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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

危険な薔薇

危険な薔薇


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・サラ(Sharon Sala)
 強く気高い正義のヒーローを好んで描き、業界のみならず読者からも絶大な賞賛を得る実力派作家。息子と娘、それに孫が四人いる。“愛も含め、持つ者は与えねばならない。与えれば百倍になって返ってくる”が信条。ダイナ・マコール名義の著書も出版されている。

解説

 故郷を離れシカゴで孤独に暮らすクリスティのもとに、ある日差出人不明の薔薇の花束とメッセージが届いた。ストーカーの影におびえていた彼女は警察に通報するが、駆けつけた刑事の姿を見て思わず目を疑った。かつて彼女が初めて恋し破れた相手スコットが、すっかり大人の男性となってそこに立っていたのだ。

抄録

 車を降りてクリスティのアパートメントに向かうとき、スコットはいつしか早足になっている自分に気づいた。なぜこんなに急ぐのか、自分にうそをつく気はない。クリスティの命が危険にさらされている、それだけが理由ではない。ただ彼女に会いたい。会って、昨日感じた互いにひかれ合う気持ちは、思いがけず再会できた驚き以上に何か意味のあるものなのかどうかを確かめたい。
 エレベーターを待たず、スコットは階段を一段飛ばしでのぼり始めた。三階まで来たところで非常口のドアが開き、オリーブグリーンのオーバーオールを着た背の高いやせた男が出てきた。
 男とスコットはほぼ同時にお互いに気づき、ぶつかる直前に立ち止まった。オーバーオールや、手に持った工具箱から、この男はおそらくこのビルの補修係だろう、とスコットは考えた。
「やあ、調子はどうだい?」スコットは質問というよりはあいさつ代わりに声をかけたが、相手はどうやら答える気分ではなさそうだった。
 男は落ち着きのない目つきでスコットを見ると、あわてた様子で彼の脇をすり抜けていった。その拍子に工具箱がスコットの脚に当たった。
 スコットは踊り場で立ち止まり、駆け下りていく男をけげんそうに見送った。なぜかわからないが、あの男の態度に不審なものを感じる。あとでビルの管理人に彼のことをきいてみようと頭の中にメモし、スコットはクリスティの部屋のある階へとまた階段を上がった。数分後、彼はクリスティの部屋のドアをノックした。歓迎の笑みを浮かべてドアを開けたクリスティを見た瞬間、スコットは自分自身に問いかけていたことの答えがわかった。このぶんだと、またクリスティに夢中になってしまうのも時間の問題のようだ。
「早かったわね」クリスティは言った。「入って」
 スコットはコートを脱いでそばの椅子の上に置き、彼女についてリビングに入っていった。
「朝食の用意ができてるわよ」
「録音テープをまず聞きたい」
「でも、卵が冷たくなってしまうわ」
 スコットが眉をひそめた。「温め直せばいいさ。それよりテープを、早く」
 クリスティはため息をつき、サイドボードの上にある留守番電話機を指さした。
「テープに録音してあるわ。新しく替えたテープだから、メッセージはまだ一件しか入っていないの。帰るときに持っていってもいいわ。新しいのがまだあと一つあるから」
 スコットにはわかっていた。クリスティの気のないそぶりは自分の本心を隠すためだと。だがいくら隠そうとしても無駄な努力だ。少なくとも、このぼくには。彼女のことを知りすぎているから。
 スコットはクリスティを一度見てから再生ボタンを押した。まもなく、クリスティのストーカーのおぞましい脅迫の声が部屋に響いた。スコットは唇を厳しく引き結び、その声に耳を傾けた。録音の再生が終わると、スコットは機械からテープを取り出し、小袋に入れてポケットにしまった。クリスティに向き直ったときには、そんな電話のことなどすっかり忘れたような表情になっていた。
「それじゃ、卵を……」
 クリスティはほっと肩の力を抜いた。少なくともスコットは、彼女が答えられないような質問をするつもりはないらしい。
「キッチンにあるわ、ご要望のピカンテ・ソースも一緒に」
 スコットは片腕でクリスティの肩を抱き、素早く抱きしめた。「少しは眠れたかい?」
 クリスティは肩をすくめた。「ええ、十分。コーヒーは今でもブラック?」
 スコットはクリスティの腕を取ると、自分のほうへ向き直らせた。「クリスティ」
「なあに?」
「話してくれ」
 その一言で、クリスティがずっとこらえてきた、つらい思いが一気に噴き出した。
「何を話せっていうの、スコット? 仕事に行くのが怖いって? 夜、目を閉じるとき、また明日無事に目が覚めるだろうかと不安になるって? ゆうべ、母と電話で話をしたの。ロレッタのところに赤ちゃんが生まれたのよ。男の子ですって。ロレッタには愛する人がいて赤ちゃんもいるというのに、わたしはこうして愛する家族から何百キロも離れた街で働き、誰かがわたしなど生きている資格がないと決めつけている。そんな話をすればいいの?」
「そうだ」
 クリスティはスコットをにらみつけた。
 スコットはそんな彼女を静かに見つめ返し、身を乗り出してキスをした。
 その瞬間、クリスティの体に衝撃が走り、全身が甘く溶けた。とても懐かしい、でも昔とは違う唇だ。まだ少年の面影を残すスコットはよく知っていたが、大人の男としてのスコットは知らない。落ち着きなさい、そう自分に言い聞かせ、クリスティは両腕をスコットの首に巻きつけて彼の抱擁に身をゆだねた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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