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シンデレラの嘆き 愛と継承のはざまで I

シンデレラの嘆き 愛と継承のはざまで I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス愛と継承のはざまで
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆3
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著者プロフィール

 ルーシー・モンロー(Lucy Monroe)
 アメリカ、オレゴン州出身。姉の影響でハーレクインのロマンス小説を読み始めた。大学在学中に“生涯でいちばんすてきな男性”と知り合って結婚し、子供が生まれてからは母親としての道を選んだ。十八歳の夏に家族で旅行に行ったヨーロッパが忘れられず、今も時間があれば旅行を楽しんでいる。

解説

 ヨーロッパ一富裕と言われる、バルト海に浮かぶ小国ヴォリャルス。その国のゴージャスな皇太子マックスがジリアンの恋人だ。有名報道記者の父を持つ縁で知り合い、たちまち恋に落ちて7カ月。今夜こそ彼にプロポーズされる――ジリアンには確信があった。ところが、やってきたマックスは複雑な表情を浮かべていた。そして、熱いキスとベッドを堪能したあと彼に告げられたのは、期待していた求婚の言葉ではなく、すげない別れの言葉だった。「世継ぎを産めない可能性のある女性とは結婚できない」悲嘆に暮れるジリアンを残して、マックスは去っていった。実はこのとき、奇跡的に小さな命を授かっていたとも知らずに。

抄録

 ジリアンはほっと息をついた。音楽にかき消されて会話ができないことがむしろ心地よかった。マックスの上にのしかかっている奇妙なプレッシャーもいくらかやわらいだように見える。
 アパートメントに戻ろうと誘うと、マックスも受け入れた。
 ところが、部屋に入り、ジリアンの上着を脱がせて安楽椅子の背にかけたきり、どうすればいいかわからないというように立ち尽くしている。あまりに彼らしくもないその姿に胸を締めつけられ、ジリアンは飲み物を勧めた。
「いや、やめておくよ」
「今から運転して帰ることはないわ。もしもそれを心配しているなら」遠まわしに一夜のベッドを申し出た。これまで何度となく繰り返してきたやりとりだ。
 そして、マックスはいつも申し出に応じた。朝一番で会議や出張があり、夜も明けきらないうちから起き出してジリアンの眠りを妨げなければならないとき以外は。
 だから今、彼の表情が曇るのを見て、ジリアンは驚いた。
「それが賢明なことだと思うかい?」
 結婚を前にして、私が彼と距離を置きたがるとでも思うの? たとえタブロイド紙の記者が押しかけてきても、清いおつき合いだなどと体裁をつくろうつもりはない。ここまでマスコミの目から守りつづけてくれたことに感謝はしているけれど、どのみち近い将来、二人の関係は世界じゅうに知れ渡ることになるのだ。
 それはそれでしかたがないとして、自分を偽るつもりはない。
「ええ、思うわ」ジリアンはきっぱりと言った。
「話し合おう」
「あとで」ふいに愛の言葉がどうしても欲しくなった。たとえ自分の側から一方的に伝えるだけでもいい。プロポーズの前にどうしても欲しい。
 体を重ねながら、愛を告白しよう。そのあとでプロポーズを受ければいい。
 マックスの瞳が情熱に陰るのがわかった。「本当にいいのかい?」
「ええ」どこからそんな強い思いが生まれてきたのかはわからなかったが、自分の気持ちも伝えないまま結婚を約束するなど、もはやありえなかった。
 体でしか伝えられないなら、それでいい。とにかく今夜、この愛を伝えよう。言葉がうまくすべり出てくれることを祈って。
 しかし、いくら必要に迫られても、ハードルは低くはならなかった。〈シェ・レネ〉のテーブルの上で裸踊りをするほうがまだましかもしれない。
 確かに祖父母は“愛している”と言ってくれたし、私も“愛している”と返した。でもそれは、祖母が祖父に言われていると話していたほど日常的なことではなかったし、実の親に至っては、幼いころに自分から何度か言ってみたきりだ。
 どちらも同じ言葉を返してはくれず、そのうち口にする勇気もなくなった。ほかの男性にも一度も言ったことはない。もっとも、愛したこと自体なかったけれど。
 マックスが相手なら、この思いを体で伝えるという選択肢もある。どちらにせよ、今夜が終わるまでには彼は必ず私の愛を知ることになるのだ。
 マックスがかぶりを振った。「君は本当に変わった女性だ」
 ジリアンはそうは思わなかった。だが、特別な女性だという意味なら悪くない。だから、否定はしなかった。そうよ、人と違って当然だわ。どこにでもいるふつうの女だと思われているようでは、二人の未来は暗い。
 私だって、マックスをほかの男性と同じだとは思っていない。
 マックスがジリアンの手を取り、寝室に続く廊下へいざなった。「行こう。今夜はちゃんとベッドの上で君を愛したい」
 これまでリビングルームで愛し合ったことも何度もあるけれど、なにしろ今夜は特別な夜なのだ。きっと彼も言葉が出てこなくて困っているに違いない。でも、こうしてちゃんと私への思いを形にしてくれている。
 暗い寝室に入ると、胸が高鳴った。マックスがジリアンの手を放して小テーブルへ向かい、ランプをつけた。三輪のカラーの花をかたどったブロンズ製のランプで、ガラスの花弁の内側から柔らかな黄金色の光が部屋を照らし出す。
 壁に飾られた絵画にもやはりカラーの花が咲き乱れていた。そこにたたずむ金髪の少女の姿が君に似ていると言って、マックスが贈ってくれたものだ。
 あまりに幻想的な画風で似ているかどうかはわからなかったが、ジリアンのお気に入りだった。
 マックスがジリアンに向き直った。ただでさえ彫りの深い顔に深刻そうなしわが刻まれている。「ありがとう。最高の贈り物だ」重荷を下ろすかのように、ほっと息をついた。「今日の僕に必要だったのはまさにこれだ」
 ジリアンはにっこりした。あふれる思いが喉まで出かかったが、やはり言葉にすることはできなかった。
 だが、マックスには伝わったに違いない。ジリアンの体を抱き寄せ、すべてを忘れ去るほど熱いキスをした。ようやく唇を離したときには、二人とも息が乱れ、ジリアンは彼の腕の中にしっかりと包まれていた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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