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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

炎を消さないで

炎を消さないで


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆4
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

 すべてを奪って――。わたしはもう、子供じゃないの。

 厳格な学校から、半年ぶりに帰郷したキャスリンは、年の離れた義兄ブレイクの姿が見当たらないことにほっとした。早くに両親を失い養女となった彼女を、ずっと見守ってくれた義兄。でも、最近のブレイクはかたくなに男女交際を禁じ、キャスリンの行動を制限しようとするのだ。わたしはもう二十歳よ。自由になりたいわ。だがパーティの日、ちょうど出張から戻ったブレイクに、ドレスがセクシーすぎると厳しく叱責されてしまう。思わず反発したキャスリンはそのとき想像すらしなかった――わずか数時間後、ブレイクに荒々しく唇を重ねられ、衝撃と興奮に身をこわばらせることになろうとは。

抄録

「自由な人間など存在しない」ブレイクが哲学者めいた答えを返し、考え込むようなまなざしで彼女を見つめた。「ドナヴァンのどこがいいんだ?」ふいに尋ねる。
 キャスリンは肩をすくめ、ブレイクの表情が伝染したかのように考え深い顔つきになった。「いっしょにいて楽しいところね。笑わせてくれるのよ」
「きみが男に求めるのはそれだけか。笑わせてくれればそれでいいのか」
 背筋が凍りつくような冷たい口調だった。思わず彼を見ると、こわばった顔に謎めいた表情が浮かんでいた。「ほかに何があるというの?」キャスリンは反射的に尋ねた。
 意味ありげな笑みがブレイクの口の端にゆっくりと刻まれた。「男女が愛し合うときに生まれる熱い炎だ」
 キャスリンは椅子のなかで居心地悪そうに身じろぎした。「肉体の快楽を過大評価しているわ」世慣れたふりをして言い捨てる。
 ブレイクが頭をのけぞらせて大笑いした。
「しいっ! みんなが目を覚ますじゃないの」
 完璧にそろった白い歯を見せてブレイクは言った。「赤カブみたいに真っ赤になっているぞ。きみが愛の何を知っているというんだ? 小娘のくせに。いざそんな場面になったら失神するのが落ちだ」
 キャスリンは憤慨して彼をにらみつけた。「あなたに何がわかるのよ。もしかしたらすでにラリーと……」
「いや、ないね」ブレイクがさえぎった。「きみは正真正銘のバージンだ。もしその手の危険があると思ったら、クレタ島から即刻帰国させていた」
「今の時代、純潔なんてなんの価値もないのよ」
 ブレイクは長いこと無言だった。「軽々しく純潔を捨てようなどと思わないほうが身のためだ」ようやく発したのは穏やかな警告だった。
「あら、古くさいことを言わないで」キャスリンはちゃめっ気のある笑みを浮かべて攻勢に出た。「だいたい、女性たちの身持ちが固かったらあなたは困るんじゃないの?」
「かなり困る」ブレイクはあっさりと認めた。「だが、きみはぼくがつき合う女性たちとは違う。色情狂みたいに自分の体を差しだすのはやめてくれ」
 キャスリンはため息をついた。「その心配はないわ。やり方を知らないもの」
「そんなドレスを着るのが、誘惑の第一歩になる」
「でも大事なところは隠れているわ。ナンのドレスに比べたらずっとおとなしいし」
「わかっている」ブレイクの口もとがゆるんだ。
 そんな彼をキャスリンはまつげの下から観察した。「ナンはあなたのことを世界一セクシーだと思っているのよ」
 ブレイクの顔がこわばった。「ナンはまだ子どもだ」不機嫌そうな声で言うと、ポケットに手を入れて後ろを向いた。「それに、ぼくはヒーロー扱いされて喜ぶような年じゃない」
 ナンはキャスリンと同い年だ。彼女は気持ちが落ち込むのを感じた。ブレイクといると、自分がひどく不器用で無知な人間に思えてくる。
 彼の広い背中をまじまじと見つめた。実に見栄えがする。体格がよく、生気にあふれており、物静かで思いやりがある。そして暴君でもある!
「ラリーを招待させてもらえないなら、わたしのほうから彼に会いに行って作家の集いに同行するわ」
 ブレイクが振り返り、威嚇するような目でにらんだ。「脅すつもりか、ケイト?」
「とんでもないわ!」
 彼の浅黒い顔は石像さながらに無表情だった。「この話はまたにしよう」
 キャスリンは彼をにらみつけた。「暴君」
「そんなことしか言えないのか」
「男尊女卑の頑固者! あなたといると腹が立つわ!」
 ゆったりとした足どりでブレイクが近づいてきた。「そういう自分はどうなんだ、キャスリン?」迫力のある低い声で尋ねる。
 すぐそばに来た彼の顔をキャスリンは見あげた。「頑固なのはおたがいさまね」素直に認める。「休戦する?」
 ブレイクがやさしくほほえんだ。「休戦だ。おいで」
 彼がキャスリンのあごに手を触れて持ちあげ、顔を近づけてきた。彼女は目を閉じて、いつものそっけない挨拶のキスを待ち受けた。ところが何も起きなかった。
 不思議に思って目をあけると、ブレイクの瞳がどぎまぎするほど近くにあった。焦茶色の虹彩に散る金色の斑点や、目尻の小さなしわまで見分けられる。
 温かい指が伸びてきて、愛撫するように首筋をなでた。
「ブレイク?」どう反応していいかわからず、キャスリンはささやいた。
 ブレイクのあごが硬く引き絞られ、セクシーな口の横の筋肉がぴくっと動いた。
「よく帰ってきたね、ケイト」かすれ気味の声で言うと、彼はそのまま立ち去ろうとした。
「キスしないの?」キャスリンは深く考えずに尋ねた。
 ブレイクの顔からいっさいの表情が消え、熱い炎を封じ込めたような目がキャスリンの目を見おろした。「もう遅い」そう言うなり、彼は唐突に身をひるがえした。「それに今夜は疲れた。おやすみ、ケイト」
 彼が外に出ていくと、あとに残されたキャスリンはその場に立ちつくして、誰もいない部屋の出口を見つめた。

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