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シチリア大富豪の忘れ形見

シチリア大富豪の忘れ形見


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャンテル・ショー(Chantelle Shaw)
 イギリスの作家。ロンドン育ちで、頭の中でおはなしを作るのが大好きな少女だった。二十歳で結婚、第一子の誕生とともにケント州の海辺に移り、現在に至っている。浜を散歩しながら小説の構想を練るという。趣味はガーデニングやハイキング。六人の子供の母親でもある。

解説

 シングルマザーのクリスティンは、これ以上ないほど困窮していた。働きづめのせいで、3歳の息子ニコから笑顔も消えてしまった。もうどうしようもない。プライドを捨て、ニコの父親に助けを求めよう。かつて愛したシチリアの大富豪セルジオは子どもを望まなかったが、今こそ息子がいることを伝えるのだ。けれどそう決意した矢先、クリスティンは新聞でセルジオが婚約することを知る。いてもたってもいられず、婚約発表のパーティに駆けつけた彼女は、セルジオがマイクの前で口を開きかけたそのとき、思わず叫んでしまった。「だめよ! そんな結婚は許されないわ!」激しく後悔してももう遅い。セルジオの冷ややかな目が彼女を見据えた。

抄録

 彼女のつけている香水の爽やかな花の香りがセルジオの欲望を刺激した。彼は、クリスティンをここへ連れてきたのはパーティを台なしにした理由を問いただすためだと自分に言い聞かせた。だが、彼女に目をやり、視線が絡みあったとたん、セルジオは彼女が四年前よりもさらに魅力的になったということしか考えられなくなった。
 彼の手がクリスティンの頬に落ちた髪をそっと払いのけると、彼女の体がこわばった。
「きみはますますきれいになった」深みのある声が、少し目の粗いベルベットのようにクリスティンの五感を刺激した。「夏の空のように真っ青な目も、熟れたとうもろこしのような金髪もすばらしい」
 ほかの男が口にしたら陳腐な口説き文句にしか聞こえないせりふなのに、セルジオ独特のアクセントのせいでとても詩的に響く。彼の魔法にかかり、その熱いまなざしのなかで溺れるのはあまりにもたやすかった。怒りを覚えつつも、クリスティンは荒々しい興奮が体を駆け抜けるのを感じた。ついさっきほかの女性との婚約を発表しようとしていたその口で、なぜセルジオはこんなにもやすやすと口説けるのだろう。クリスティンは不思議でたまらなかった。
 飲み終えたグラスを置く手が震えていることにセルジオが気づきませんように、とクリスティンは祈った。「もう行かなくちゃ。あなたがわたしをこの部屋に入れたことをミス・デノムが知ったら、きっと悲しむわ」
「なぜだ? きみが話があると言ったから、ぼくはそれを聞こうとしているにすぎない」
 セルジオの声にはおもしろがっているような響きがあった。「あなたはくだらないお世辞を口にしたわ。わたしに向かって、きれいだなんて言う資格は、あなたにはないのよ」
「なぜだ? 本当のことなのに」
 クリスティンの首筋の脈が激しく打っていた。セルジオはしばらくその首筋を見つめてから、彼女の唇に視線を移した。クリスティンが下唇に舌先を軽く走らせる。セルジオの怒りはすでに消え、根源的な欲望が彼を支配していた。クリスティンと別れてからの四年間にセルジオは数えきれないほどの女性とつきあった。だが、クリスティンに対するような激しい欲望を覚えたためしは一度もなかった。
 鋭くなったセルジオの五感が、ソファから立ちあがろうとするクリスティンの気配を感じとった。彼女の動きより一瞬早く、セルジオは彼女の手首をつかんだ。
「放して!」
 クリスティンの息遣いは荒く、セルジオの視線はハイネックのブラウスの胸の高まりに吸い寄せられた。白い胸と薔薇色の胸の先の記憶がよみがえり、激しい欲望が彼の全身を責め苛んだ。
「なんて卑劣な」クリスティンの声は怒気を含んでいた。「ついさっきまで、きれいな貴族の娘との婚約パーティを開こうとしていたくせに」
 いまになって、クリスティンのなかに罪悪感が芽生えた。彼女はセルジオに人間らしい感情がないことをよく知っているが、きっとフェリシティ・デノムは彼に愛されていると思っていたに違いない。
「かわいそうに、あの人は……」
「無駄な同情はしないほうがいい」セルジオはそっけなく言った。「ゴシップ紙の記事なんか信用するな。あの婚約話はまったくのでっちあげだ」
「レディ・フェリシティとは結婚しないの?」
「結婚についてぼくがどう考えているか、きみはよく知っているだろう」
 確かに知っていた。以前、本人の口からはっきりと聞かされたからだ。だが、クリスティンと別れた直後に、セルジオはシチリア人女性と婚約した。シチリア島をあとした数カ月後に、雑誌で彼とその女性の写真を見たとき、クリスティンは吐き気を催したものだった。
 何かが頬に触れた気がして視線を上げると、セルジオの顔がすぐそばにあった。彼の指が蜘蛛の糸のように軽くクリスティンの肌をかすめる。すると、その肌がまるで焼き印でも押されたかのようにかっと熱くなった。
「ここへ来た本当の目的はなんだ? きみはパーティの邪魔をしたあと、すぐに逃げだした。だが、ぼくが必ず追いかけると、きみは知っていたはずだ」
 いまこそニコの話をするチャンスだ、とクリスティンは思った。だが、言葉が喉に引っかかって出てこない。本能のささやきが聞こえる気がする。まだ息子の存在は秘密にしておくのよ、と。意識的な決断ではなかった。いまのクリスティンは論理的な思考ができる状態ではない。頭がふらふらし、いまさらながら彼女は夕食が喉を通らなかったことを思い出した。空腹にシャンパンを飲むなんて、愚かにもほどがある。脈が速くなっているのも、めまいがするのも、アルコールのせいだ。息がかかるほど近くにセルジオの唇が迫っているからではない。
「きみがぼくに会いたかった理由はこれか?」
 クリスティンは否定の言葉を声に出すことができなかった。というより、セルジオの唇に封じこめられたと言うべきか。彼は、まるで支配力を誇示するかのように荒々しくクリスティンの唇を奪った。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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