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サルヴァトーレの孤独

サルヴァトーレの孤独


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャンテル・ショー(Chantelle Shaw)
 イギリスの作家。ロンドン育ちで、頭の中でおはなしを作るのが大好きな少女だった。二十歳で結婚、第一子の誕生とともにケント州の海辺に移り、現在に至っている。浜を散歩しながら小説の構想を練るという。趣味はガーデニングやハイキング。六人の子供の母親でもある。

解説

 彼の魅惑的な瞳は誰を見ているの?
 亡くした妻……それとも、私?

「優秀な療法士である君に、どうしても娘を治してもらいたい」シチリアの大富豪サルヴァトーレ・カステッラーノは、ダーシーのオフィスに現れるなり、金持ち特有の傲慢さで要求した。夫の裏切りと離婚に傷つき、しばらく休養するつもりだったのだが、ダーシーは幼い彼の娘への同情を禁じ得ず、シチリア行きを承諾する。訪れたサルヴァトーレの城は、亡き妻の写真で埋め尽くされていた。よほど奥様を愛していたのね……ダーシーは父娘の傷心を慮ったが、彼自身は妻を亡くした車の事故の記憶をなくしているのだという。抗いきれない魅力を放つサルヴァトーレに惹かれていくダーシーだが、亡き妻の面影に阻まれた、勝ち目のない恋だった。

■『シチリア大富豪の忘れ形見』のスピンオフをお届けします。幼い頃に生き別れたセルジオとサルヴァトーレの双子の兄弟。戻らない記憶に苦しむ兄サルヴァトーレを、前作ヒロインのクリスティンも心配していましたが、美しく心優しいダーシーが現れ……。

抄録

 胸を締めつけられるような子供の泣き声が、サルヴァトーレのあとから階段を上るダーシーの耳にも届いた。彼に続いて子供部屋へ入るなり、涙にまみれたローザの顔が見えて胸が痛んだ。電源が切られた人工内耳では、ローザは何も聞こえない。見るからに動揺していて、手話で話をすることもできなかった。恐怖にゆがんだ顔を見れば、まだはっきりと悪夢から覚めきっていないのがわかる。
 サルヴァトーレはベッドに駆け寄ったが、少女を腕に抱き上げる代わりにおずおずと頭を軽く撫で、ちらりとダーシーを見た。「とても熱い。病気だろうか?」
 サルヴァトーレは娘を腕に抱いて慰めたかったが、彼女の瞳にあるおびえを見て思いとどまった。いったいどんな夢を見てこんなに泣いたのだろう。ローザの悪夢は以前より頻繁になった。赤ん坊のときに母親を亡くしたことがトラウマになっているのだろうか。彼は罪悪感に駆られ、ダーシーがローザをなだめられるようにベッドから離れた。
 ダーシーは少女の額に触れた。「熱はないわ。上掛けのせいでちょっと暑すぎたんじゃないかしら。それで悪い夢を見たのね」
 彼女はベッドに腰かけて、手話でローザに話しかけた。“大丈夫、もう安心よ。悪い夢を見ただけ。しばらく一緒にいてあげましょうか?”
 ローザはうなずいてダーシーの首に両腕をまわしてしがみついた。ダーシーが髪を撫でてやると、しだいに落ち着きをとり戻した。
 二人を見ていたサルヴァトーレは、ダーシーがたやすくローザに触れられるのを羨み、またしても彼女のもって生まれた優しさに感動した。そのとき、彼の携帯電話が鳴った。小声で毒づいて電話を切ろうとして、セルジオからだと気づいた。
「弟だ」サルヴァトーレはダーシーに言った。「火事で怪我をした男たちの最新状況を知らせてくれることになっていた。少しのあいだ、ローザと一緒にいてくれるか?」
 ダーシーはうなずいた。「この子が眠るまで一緒にいるわ。いずれにせよ、ローザが夜中に目を覚ましても、私の部屋はすぐ隣だし」
“怪物が戻ってきたときは、私のそばにいると約束してね”ローザが手話で言った。
 ダーシーは安心させるように笑顔を見せた。“約束するわ”
 サルヴァトーレが三十分後に子供部屋へ戻ったとき、彼を迎えたのはベッドでぐっすり眠っている女性と子供の柔らかな寝息だった。ローザはシーツのあいだにくるみ込まれ、隣にいるダーシーはベッドカバーの上でまるくなっている。
 彼が部屋の奥まで行くと、ダーシーが寝返りを打って仰向けになり、ブラウスの一部がはだけた。少し透けたセクシーなブラの上から、胸のふくらみが誘惑するようにのぞいている。サルヴァトーレの体は瞬時に反応して、ズボンの中がこわばった。なぜ彼女をシチリアへ連れてきたんだと、またも自問し、イギリスへ帰してしまおうかと本気で考える。
 ベッドに近づくと、ローザは寝ているときでさえダーシーの手をしっかり握っていた。
 部屋の中は暑く、ダーシーにぴったり寄り添って寝ているローザの顔は紅潮していた。あまり暑いと、また悪夢にうなされるのではないか。心配になったサルヴァトーレはダーシーの肩に手を触れ、彼女を起こそうとして躊躇した。長旅で疲れていると言っていたのを思い出したのだ。ダーシーの部屋は子供部屋の隣だ。部屋まで運んでやるほうがいい。
 ダーシーを抱き上げても、眠っている二人はどちらも目を覚まさなかった。彼女の重さはなきに等しく、隣の部屋まで運んでベッドに寝かせてやるくらいなんということもないはずだった。だが、彼女の香水のほのかな香りがサルヴァトーレの感覚に襲いかかった。
 顎にぐっと力を入れ、彼は大股で続き部屋のドア口を通り抜けた。体をかがめてダーシーをベッドに下ろしたとき、彼女が低くあらがうようにつぶやいてサルヴァトーレの首に腕をまわし、彼の頭を自分の顔に数センチのところまで引き寄せた。
 なんてことだ《マドンナ》。まさかこんなことになるなんて。彼の良心はダーシーを起こせと主張していたが、体は、テラスで彼女にキスをしたいと思ったときのことを思い出した。
 彼女の強烈な魅力に屈してはならない。サルヴァトーレは自分に言い聞かせた。ダーシーはいままでつき合ってきた世慣れた女性たちとは違うのだと、本能が警告している。彼女は不思議なくらい純粋だ。しかし、離婚したあと恋人はひとりもいなかったのだろうか。
 サルヴァトーレの視線は、なだらかに隆起する胸と、うっすらと透けたブラ越しに見える色の濃い頂に引き寄せられた。狂気の沙汰だ! 全身の筋肉という筋肉をこわばらせ、ダーシーのしっとりした唇にキスしたいという衝動にあらがう。彼女の唇はほんの少し開き、まるでキスをせがんでいるように見えた。自分が何をしているか、本当に気づいていないのだろうか?
 サルヴァトーレは用心深くダーシーから離れようとしたが、首にまわされた腕にさらに力がこもり、彼女の口から抗議の声がもれた。
「お願い……」
 そのささやきを聞いて、サルヴァトーレの自制心は粉々に打ち砕かれた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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