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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ スペシャル

孤独が終わるとき

孤独が終わるとき


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツスペシャル
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

 妊娠中に夫を亡くしたマギーは、女手一つで息子のブレイクを育てている。義父が遺したモンタナ州の人里離れた小さな牧場で、今度の休みを母子で過ごすことになり、彼女は複雑な心境だった。息子は隣人の牧場主テイトに会うのが待ちきれない様子だが、マギーは無愛想な一人暮らしの男とかかわり合う気はなかったのだ。

抄録

「あなたって笑わないの?」抑える間もなくその言葉がマギーの口をついて出た。
 彼はこちらを見なかった。「あまり笑わない。最近は全然」
 マギーはそれ以上何も言わなかった。事故のことを尋ねたい。過去にとらわれていてはいけないと言いたい。しかし彼女にはそんなことを言う権利はない。自分の出すぎた考えにマギーは驚いた。自分のプライバシーは大事だと思っている。それなのに彼のプライバシーは侵して平気だと思うのは変だ。
 顔を赤らめながらマギーは窓の外に目を移し、灰色の空を背景に青く白くそびえる周囲の壮大な山並みを眺めた。
「今度はなんだ?」
 マギーはもじもじした。「別に」
「顔色が変わったぞ」
 よく見ているのね。「あなたのしてくれたことに感謝したいんだけど……あなたが相手だと難しいわ」
「感謝などいらない」彼はそっけなく言った。輪郭のくっきりした口元にたばこを持っていく。「ここじゃ誰もが互いに助け合う。そうしないと生きていけないんだ」
「あなたは、誰かに助けられるのはきらいみたいだけど」マギーはため息をついた。
 ホリスターは眉を上げて彼女を見た。
 マギーは身震いし、ジャケットの襟をかき合わせた。「私にはそう思えるわ」マギーは繰り返し、グレーの目で彼を見つめた。
 口ひげが震え、黒い目に何かが光ったが、彼は道路に目を戻した。「この子が無事でよかった」
「ええ、そうね」マギーはまた震えた。「ただ、あの狼のことを思い出すと……」
 車がキャビンに着いた。ホリスターは車を止めてエンジンを切り、マギーのほうを向いた。あたりは暗くなり始めていて、薄れゆく明かりで彼女の張りつめた面持ちと心配で曇る目が見えた。女手一つで男の子を育てるだけで大変だ。二人を支えるのが自分だけとなればなおさらだろう。夫を亡くしてから男に頼ったことはあるのだろうか? たぶんないだろうと彼は思った。
「この子は大丈夫だ」
「私は何もできなかったけど」マギーは神経質に笑った。自分の耳にもその声はひび割れて聞こえた。
 ホリスターはあごを上げ、マギーの顔を見つめた。「ほら」そして片手で彼女の腕をつかんだ。「こっちに来い」マギーがためらっていると彼は言った。「思いっきり泣いたほうがいい」
 見知らぬ人も同然なのに、胸を借りるのは不思議な気がした。だが彼はもう見知らぬ人ではない。ブレイクを助け、手当てしてくれた。誰と一緒にいるよりも彼といると安心感を覚える。マギーはため息をつき、彼の腕の中でこらえていた涙をあふれさせた。引きしまった手が髪を撫でている。こめかみに心地よい深い声が響く。
「ごめんなさい」自分をさらけ出したのが恥ずかしく、しばらくしてマギーは言った。「怖かったの」
「当然だ。もう二度とあんなところに行かせるな」うむを言わせぬ口調だった。「ここはアリゾナのにぎやかな町とは違う。狼もいれば熊だって少しいる」
「脚が折れてるから遠くには行けないわ」グレーの目が彼の目と合った。
「そうだな」その銀色の輝きに見入ったホリスターは言うつもりだったことを忘れてしまった。目が離せない。体はこわばり、呼吸が乱れる。なんてきれいなんだ! 彼の顔が引きつった。こんなことは必要ないし、ほしくもない!
 マギーも自分を抑えられないでいた。彼に見つめられて鼓動が速まる。まるで初めての恋人と一緒にいる少女のようだ。その目が知らず知らずのうちに豊かな黒い口ひげの下の口元に、輪郭の美しい唇へと落ちた。彼女はキスしたいと思った。
「だめだ」ふいにホリスターが言い、髪を撫でていた手に力が入って彼女の顔を引き寄せた。「やめてくれ。もう二度とあんなことを繰り返したくない」ふいに彼女を放すと、ホリスターはドアを開けた。
 マギーの胸が冷たくなった。彼の言葉の意味がわからない。妻を愛していたから、また胸が引き裂かれるような思いをするのはいやだということだろうか。それならわかる。でも彼を誘惑しようとしたわけではない……。それとも、したのだろうか?
 マギーは、車からブレイクを降ろすホリスターを見つめ、寝室のベッドに寝かせて外へ戻ろうとする彼に短くお礼を言った。
「うちのカウボーイが誰か乗ってくれるのを待って、君の車をあとで持ってくる」ホリスターは冷たく言った。「ほかに必要なものは?」
 まるで風のような冷たさだ。飢え死にしそうになっていてもパンくずさえ乞いたくないとマギーは思った。「何もないわ、ミスター・ホリスター」胸にはいろいろな感情が渦巻いていたが、彼女は落ち着き払って言った。かすかなほほえみさえ見せた。「今日は本当にありがとう」
 ホリスターはマギーの顔を見つめた。さっき冷たくしたせいでその顔に痛みが浮かぶのを見たくなかった。彼はドアに向かった。「いいんだ」そっけなく言うと、彼は振り返りもせずに出ていった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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