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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・コルトンズ

御曹子の求婚

御曹子の求婚


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・コルトンズ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 ローリー・ペイジ(Laurie Paige)
 高校卒業後すぐに結婚。娘を育てながら数学の学位を取得し、NASA(アメリカ航空宇宙局)から表彰されたこともある。結婚をためらう人に贈りたい言葉は、“恋に落ちるのには理由がある。それが心配や責任に押しつぶされていることもあるが、未来は必ず訪れる”。

解説

 ジョー・コルトンのバースデー・パーティが開かれた夏、マヤはコルトン家の次男ドレイクと結ばれた。ずっと憧れてきた人との夢のようなひとときは、ある朝突然終わりを告げた。“ぼくの人生に妻子の入る余地はない”そっけない手紙だけを残して、ドレイクは去っていったのだ。しょせんは身分違いの恋。かなうはずもない。そう自分に言い聞かせ、マヤは彼を忘れようとした。だが、甘い逢瀬がもたらしたものは、傷心だけではなかった。

抄録

 ドレイクは昔を振り返った。「ああ。ぼくが子供だったころは、よくみんなで馬に乗ったり、ゲームをしたり、浜辺でピクニックをしたりした。でものちに……そういうことはしなくなったようだ。まあ、ぼくはカレッジに行っていて、たまにしか家に帰らなかったからね」
 マヤはうなずいた。「お母様はもっとあたたかくて、親しみやすい人だったわ。でもラナとわたしはあなたたち家族の邪魔はしないようにと言われていたし、あまり一緒に遊んだりはしなかったけど」
「ぼくらが野球の試合をするのに、人数が足りなかったときは別だったろう」ドレイクは指摘した。「きみはいい選手だった。女の子にしてはね」
 マヤが一瞬笑顔を見せたので、ドレイクの気分は少し明るくなった。彼女は海に視線を戻した。「わたしは雇われている身だから、あなたたちコルトン家の子息とは、あなたのお母様を見る目が違うと思うわ。地位とか身分とか、いろいろと」マヤはさりげなく言った。
「そうだな。シンデレラと王子様だ」ドレイクは皮肉を言わずにいられなかった。マヤほど彼を簡単にいらだたせられる女性はいない。
 マヤのなめらかな頬が赤く染まった。
「きみはそういうふうにぼくたち家族を見ているのかい、鼻持ちならない金持一族だと?」
「そんなことないわ。あなたのお父様はすばらしい方よ。どんな相手にも友人として接する気づかいを忘れないわ」
「でも母はそうではない?」
 マヤは無言だった。
「ぼくは? ぼくのことはどう見ているんだ?」ドレイクはどうしても知りたくなり、かすれた声で問いつめた。
 霧に濡れ、誘うように波打つマヤの髪に、彼はふれた。にわかに欲望の渇きが息を吹き返し、彼女のなかに身を埋め、わずらわしい悩みを忘れてしまいたくなった。彼女もその悩みのひとつなのだが。ドレイクは名残惜しそうに手を離した。
 マヤは振り向いてまっすぐに彼を見つめた。「あなたはわが道を行く人よ。自分ひとりで」
「ひとりでいるのに飽きることもあるさ」
 ドレイクは言い、その言葉にマヤだけでなく彼自身も驚いた。彼は指先でマヤの頬にふれ、顎に手をかけて少し仰向かせた。彼女の唇は自然なピンク色で、果物のように甘そうだ。キスを誘う唇。
「マヤ」ドレイクはつぶやいた。
 意外な事実を知り、混乱してなにかを求める思いが彼の目に浮かんでいたに違いない。
「お願い、やめて」マヤはささやいた。
 だがドレイクは自分を抑えられなかった。彼は片手をマヤの髪に差し入れて抱き寄せた。体のなかに熱いものがあふれ、冷たい痛みのしこりを溶かしていく。同時に、激しくも、彼が感じることを恐れている欲求がこみあげてきた。将来を約束できない男に、そういう甘い感情は禁物だ。
「きみを求めるなと? きみを欲するなと?」ドレイクはきいた。「右腕を切り落とすほうがまだしも簡単だよ。去年の夏のことが忘れられないんだ。もう一度、あんなふうになりたい」
 マヤは首を振って顔をそむけた。
 ドレイクは震える手でマヤを自分のほうに向かせた。マヤの瞳は涙で潤んでいた。彼女は目を閉じ、とらわれたようにじっとしていた。魔物と深く青い海のあいだに挟まれて動けなくなったように。
 そして彼こそが魔物だった。
「ああ、お願いだ」ドレイクは祈るようにつぶやいた。だがなにに対する祈りなのかはわからなかった。「きみを傷つけるつもりはなかったんだ」
「そうよ。わたしが傷ついたのは、自分の愚かな夢のせい」
 マヤはまた体を離そうとしたが、ドレイクがそうさせなかった、いや、できなかった。ふたりで話しておかなければならないことがある。子供の将来も考えなければならない。
「遺言状をつくったよ」ドレイクは言った。「相続人はきみと赤ん坊だ。カレッジを卒業してからいくらか金もためているし、両親がぼくたち子供に分配した信託財産もある」
 ドレイクの言葉にマヤはかっとなり、怒りをこめて彼を見た。「あなたのお金なんて欲しくないわ! よくもそんな……そんなふうに考えていたなんて……お金で解決を……」マヤはなんとか冷静になろうとしていた。「そんなお金は必要ないわ。わたしひとりで自分と子供の面倒は見られます」
 侮辱されたと感じて火のように怒るマヤはあまりに美しく、ドレイクは自分を抑えられなかった。彼はマヤにキスをした。
 瀕死の人間が、命の息吹を求めるように。いくらキスしても足りないかのように。もう決して手放さないと言わんばかりに。
 マヤが逃れようともがくと、ドレイクも一緒に立ちあがりながら、衝動に突き動かされて荒々しく無我夢中でキスを続けた。
 マヤの丸いおなかを包みこむように抱くと、喜んでいるのか、怒っているのか、赤ん坊が元気よく蹴ってくるのがわかった。抑えようのない情熱に、誇らしさが交錯した。マヤは彼の腕のなかで身をかたくしている。ドレイクはキスの勢いをやわらげたが、まだやめることはできなかった。
 ふいにマヤは小さなうめきをもらして、ドレイクの胸に手をあてた。ぼくにふれたいからだ、とドレイクにはわかった。押しのけるためではない。彼は勝ち誇った気分になった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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