほど」ペイジの顔からは血の気が引いていた。マークの手を振りほどいたあとも、指の跡がしっかりと刻まれている気がした。「ありがとう。だけど、そのためにわざわざネーピアまで来てくれなくてもよかったのに」彼女はつっけんどんに応じた。「箱は郵送してちょうだい。お金はいらないわ。どこかに寄付して」
「強情なだけでなく、実に無粋だな」マークの声には明らかに怒りがこもっていた。
「そんな……そういうつもりじゃなかったのよ」彼が黙っているので、ペイジは仕方なく言葉を継いだ。「箱というのは、たぶん形見ね。それはとても欲しいけれど、お金は欲しくないわ」
「残念ながら、両者は分けられない」彼はきっぱりと言った。「それと、遺産の受け渡しにはいくつかの条件がついている」
 マークの顔をちらりと見て、彼にそれ以上話す気がないことをペイジは察した。そして、条件というのが彼女の気に入らない内容であることも。「どういう条件なの?」
「一緒に朝食をとろう。そのときに話すよ」
「どうしてここでは話せないの?」
 彼は眉をつりあげた。「君が凍えそうだからだ。震えているし、唇も青くなっている。それに、ジュリエットの遺産の話を二言三言で片づけたくないからね。その思いは君も同じだと思ったんだがな。最後の数年はまったく会わなかったかもしれないが、君たちが連絡をとっていたのは知っている。僕としては、いろいろな意味で、ジュリエットのいちばんの親友は君だったと思っている。今は亡き友人のためにわずかな時間を割いてほしいというのが、そんなに無理な頼みなのかな?」
「そんな言い方、ひきょうだわ」ペイジは言い返した。
「本音を言ったまでだ」彼は譲らなかった。
 少しためらったのち、彼女はつぶやいた。「わかったわ。犬を返して、二十分後にはフラットに戻るわ」
「君も犬も、僕が送るよ」マークはあくまでも言い張った。
 そしてペイジのあらゆる抗弁にもかかわらず、十分後には犬たちは自分の飼い主の家に戻り、ペイジはフラットに着いていた。
 すばやくシャワーを浴びて出てきたとき、マークの低い声をかき消すシェリーの笑い声が居間から聞こえてきた。ペイジは唇を噛んでチョコレート色のパンツをはき、顔色を引きたててくれそうなスパイシーレッドのコーデュロイのシャツを着た。
 口紅を塗ると心持ち血の気が戻ったように見えたが、それでも、これからマーク・コーベットと朝食に出かける顔には見えなかった。
 彼の本命と比べたら、雲泥の差ね。ペイジは自虐的な気分で思った。実際、彼女のスカーフ一枚のほうが私の服を全部合わせたよりも高価だろう。
 別にそれでもかまわないけど。
 とはいえ、玄関を通り抜けるペイジの胃は激しくよじれ、彼女は必死で無表情を装わなければならなかった。
 マークの生気あふれる姿を目にした瞬間、ペイジはみぞおちに強烈な一撃を見舞われたような気がした。
 彼の目が油断なく光り、口もとにあざけるような笑みが浮かぶ。カジュアルな服装だが、広い肩と長い脚を忠実になぞる服は、仕立てのすばらしさを物語っている。
 あまりにも……圧倒的。初めて会ったとき、マークの冷ややかな抑制の背後にくすぶる熱の気配を感じ取り、ペイジは恐ろしくなったものだ。
 はたして、熱の気配は依然としてそこにあり、彼女の恐怖心も以前と変わらなかった。
 しかしシェリーに別れを告げて車へ向かいながら、ペイジが何より恐ろしく感じたのは、体の内側に広がっていく興奮が熱を帯び、かすかな欲望へと姿を変えたことだった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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