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和書>小説・ノンフィクション>SF・ファンタジー小説>架空戦記小説:近現代
稲葉 稔(いなば みのる) 1955〜 熊本県生まれ。放送作家を経て、1994年、小説家デビュー。『電撃・大和艦隊』シリーズ、『蒼海の盾』シリーズなど。
昭和十七年八月。日本海軍は真珠湾以来、破竹の進撃をつづけ、課題のミッドウェイで勝利を収めた。しかし、これは新たな激戦への幕開けであった。連合艦隊司令長官・山本五十六が画策する次作戦は、ハワイ攻略の足がかりとなるガダルカナル島を奪回して、アメリカ本土を狙うことにあった。超能力と改造肉体を併せ持つ「特命参謀」の鳴海大輔と片山丈は、陸軍の後方支援としてガ島に乗り込み、同軍の上陸を完遂させる。いま、ガ島の覇権をめぐって日米両軍は更なる大激突を開始する。そして、遊弋する米太平洋艦隊を壊滅すべく、高速戦艦『大和』の主砲が咆哮する!!
あらすじ 第一章 指揮官 第二章 激 突 第三章 ガダルカナル 第四章 大攻防 第五章 分岐点
キャビンに戻り着替えをすませた片山は、まず山本に報告するために鳴海を伴い長官室を訪ねた。 「そうか、ご苦労であった。楽にしたまえ」 椅子を勧められた二人は着席した。威儀を正して山本を見る。 「ガダルカナルの飛行場が奪われたと聞きました」 片山が口を開いた。 「うむ、ツラギの水上基地も襲撃された。第八艦隊が奪い返しに向かうはずだが、どうなるかはわからん。その後の情況が気になるが、連絡はまだ入ってこない」 「我々の出撃の可能性は大ですね」 鳴海は気になっていた。山本はテーブルに腕を置き、両手の指を組み合わせた。左手の指が二本欠損している。日本海海戦での名誉の負傷だった。 「出撃はするが、君たちには例によって、ラバウルに行ってもらうかもしれん。その後は、今後の展開次第だが、ガダルカナルに渡ってもらうことも考えておる」 「ガダルカナルに」 鳴海は片山と顔を見合わせた。 「状況次第ではあるが、いずれあの島には兵員を輸送しなきゃならん。ところで、片山、内火艇を改造したそうだな」 「なかなか思いどおりにはいきませんでしたけど、それなりのものができました。ご覧になりますか。初乗りは是非長官にと思っていたんです」 「そうか。……この状況下で乗ることはできんが、見学だけしておくか」 山本が腰を上げたので、鳴海と片山も後に従った。 通路を歩いて、収納庫に向かった。乗員たちは山本に気づくと、ぴりっと緊張した面もちで敬礼してくる。将校の多くは略した答礼をするが、山本はそんないい加減なことはせず、きちんと敬礼を返す。 山本は一六〇センチに満たない短躯《たんく》である。しかし、長身の鳴海や片山よりはるかに大きく見える。威厳もあるだろうが、人間的スケールの問題だろう。鳴海はそう考えていた。それに、敬礼をしてくる乗員たちは、緊張した顔をしていながら、どこか誇らしげで嬉《うれ》しそうでもあった。 事実、当時山本の名を知らない国民はいなかった。横綱《 》双葉山《ふたばやま》に並ぶ時代のスターだったのである。そんな山本と歩く鳴海も、どことなく自慢げな気持ちになった。 短艇収納庫に入ると、山本は一瞬目を瞠《みは》った。それから鋼板にふれて、まるで戦車じゃないかと言った。 「これで海を走ることができるのか?」 聞かれた片山の相好が崩れる。 「もちろんです。今の日本の、いや世界広しと言えど、これより速く走れる船はありません。何せ六五ノットを出すことができるんです」 「六五ノット」 山本は信じられないという顔をした。 「そうです、海をかっ飛ばします」 鳴海は片山の足を踏んづけた。片山は妙に口の軽いところがある。うるさ型の宇垣に言葉遣いが悪いと、しばしば注意を受けている。 「そうか、こんな戦車みたいな船がそんなに速く走るのか」 「魚雷も装備していますし、その二本の機関砲は空からの攻撃にも対応できます」 「それは楽しみだ。それで名前は何とつける」 「それなんすよね」 鳴海は、今度はギッと、片山をにらんでやった。なんすよね、とはなんちゅう言葉を使うんだと、腹のなかで小言を言う。だが、片山は平然としている。 「長官につけてもらえれば、ありがたいんですが」 山本はうーんと唸って、改造内火艇を見やりながら考えた。偉ぶらない山本のこんなところに、鳴海は好感を持っていた。 「弁慶《べんけい》ではどうだ。いかにも強そうじゃないか」 「それはいい名前です。まったくそんな名前は思いつきませんでした。長官、それじゃついでに、鳴海の水偵を義経《よしつね》としたらどうでしょう」 片山は顔を輝かせながら提案した。 「いいんじゃないのか。いいアイデアだ。そうしたまえ」 名前はあっさり決まった。 改造内火艇は「弁慶」、水偵は「義経」。鳴海も気に入った。 *この続きは製品版でお楽しみください。
【XMDF形式】
※注意 同一の書籍でもファイル形式が異なるものは別商品として取り扱っております。
デジタル初版:2005年11月2日
ジャンル:和書>小説・ノンフィクション>SF・ファンタジー小説>架空戦記小説:近現代 著: 稲葉稔 発行: 学習研究社 シリーズ: 電撃・大和艦隊
和書>小説・ノンフィクション>SF・ファンタジー小説>架空戦記小説:近現代 |
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