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嘘のヴェールの花嫁

嘘のヴェールの花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 トリッシュ・モーリ(Trish Morey)
 オーストラリア出身。初めて物語を作ったのは十一歳のとき。賞に応募するも、応募規定を誤ってしまい失格に。その挫折がもたらした影響は大きく、やがて彼女は会計士としての道を選ぶ。故郷アデレードからキャンベラに移り住んだとき、現在の夫と出会った。結婚し、四人の娘に恵まれ幸せな日々を送っていたが、夢をあきらめきれずもう一度小説家を目指すことに。数々の挫折を乗り越え、ついに自らの手で作家としての人生を切り開いた。今ではオーストラリアのロマンス作家協会で、副会長を務める。

解説

 たった1人の肉親である祖父の死が近いことを知ったシモーンは、せめてその短い余生を明るいものにしたいと思った。数カ月前、祖父は賭けに負けて広大な土地の大部分を失ったのだが、どうにかして、それを取り戻す手立てはないものか――そうだわ。もしわたしが現在の持ち主であるスペインの大富豪、アレサンデル・エスキヴェルと結婚したら、土地はまた一つになる! セックスはもちろんなしで、祖父が亡くなったら別れるという条件で。意外にもアレサンデルはこの提案をあっさり受け入れた。彼の恐ろしい企みに自ら堕ちたことなど露知らず、シモーンは夫となったアレサンデルの男らしさを激しく意識してしまうのだった。

抄録

 ゲタリアに着く手前で、シモーンは尋ねたかったことを思い出した。「さっきお店で何を言っていたの? ドレスのことで何かきいていたでしょう」
 アレサンデルが横目で彼女を見た。「いつ?」
「ドレスをまとめて見せてもらったとき、あなたが“あれはどう?”みたいなことを言ったでしょう。あのあとよ。あなたは早口だったから、理解できなかったの」
 アレサンデルはかぶりを振った。「なんのことかわからないな。ドレスは買った。違うかい?」
「つまり、どうして彼女たちはあれだけ別にしたのか、ということなの。私に似合わないと思ったのかしら?」
「あれか。ほかの客があのドレスを見て興味を持ったらしい。それだけだ」
「誰かのために取っておいたという意味?」
 アレサンデルが肩をすくめる。「今となってはどうでもいいことさ」
「売れてしまったら、その人はがっかりしない?」
 彼はほほえんだ。「そうだろうな」
 シモーンはシートにもたれて膝の上で両手の指をからみ合わせた。真っ赤な爪は先ほど塗ってもらったに違いない。アレサンデルは感心した。彼女は忙しい午後を過ごしたのだ。
「あなたにお礼を言わないといけないわ」シモーンが言った。「服やもろもろのことを」
「そのくらいではまだ足りないだろう」
「からかわないで」シモーンはかぶりを振った。「山のように買ったのよ。いくらかかったか考えるのもいやだわ。でも、念のために言っておくと、美容院では自分で払ったの。調子に乗って使い込んでいるなんて思われたくなかったし……」
 本当にそう思っているのか? それとも、これもまた別の戦略なのか? アレサンデルの知り合いの中に、他人の金を使うのをいやがるような純朴な女性はいなかったからだ。だが考えてみれば、シモーンのように突拍子もないことをする女性もいなかった。なぜ彼女は祖父のためにこれほど大がかりなことをしようとするのか? わからないのは気に入らないが、シモーンが妊娠して土地の所有権を主張するようなこともなく、最終的に葡萄畑を手に入れられるなら、なんだろうとかまわない。
 気に入ったのは、彼女が顔を赤らめるところだ。肌の色が薄いせいなのか、それとも罪深い秘密を抱えているからか。アレサンデルはちらっとシモーンを見た。美容院が彼女の髪に何をしたにしても、彼は気に入った。だからといって、シモーンに言うつもりはなかった。彼女の動機が疑わしげなのを考えると、あまりその気にさせないほうがいい。
 アレサンデルは急カーブの手前でギアを切り替え、同時に頭のほうも切り替えた。
「君も自分の金は取っておきたいだろう」思っていた以上にぶっきらぼうな言い方になった。「故郷に帰るときのために。金が必要になるから」
 シモーンはバケツ一杯の冷水を浴びせられた気分だった。でも、なぜそう感じるの? それ以上に、どうして気にするの? シモーンにとって、アレサンデルは問題解決の手段だ。彼にとっても、シモーンは目的達成の手段でしかない。
 これは合意のうえでの取り決めだ。
 だったら、どうしてアレサンデルはこの取り決めが永遠のものでないと念押しするのがこれほど重要だと感じているのだろうか?
 私がそれを望んでいないと信じているの?
 シモーンは振り返ってアレサンデルの力強い高貴な横顔を見た。完璧すぎて、現実のものとは思えない。「いったい何をそんなに怖がっているの?」
「どういう意味だ?」
「ことあるごとに、この取り決めが一時的なものだと私に念押しする必要に迫られるみたいだから。“故郷に帰るときのために、自分のお金は取っておきたいだろう”って言ったわよね。私はこの件が期限つきだとわかっているわ。最初にそう望んだのは私のほうなのよ」
「なんの話かわからないんだが」
「私がこの取り決めを長続きさせたい、長続きすればいいと思っていると誤解し、それにもとづいて策を弄しているみたいだからよ」
 アレサンデルは彼女の主張を笑い飛ばした。「君がそう言っても、それは口先だけだ」
「私はそのとおりのことが書かれた書類にサインするのよ!‘私が’その条件を――二人のあいだにセックスは介在しないという条件を含めてくれと強く要求したの。いつになったら私を信じてくれるの? あなたの妻になりたいなんて思っていないわ。ただフェリペに、分割された葡萄畑が一つになると納得させたいだけ。彼がこの世を去ったら、できるだけ早く結婚を解消するつもりよ。合意書にもその事実が明記されているものと思っているわ」
 アレサンデルはギアを切り替え、カーブを曲がってフェリペの葡萄畑に向かう細い道に入った。「人力の及ぶところ、及ばぬところにかかわらず、できるかぎり早く用意すると保証しよう。ただちに君を自由にしてあげるよ」
「すばらしいわ。だったら私たち、これでおたがいに理解し合えたというわけね」
「ああ、そうだな」アレサンデルは歯を食いしばって言った。「完璧に理解し合えた」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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