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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

偽りの館

偽りの館


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マリー・フェラレーラ(Marie Ferrarella)
 ヨーロッパに生まれ、ニューヨークで育った。現在は南カリフォルニア在住。USAトゥデイ紙のベストセラー・リストの常連で、アメリカ・ロマンス作家協会のRITA賞の受賞歴も持つ。これまで百五十作を超える作品を発表し、マリー・ニコールの名でも執筆。世界中の多くの読者から支持を得ている。

解説

 忘れかけていた相手が帰ってきた。初恋のときめきは大人の愛に変わった……。

 ■生まれ育った町で刑事になったキャメロン・リードは、次々に建てられる住宅や店舗をながめながら、急速な発展ぶりに時代の流れを感じていた。絵本の中の平和な町のイメージはもはやどこにもない。いや、一箇所だけ、十一年前の姿のままたたずむ家がある。マッキー邸――セレナの家だ。十一年前に、この町で初めての殺人事件がそこで起きた。セレナの父親が妻を殺害し、第一発見者だったセレナは、そのあとすぐ伯母と一緒に町を去っていった。初恋の相手キャメロンと顔を合わせることもなく……。今、彼女はどこにいるのだろう? 幸せだろうか? 何を考えていても何をしていても消えなかった面影が、最近では覚めかけの夢のようなおぼろげなものになっている。ところが、ある夜、マッキー邸の窓に明かりが見えた。キャメロンの知らぬ間に、セレナが帰ってきていた。

抄録

 キャメロンが六時五分前に着いたとき、セレナには断る心積もりができていた。いや、できているつもりだった。
 ドアを開けたとたん、暖かい空気が流れ込んできた。どこからか濃厚で魅惑的な香りが漂う。それはまぎれもなく、花の香りだった。けれど、庭に花が咲いているわけではない。戸口に立つキャメロンを目にしたとたん、記憶のなかの薔薇とすいかずらの香りがよみがえったのだった。そしてその香りは、セレナにあの夜を思い出させた。
 彼と愛し合った夜。あの夜、セックスは二人の気持ちが結びついての行為なのだとセレナは知った。それまで信じていたようにただ愛されるのではなくて、ともに愛し合うべきなのだと。
「わたし……頭痛がして」セレナは言葉を濁した。
 なんてきれいなんだ。キャメロンはセレナの美しさに目をみはった。見ているだけで、彼女がもう自分のものではないのだと思い、胸が締めつけられる。
 たやすくはなかったが、それでもキャメロンはなんとかその思いを顔に出さないように心がけた。
「まあ、午前中どこにいたかを思えば無理もない。レイチェルがアスピリンを持っている。二錠ほど分けてもらえばいい」
 セレナは覚悟を決めた。このまま彼に押しきられるわけにはいかない。「わたし、出かける気になれなくて――」
「もう話はしてある。レイチェルの家は、ここから三、四キロ北へ行ったところだ。そこへ行けば、オーブンにはポットローストが入っているし、それには君の名前の焼き目もついている。きっと気分も落ち着くよ」
 セレナは彼の口調が気に入らなかった。「あのね、キャメロン――」
 キャメロンはため息をついた。セレナは意地になっている。だが、それを言うならこっちも同じだ。キャメロンはこれ以上セレナに話させまいと、彼女を抱え上げた。
 セレナは驚き、身をくねらせて逃れようとした。けれど彼の腕に抱えられ、身動きできない。「どういうつもり?」
「こうなったら、力ずくだ」キャメロンは玄関ホールに目を向けた。「バッグは?」
「家のなかだけど――」
 探している時間はなかった。探す気にもなれない。今日は一日、充分すぎるほど探し物をしたのだ。それにレイチェルから、六時半までには来るように言われている。「鍵は?」
「ポケットに入ってるわ。でもね――」
 それで充分だ。バッグはあきらめよう。キャメロンは後ろ手にドアを閉めると、車に向かって歩き出した。彼はむしろ、こんなふうにセレナを抱えて歩くのを楽しんでいた。
「キャメロン。わたし、着替えてもいないのよ!」
 彼は腕のなかのセレナを見下ろした。「その服でいいじゃないか。レイチェルは君がどんな格好をしていようと気にしやしない。君と食事をしたいだけなんだ」
 食品袋を投げ入れるよりはほんの少し手加減を加え、キャメロンはセレナを車のなかに下ろした。セレナはほっと息を吐いた。
 車に乗り込んできたキャメロンと顔を合わせたときには、セレナの心のなかで、喜びと怒りが激しい葛藤を繰り広げていた。「これがあなたのやり方?人を食事に誘うときの」
「当てにならない相手にはね」まるで当てつけのようにセレナを見る。
 レイチェルの誘いのことだけではなさそうだとセレナは思った。だけど、どうして? 何年も前に裏切ったのは、あなたのほうじゃないの――はっきりと言葉で交わしたわけではないけれど、暗黙の約束があったはず。わたしが裏切ったわけじゃない。
 キャメロンは道路に注意を戻した。これ以上セレナを見ていたら、笑い物になるのも忘れてキスをしてしまいそうだった。キャメロンはどうにも気分が落ち着かなかった。だがこのぶんでは、どのみち遠からず笑い物になる日は来るだろう。なにも急ぐ必要はない。
「バッグ一つ持たせずに君を連れてきたと話せば、レイチェルにこてんぱんに言われるな」
 彼の口調に深刻さはなく、まるで世間話でもしているようだった。セレナは同調するふりをしながら、抱きかかえられたことを思い出して高鳴りはじめた鼓動が静まるのを待っていた。
「なんだか、わたしの知っているレイチェルじゃないみたい」
 櫛がないので指で髪を梳き、セレナはなんとか髪型を整えた。ありがたいことに、どうにか靴ははいてきている。
「この町の女性は、年を取るごとにたくましくなるんでね」キャメロンは言った。
「そうならざるを得ないのかもしれないわ」セレナはまっすぐ前を見つめたまま、静かな声で言った。覚悟を決めて、両手を膝に置く。夕食には、どれくらい時間がかかるのかしら?

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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