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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ラブ ストリーム

ジェラシーは罪

ジェラシーは罪


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ラブ ストリーム
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エイミー・J・フェッツァー(Amy J. Fetzer)
 アメリカはニューイングランドに生まれる。海外での生活が長く、小説の舞台や登場人物の設定にはさまざまな人々と出会った経験が生かされている。十九歳でアメリカ海兵隊員と結婚し、二人の息子をもうけた彼女にとって、一杯のカプチーノとすばらしい本を手にくつろぐのが最高に幸せなときだという。彼女の作品は、ウォールデンブックスのベストセラーリストにも登場したほか、ロマンティックタイムズ誌からも絶賛されている。シルエット・ディザイアの人気作家モーリーン・チャイルドとも親交が深い。

解説

 まさか彼が殺されるなんて! リサは運命の皮肉に唇をかみしめた。執念深い夫と別居して園芸店を開き、何年も苦労を重ねて、ようやく離婚が成立したその朝、夫が死体で発見されたのだ。彼女の店の浴用ハーブ、死体に巻かれたスカーフ。現場に残されていたのは、リサに不利なものばかりだった。動揺する彼女に、刑事である元恋人のナッシュは、容赦なく厳しい質問を投げかけた。「事件当日の夜、君たち二人は何を言い争っていたんだ?」だがリサには、たとえ投獄されても話せない事情があった。
 ★シルエット・ディザイアの人気作家エイミー・J・フェッツァーが満を持して初登場! 細やかな心理描写や優美なラブシーンがふんだんに盛りこまれた本格サスペンスです。2005年11月刊行の関連作品も併せてお楽しみください。★

抄録

「話をしたいという女性が来ています」
「待つように言ってくれ」
「話をするべきだと思いますが」警官はベッドの上の死体をちらりと見た。「被害者の妻です」
 ナッシュは表情を硬くした。彼は廊下に出て、立ち入り禁止のテープが張られたほうにすばやく目を向けた。リサが向こう側に立ち、警官が彼女を押しとどめていた。
「ナッシュ」
 リサの写真が拳《こぶし》の一撃なら、生身の彼女はナッシュを真っぷたつに引き裂いた。脈が速まり、もう一度彼女に触れたくてたまらなくなる。四年の歳月は、リサをより美しくしていた。赤い髪、グリーンの瞳、ほっそりした体。そして今の彼女は人妻だ。
 いや、未亡人か。
 ナッシュはホテルの部屋に目を走らせた。救急隊員たちがシーツにくるんだ死体を袋に入れて、車輪つきの担架にのせるところだ。ナッシュは部屋のドアを閉め、警官にリサを通すよう合図した。
 ナッシュはリサをすばやくスイートルームから遠ざけ、目撃証言を取るために提供させた部屋へ案内した。なかへ入ると、ナッシュは警官をひとり外に立たせ、ドアを閉めた。
 リサはナッシュの行動をいぶかしげに見ていた。彼とはもう何年も会っていない。たまに車に乗っている姿を見かけるくらいだ。インディゴはニューヨークに比べれば小さな町だが、チャールストンという都会の近くでもあり、会わずにいることも可能な程度には広い。こんなふうに面と向かって会わなくてすむ程度には。
 しばらくふたりはじっと見つめあっていた。「やあ、リサ」ようやくナッシュが言った。
 その低い声の響きに、リサの心は揺れた。ああ、彼はなんてすてきなの。「おはよう、ナッシュ。お元気?」
 最悪だよ、と思いつつ、ナッシュは言った。「まあまあだよ。ひさしぶりだね」
 ナッシュの口調には謝るような響きがあった。リサは肩をすくめたが、胸は激しく高鳴っていた。「四年になるかしら?」
 ふたりの間のぎこちなさを強く意識しながら、ナッシュはリサの全身に目を走らせた。彼女は生き生きとして、輝くばかりに健康そうだ。赤いタンクトップからは日に焼けた腕があらわになり、短いデニムのスカートからは長い脚がすらりとのびている。脚線美、と父なら言うだろう。「インディゴには二度と帰らないって言っていたね」
 どうして今、その話を持ち出すの?「事情は変わるものよ。わたしはこの町で生まれた。ここはわたしの故郷よ。それに、わたしにそう言わせたのはあなたよ」リサは最後の言い争いを思い浮かべた。「わたしは怒っていたの」
「ぼくはきみを無理にどこかへ行かせた覚えはないよ。きみのほうじゃないか、別れたいと言いだしたのは……」
 ナッシュが不意に言葉を切ったので、リサは彼が心を閉ざしたのがわかった。あいかわらずね、とリサは思った。
 ナッシュは手で口元をこすり、ため息をついた。「いや、あれは実に大人びた振る舞いだったよ」彼はばつが悪そうに言った。
 ええ、そうね。わたしたちふたりとも。リサは心でうなずいた。
 ナッシュはアン女王朝様式の繊細なテーブルに向きあって置かれた二脚の椅子を、そっけなく手で示した。リサが座ると、ナッシュはホテルの支配人が用意した磁器のカップにコーヒーをつぎ、リサの分にちょうど好みの量のクリームを入れた。彼が覚えていたことにリサは胸を突かれたが、努めてそのことを考えまいとした。
「はっきり教えて。ここで何があったの、ナッシュ?」
 リサはナッシュと目を合わせたが、彼の表情からは何もうかがえなかった。ナッシュ・クービヨンには珍しくないことだ。彼の弟のテンプルは別だが、感情を閉ざすのはクービヨン家の人間の特性なのだ。リサはナッシュを観察した。ダークブラウンの髪は記憶にあるよりも短いが、ほかはどこも変わっていない。ナッシュは座ってテーブルに両腕を突いた。肩幅が広いのでスーツの上着がきゅうくつそうに見える。彼の体の大きさを意識せずにいるのは難しかった。その手のなかでは、繊細なカップが簡単に握りつぶせそうなガラス細工に見える。石の彫刻のような体は頑丈そうで、揺るぎなく思えた。鋭い顎の線が意志の強そうな頬骨へと続き、ブルーの瞳の下はかすかにくぼんでいる。危険なブルーの瞳、とリサはいつも思ったものだ。彼女の心を溶かしてしまう瞳。だが今はやさしさのかけらもない。それはガラスのように硬く、リサを射るように見つめていた。
 リサはまっすぐにナッシュを見つめ返し、彼に対してなんの感情も抱くまいとした。それでも不可能なことはわかっていた。相手はナッシュなのだから。
「わたしの店の従業員のケイトが、携帯電話に連絡してきたの」リサは言った。「わたしが警察に呼ばれているって。でも、なんのためかさっぱりわからないわ。説明してもらえる?」
 ナッシュはこの状況を恨めしく思い、リサがこの十二時間、どこであろうと夫の近くにはいなかったことを祈った。「きみの夫が死んだんだ」
 リサは呆然《ぼうぜん》とした顔になった。「そんなことありえないわ」
「気の毒だが、彼は隣のスイートルームにいるよ。検死官と一緒に」
「でも、ゆうべは元気だったのに」
 なんてことだ。「彼と一緒だったのか?」


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