マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

あなたにお熱

あなたにお熱


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

 駆けだし中の画家サラは、義兄と二人で暮らしている。その義兄に付き添って出席したパーティで、サラは、19世紀初頭から続く名門銀行の頭取ニックに出会った。ハンサムでゴージャスな彼に思わず目を奪われるが、ニックは、サラと義兄の仲が不埒なものと誤解したらしい。ふしだらな女と言わんばかりに、サラを非難してきた。なぜ知り合って間もない彼に蔑まれなくてはいけないの……? まだ恋すら知らないサラは、知る由もなかった――ニックの瞳にたぎる、隠しきれない嫉妬と情熱の炎を。

抄録

 陽気な声が答えた。サラは階下の自分の領分へ戻り、手早く支度をしてベッドにもぐりこんだ。今夜は、いろいろなことがあって疲れた。やっと今日も終わったわ。暗闇の中にふと、今夜会った男のまばゆいばかりの明るいブルーの目を思い浮かべた。なんていう名前だったかしら? しばらく考えた。そうだ、ニック。銀行のニック。サラはくすくす笑った。最後にグレッグと腕を組んで出ていこうとしたときのあの人の顔! でもあのおかげでグレッグの気をいくらかでもひきたてることができたんだわ!
 馬を見にケンブリッジシャーへ出かける前に、と翌朝早くグレッグはロブの見舞いに行った。彼は馬の絵で名をあげている。グレッグは馬が大好きで、あの優雅さ、毛並みのつや、高貴な表情を自分のものにしたくて描くのだが、最近は彼の描く馬の絵は値も上がっているらしい。
 グレッグが数日後に戻れば、次はサラの番だ。あるホテルのオーナーが、玄関ロビーにかける絵を依頼してきたので、ヨークシャーの丘を描きに出かけなければならない。
 グレッグが出かけたあと、サラは、とぶ鳥のスケッチをしようと庭に出た。洗いざらしのブルージーンズに、これも洗いを重ねてちぢみ、体にぴったりしすぎた白のTシャツで。一時間ほどスケッチしているうちに日ざしが強くなったのでサラは芝生に体を伸ばし、肘を顔の上にのせて陽光をさえぎり、全身の日光浴に切りかえた。
 足音がしたのでサラが不思議に思って目を開くと、思いがけずニック・ロウドンの顔がそこにあった。彼の足もとに長々と寝そべっている立場の劣勢を思ってサラは顔が火照った。相手も充分それを承知しているようだ。満足そうにサラを見おろしている。
「僕を覚えていますか?」
 片方の眉だけを上げて、からかうようにたずねた。
「ええ」
 サラは起き上がって、髪についた草やまくれ上がったTシャツの裾を気にしながら答えた。
「驚いたね。あなたは僕の顔も見なかったんじゃないかと思っていた」
「なんのご用でしょうか?」
 そうじろじろ見ないでほしいと思って、サラは裾をはたきながら立ち上がった。
「昨夜のパーティの主人から住所を聞いたものでね」
 まるで質問と関係ない答えだ。しかたなくサラはぼんやりニックを見上げた。かなり見上げる感じだ。サラは百六十センチだが相手は百八十センチ以上ある。体の線があらわなTシャツ姿のサラを、ニックはじろじろ見ながらつぶやいた。
「今日はまたずいぶん違った感じだ。今日はおかしくないの?」
 サラが銀行のことでふざけたのが面白くなかったのだろう。たしかにサラの態度は失礼だった。でもグレッグのほうが大事だったのだ。ニック・ロウドンがどう思うかよりも……。
「ミスター・ロウドン、ご依頼の件でしたら、グレッグは今出かけております。二、三日戻りませんが出先からお電話させましょうか?」
 ニックの顔色が変わった。頬に血がのぼり、青い目が氷のような光を見せた。
「彼はここに住んでいるんですか? あなたと一緒に?」
 その剣幕に押されてサラは一歩退いた。
「ええ、そうですけれど。ご存じありませんでした?」
 ニックは口をきりりとひきしめた。それからおもむろに開くと、きびしい調子で質問した。
「あなたがたは結婚していないのでしょう?」
 その口調は問いというよりも確認に近い。サラが彼の言葉の意味を理解するのには少々時間を要した。この家をグレッグと共有して住んでいることに目くじらをたてる人が今まで周囲にいなかったためだ。そうとわかるとサラは笑いだした。サラは、グレッグとの間柄を説明しようかと思ったが、彼の問いに合わせて答えも短く切ってしまった。
「もちろん、していませんわ」
「そんなことをきいてはおかしいのですか? お二人とも画家だということを僕が理解するべきかな。結婚なんて形式は古くさいというのかな? つまりあなた方には必要ない、とか」
「勝手にべらべらしゃべらないでください!」サラは小さな顔にかかる輝く金赤色の髪を、後ろにはね上げた。「自分で説明くらいできますから」
「すさまじい勢いですね、ミス・ニコルズ」彼も激して肘をつかむと、小さなサラをまるで人形のようにゆさぶった。「あなたの道徳観と同じくらい勇ましい。しかし僕も同じ考えを共有するとは思わないでほしいな」
「あなたと同じものは何も共有したくありません」
 サラは緑の目に闘志を燃やした。
「そうかな?」
 からかうように言ったかと思うと彼の顔が近づき、あっけにとられて半ば開いていたサラの唇は彼のものになっていた。すっかり驚いて、争ったものかどうか考える間もなく強引なキスは終わって、彼はもう背を向けて、もと来た道を戻っていく。
 サラは手を口に当て、その後ろ姿を見送った。唇は熱を持って、腫れているような気がした。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。