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孤高の白豹と、愛執を封じた男〜天国へはまだ遠い〜

孤高の白豹と、愛執を封じた男〜天国へはまだ遠い〜


発行: イースト・プレス
レーベル: アズ文庫・ホワイト シリーズ: 天国へはまだ遠い
価格:650pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆4
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解説

 24世紀半ばのTOKYO――ボディガードのセルリアと同居中の千早は、『ルース』という地下組織に属する天才的な薬剤調合師。見た目20代後半の千早だが、実は陰陽師の家系で不老不死の呪いをかけられ千年以上を生きている。一方のセルリアは純白の皮毛をした吸血人豹一族の異端児。よりによって特殊な血をもつ千早を餌に選んでしまったため、不本意ながら千早と暮らすことに。そんな孤高のふたりに組織を通じて仕事の依頼が……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

目次

 孤高の白豹と、愛執を封じた男〜天国へはまだ遠い〜
 相変わらずな夜(アズ文庫創刊記念番外編)
 あとがき

抄録

「なにをするんです!?」
「静かにしろ」
「ちょっと……え? 痛……んうっ」
 金は些少しか持っていないと言いかけた青年の喉笛あたりへ、否応なしに顔を埋めた。手っ取り早くすませるには、残念ながらそこが一番妥当だった。緊急措置とあきらめる。
 騒がれないように、残る左手でその口元も覆った。
 どうやら、強盗と思われたらしい。金品は奪わないものの、血液はいただくのであながち間違いではない。漏れなく記憶も消すがと考えつつ、やっとありつけた《食事》を口にする。
「!!」
 しかし、飲み込んだ直後、セルリアは蒼白になった。味覚のみならず、身体中のありとあらゆる細胞を破壊し尽くす勢いの味に総毛立つ。
「まっず……!?」
 こんなにまずい血の人間がいるなんてと慄然となる。どれほど不摂生な食生活を送っているのだと、現状は棚上げで説教したかった。
 極上の白ワインと思ったら、原液の酢だったくらいの衝撃である。味蕾が残らず壊死してもおかしくあるまい。
 慌てて顔を離すも、思いきり吸った一口分が多かったせいで口の中が大変な後味で大惨事だ。拘束を解いて壁に手をつき、吐き戻そうと試みたが叶わない。せめて水が欲しかったけれど、なけなしの理性がそんな場合ではなく、相手の記憶を完全に操作せねばと訴える。
 飢餓感と嘔吐感を堪え、青年の眼前へ小刻みに震える右手を翳して術をかけた。
 これで、ほどなく気絶するはずだ。すぐに気がつくし、セルリアとのやりとりを忘れるだけでほかに害はなかった。
 吸血人豹一族は、人間を絶命させたりはしない。吸血のたびに、調べれば失血死とわかる死体をつくっていては一族の存亡に繋がる。元々かなり空腹でもない限り、一回の《食事》で多量な血を必要としない。
「?」
 なのに、彼は意識を保ったままだ。それどころか、逃げようともせず不可思議な笑みを浮かべていた。
 自らが及ばれた行為を見ていたろうに、怖がっていない様子も訝った。
 同族ではないし、セルリアの感覚では青年は確実に人間だった。にもかかわらず、微塵も取り乱さないのが不気味で警報が脳裏で鳴り響く。
 もののけや鬼が跋扈する時代を経て、世界中の怪奇現象も知るゆえに、彼が吸血されてもさほど驚かずにいるとは想像もしなかった。
 片づけるかと思った矢先、激しい眩暈と頭痛に襲われる。ひどい動悸がして呼吸も乱れ、足元がふらつく。視界も霞んだ。
「う……?」
 なぜか、さきほどよりも具合が悪い。空腹による症状とはまた違った。己の身体になにが起きているのかと、さすがに危ぶむ。
 立っていられなくなり、青年から数歩下がって無様に片膝をついた。そんなセルリアに、彼が身を屈めて目線を合わせる。
 噛みつかれた喉元を気にもとめず、苦笑まじりに訊いてきた。
「大丈夫? って、愚問かな」
「……っ」
「察するに、きみは普通の人間じゃなさそうだね。でもまあ、血を吸うなら、事前に言ってほしかったよ。そしたら、注意できたのに」
「な、にを言っ……?」
「僕のは、だめだって」

本の情報

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