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プリンセスを演じて 地中海の宝石 II

プリンセスを演じて 地中海の宝石 II


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス地中海の宝石
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

 南太平洋に浮かぶ独立したばかりの島国サントローザに、ローレンは工場の視察に訪れた。ところがそこに行くのは危険だと、ギイという謎の男性に止められる。無精髭を生やし、着古した服に身を包んでいても、彼には人を従わせずにはおかない威厳が備わっている。ローレンは視察をあきらめるが、折も折、暴動が起こり、着の身着のまま空港に駆けつけざるをえなくなった。空港管理官は、パスポートなしでの出国は無理だと言い張るのみ。刻々と危険が迫るそのさなか、ギイの驚くべき言葉が響いた。「ぼくたちを結婚させてくれ。ぼくが彼女の保証人になる」

抄録

 残念ながら彼の言うとおりだ。「サントローザのホテルのスタッフが無事だったか、知りたいわ。それに山の村は切り抜けられたのかしら。あそこも戦闘に巻きこまれたんでしょう?」
「いや。ほかの村と同じく、無事だったらしい。きみはあそこへは戻れない」ギイは断固とした口調で言った。
 ローレンの背筋に震えが走った。「でも……」
「でも、はなしだ。サウスコースト近辺にはいっさい近寄れない。まだ不安定なんだ。民間人も観光客も。たとえどんな大義名分があろうと、犠牲者たちを助ける技術を持たないかぎり、戦闘後の一帯に入ってくるやつは厄介者と見なされる」
「あなたは戻るの?」彼が答えるまでローレンは息をつめていた。
「ああ」
 その口ぶりには何かがあった。「どうして? あなたはどんな技術を持っているの?」
 あざけるようにギイは眉をつりあげた。「ぼくにはコネがあるし、誰にどんな救助が必要か知っている。だから仲介役を果たせるんだ」
 奇妙な予感に胸が締めつけられたが、それを無視してローレンは立ちあがった。「夕食の準備ができているの。とってくるわね」
 食事のあいだ、ローレンはギイを襲った恐怖からなんとか気をそらそうとした。売店で立ち読みした新聞の見出しや、経済あるいは芸能関係のスキャンダルなどで話を盛りあげる。
 彼女の気持ちを察してギイは話を合わせ、食事が終わるころには笑顔を見せるようになった。
 ローレンのほうは、今や期待で胸が苦しくなっていた。
「コーヒーは?」コーヒーでもいれて気をまぎらしたい。「インスタントだけど」
「充分だよ。でもその前に、ほかにもきみに渡したいものがある」
「え……」
「すぐにわかる」
 そのあと、ローレンにとって人生でいちばん長い二十分が待ち受けていた。
「さあ、これだ」戻ってきたギイはテーブルの上にビニール袋を投げた。
「まあ、何かしら」
「服だよ」
「ありがとう。全部略奪されたと思っていたわ」
「これは新品だよ」ギイは言葉を切り、それから言った。「もう帰らないと」唐突な言葉だった。
 ローレンは立ちあがり、狭いキッチンへ入っていった。彼に背を向けたまま、古い電気湯沸かし器の電源を入れ、カップと砂糖とミルクをトレイにのせる。コーヒーに湯をそそぎ、トレイを持ちあげたところで、彼女はきいた。「どうして?」
 ギイはトレイを運ぶローレンを見ていた。悪臭を放つ暑いジャングルで彼が夢見ていたそのままの姿だった。すらりとした彼女が優雅に歩くたびに長くてきれいな脚がのぞき、腰が官能的に揺れる。そんな彼女を思い出すだけで、つかのまでも地獄を忘れられた。
 彼女が腰を下ろすのを待ってギイは言った。「ここに泊まれば、きみのベッドにもぐりこむことになる。そうなったら二人ともあまり眠れないだろう」
 言ったとたん、ギイは後悔した。理性が自分を説得しようとしていた。無理やり一時的に結婚させた女性と愛しあうなんて、ばかげていると。
 だけど、理性はこの際どうでもいい。
 ミルクピッチャーを持ちあげたローレンの手が震えている。ミルクを入れると、彼女は立ちあがり、電気を消した。
 やわらかな星明かりのもと、ローレンは静かに言った。「その気がなければ、最初から引き止めたりしないわ」
 なんてことだ。彼は欲求を満たそうと思えばできた。罪なほど熱く、麻薬のように危険なほど陶酔させられる欲求を。ローレンが欲しい。すでに抑制がきかないほど体がうずいている。
 しかも、自分が誰か知らずに誘いをかけられたのは初めてだ。このヴァラヌで、自分はギイ・バガトンとして知られているだけだ。熱帯のもたらす官能的な誘惑も加わり、彼はローレンの申し出を断ることなどできそうもなかった。
「報酬でもないし、感謝の気持ちでもないわ」
 彼女の落ち着き払った顔から緊張感が読みとれるだろうか? 彼女がすぐ目の前に立ったというのに、ギイは手を伸ばせなかった。もっとも、肩と腕の筋肉は伸びようとする手を抑えるためにこわばっていたが。飢えをむきだしにして彼女に襲いかかるのは女性に喜ばれるやり方ではない。ギイは自分に言い聞かせた。
「だったらなんだ?」
 その質問に続く数秒間は、原始に根ざした本能を制御するには短すぎた。ギイは意志の力を凌駕しようとする肉体的欲望と必死に闘った。彼女が欲しくて死にそうだ。しかし、こんなことをするためにここへ来たわけではない。
 やおらローレンが身をかがめ、彼の唇にキスをした。「これよ」
 そして彼もキスを返した。
 彼女は神秘と歓喜の味がした。大胆で強烈で優雅な味が。ギイの全身に欲望が駆け抜ける。ひどくかすれた声で彼は言った。「よかった。ぼくが欲しいのもこれだ」ローレンが身を起こすと、ギイも一緒に立ちあがった。「こんなふうに」
 そして彼女を抱きしめ、容赦ないキスをした。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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