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電撃・大和艦隊3

電撃・大和艦隊3

著: 稲葉稔
発行: 学研
シリーズ: 電撃・大和艦隊
価格:840円(税込)
10ポイント還元
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対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 稲葉 稔(いなば みのる)
 1955〜
 熊本県生まれ。放送作家を経て、1994年、小説家デビュー。『電撃・大和艦隊』シリーズ、『蒼海の盾』シリーズなど。

解説

 昭和十七年八月。日本海軍は真珠湾以来、破竹の進撃をつづけ、課題のミッドウェイで勝利を収めた。しかし、これは新たな激戦への幕開けであった。連合艦隊司令長官・山本五十六が画策する次作戦は、ハワイ攻略の足がかりとなるガダルカナル島を奪回して、アメリカ本土を狙うことにあった。超能力と改造肉体を併せ持つ「特命参謀」の鳴海大輔と片山丈は、陸軍の後方支援としてガ島に乗り込み、同軍の上陸を完遂させる。いま、ガ島の覇権をめぐって日米両軍は更なる大激突を開始する。そして、遊弋する米太平洋艦隊を壊滅すべく、高速戦艦『大和』の主砲が咆哮する!!

目次

あらすじ
第一章 指揮官
第二章 激 突
第三章 ガダルカナル
第四章 大攻防
第五章 分岐点

抄録

 キャビンに戻り着替えをすませた片山は、まず山本に報告するために鳴海を伴い長官室を訪ねた。
「そうか、ご苦労であった。楽にしたまえ」
 椅子を勧められた二人は着席した。威儀を正して山本を見る。
「ガダルカナルの飛行場が奪われたと聞きました」
 片山が口を開いた。
「うむ、ツラギの水上基地も襲撃された。第八艦隊が奪い返しに向かうはずだが、どうなるかはわからん。その後の情況が気になるが、連絡はまだ入ってこない」
「我々の出撃の可能性は大ですね」
 鳴海は気になっていた。山本はテーブルに腕を置き、両手の指を組み合わせた。左手の指が二本欠損している。日本海海戦での名誉の負傷だった。
「出撃はするが、君たちには例によって、ラバウルに行ってもらうかもしれん。その後は、今後の展開次第だが、ガダルカナルに渡ってもらうことも考えておる」
「ガダルカナルに」
 鳴海は片山と顔を見合わせた。
「状況次第ではあるが、いずれあの島には兵員を輸送しなきゃならん。ところで、片山、内火艇を改造したそうだな」
「なかなか思いどおりにはいきませんでしたけど、それなりのものができました。ご覧になりますか。初乗りは是非長官にと思っていたんです」
「そうか。……この状況下で乗ることはできんが、見学だけしておくか」
 山本が腰を上げたので、鳴海と片山も後に従った。
 通路を歩いて、収納庫に向かった。乗員たちは山本に気づくと、ぴりっと緊張した面もちで敬礼してくる。将校の多くは略した答礼をするが、山本はそんないい加減なことはせず、きちんと敬礼を返す。
 山本は一六〇センチに満たない短躯《たんく》である。しかし、長身の鳴海や片山よりはるかに大きく見える。威厳もあるだろうが、人間的スケールの問題だろう。鳴海はそう考えていた。それに、敬礼をしてくる乗員たちは、緊張した顔をしていながら、どこか誇らしげで嬉《うれ》しそうでもあった。
 事実、当時山本の名を知らない国民はいなかった。横綱《 》双葉山《ふたばやま》に並ぶ時代のスターだったのである。そんな山本と歩く鳴海も、どことなく自慢げな気持ちになった。
 短艇収納庫に入ると、山本は一瞬目を瞠《みは》った。それから鋼板にふれて、まるで戦車じゃないかと言った。
「これで海を走ることができるのか?」
 聞かれた片山の相好が崩れる。
「もちろんです。今の日本の、いや世界広しと言えど、これより速く走れる船はありません。何せ六五ノットを出すことができるんです」
「六五ノット」
 山本は信じられないという顔をした。
「そうです、海をかっ飛ばします」
 鳴海は片山の足を踏んづけた。片山は妙に口の軽いところがある。うるさ型の宇垣に言葉遣いが悪いと、しばしば注意を受けている。
「そうか、こんな戦車みたいな船がそんなに速く走るのか」
「魚雷も装備していますし、その二本の機関砲は空からの攻撃にも対応できます」
「それは楽しみだ。それで名前は何とつける」
「それなんすよね」
 鳴海は、今度はギッと、片山をにらんでやった。なんすよね、とはなんちゅう言葉を使うんだと、腹のなかで小言を言う。だが、片山は平然としている。
「長官につけてもらえれば、ありがたいんですが」
 山本はうーんと唸って、改造内火艇を見やりながら考えた。偉ぶらない山本のこんなところに、鳴海は好感を持っていた。
「弁慶《べんけい》ではどうだ。いかにも強そうじゃないか」
「それはいい名前です。まったくそんな名前は思いつきませんでした。長官、それじゃついでに、鳴海の水偵を義経《よしつね》としたらどうでしょう」
 片山は顔を輝かせながら提案した。
「いいんじゃないのか。いいアイデアだ。そうしたまえ」
 名前はあっさり決まった。
 改造内火艇は「弁慶」、水偵は「義経」。鳴海も気に入った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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