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日本以外全部沈没

日本以外全部沈没


発行: オンライン出版
価格:100pt
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対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 筒井 康隆(つつい やすたか)
 1934年、大阪に生れる。父は動物学者の筒井嘉隆。同志社大学文学部卒。大学時代は演劇と心理学に熱中した。工芸社勤務を経て、デザインスタジオ〈ヌル〉を設立、経営にあたる。60年、SF同人誌「NULL」を発刊、同誌一号に発表の処女作「お助け」が江戸川乱歩に認められ「宝石」8月号に転載された。65年、上京して専業作家となる。以後、ナンセンスなスラップスティックを中心として、精力的にSF作品を発表、『ベトナム観光公社』『アフリカの爆弾』などの作品集で直木賞候補となった。81年、『虚人たち』で第九回泉鏡花賞受賞。実験的な作風を好み、『脱走と追跡のサンバ』『虚航船団』『残像に口紅を』『文学部唯野教授』『朝のガスパール』など傑作多数。抒情的な短篇や、軽妙なエッセイの他に、戯曲、アンソロジー編集など、常に第一線に立って幅広く活躍。
 93年9月から、次々と用語を規制していく風潮に抗議して断筆し、話題となる。97年1月、執筆再開。

解説

 世界は沈没、いまや陸地は日本だけ。そこは島国根性まる出しの日本人、故国を失い救助を求める有名外人に、無理難題をあびせかけ抱腹絶倒の大混乱!
 小松左京の大ベストセラー『日本沈没』の傑作パロディ。

抄録

 「まったく、こう物価が値上りしたのでは、かなわんな」後藤がぼやいた。「今日、ざるそばを食ったら三万円とられた」
 「カレーライスが五万円だ。大衆食堂でビフテキがいくらすると思う。二十万だぜ」古賀がいった。「安いのは外人の女だけだ」
 「宝石もずいぶん値下りしたぜ。国宝級の宝石がずいぶん持ち込まれたからな」おれは左手の薬指にはめた三カラットのダイヤの指輪を見せた。「いくらだと思う。七千八百円だぜ。オナシスが持ちこんだやつだ」
 「いくら物価が高いといっても、日本人は幸せだよ。いわば貴族階級だものな。おれのいる高円寺のアパートの向かいのスナックじゃ、アラン・ドロンがボーイをやってる」
 「そう言えば江古田(えごた)の八百屋でチャールズ・ブロンソンが大根を運んでいた」
 「夕刊を読んだか。京都でアンソニー・パーキンスが京都女子大の生徒をモーテルへつれこんだ。出てきたところを袋叩きにされて、一か月の重傷だ」
 「ふうん。じゃあ、国外追放だな」
 「もちろんだ」
 「日本人の女なんて、現金なもんだな。最初は外国の著名人を見て騒いだが、今じゃ見向きもしない。始めのうちは外国の有名俳優を端役(はやく)で使っていた映画やテレビも、国内タレントの出演拒否や政府の圧力がこわくて、二か月前からまったく使わなくなってしまったものな」
 「でも、エロダクションじゃ、まだ使ってるぜ。この間ショーン・コネリーとボンド・ガール総出演のポルノを見た」
 「そりゃまあ、外人の人件費は安いからな。でも、本来の職業で稼(かせ)いでる連中はまだしあわせさ。たいていはルンペンで、持ちこんできた財産だけで食いつないでいる。奴さんなどは」後藤が顎でカルダンを指した。「デザインという特殊技能で食えるからいい」
 「コールドウェルとモラヴィアが、うちの社に、コラムを書かせてくれと言ってきたそうだ」
 「週刊誌じゃ、カポーティやメイラーに色ページの雑文をやらせてる。それからアーサー・ミラーはポルノ映画の脚本を書いてるそうだ。ボーヴォアールも中間小説雑誌にすごいエロを書きはじめた」
 おれたちはくすくす笑いながら喋り続けた。物価高や酒不足はこたえるが、記事や、酒の肴にする話題にこと欠かなくなったのはまことにありがたい。

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