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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・コルトンズ

甘い取り引き

甘い取り引き


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・コルトンズ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 カーラ・キャシディ(Carla Cassidy)
 主にシルエット・シリーズで活躍している作家。数々の受賞歴を誇り、執筆作品数は五十五以上にものぼる。これまでにカンザス州のプロフットボールチームのチアリーダーを務めたほか、バンドの歌手兼ダンサーとしてアメリカ東海岸を巡業した経験もある。現代を舞台にしたロマンス小説を中心に、ヤングアダルト小説も手がける。彼女にとって何よりの喜びは、小説を執筆し、読者を幸せにすることだと語る。現在は、アメリカ中西部で夫とともに暮らす。

解説

 「わたしが臨時の妻になってあげるわ」ラナはチャンスに申し出た。少女のころから彼に憧れていた。たとえ遺産相続のための一時的なものでも、彼の花嫁になれるのならかまわない。「きみのなんの得があるっていうんだ?」遺産の山分けが目当てだろうと言わんばかりのチャンスに、ラナは頬を染めて答えた。「赤ちゃんよ」

抄録

 料理の注文を終えると、チャンスは先に注文しておいたワインのボトルからそれぞれのグラスに注いだ。「もう言ったかな? 今夜のきみはとてもきれいだって」
「さっき言ったわ」ラナは答えた。チャンスがきれいだと思ってくれているのはそのまなざしを見ればわかったが、その言葉は何度言われても気分のいいものだった。
「じゃあ、もう一度言うよ。きみはきれいだ」
「口がうまいのね。ただでさえハンサムなのに、そんな調子で中西部の女性たちを夢中にさせてきたんでしょう」ラナは軽い口調で答えた。彼のことだから訪れる町ごとに女友達がいて、夜ごとモーテルのベッドで楽しんだに違いない。そう考えて自分でも驚くほどいやな気分になった。決して嫉妬深いほうではないのに、チャンスがほかの女性といるところを考えただけで、わきあがる嫉妬心に胸が痛んだ。
「あら、やっと新婚さんがおそろいのところに会えたわね」
 ラナとチャンスが顔をあげると、アンジーとハーモンのグレーブズ夫妻が近づいてくるところだった。アンジーは体をかがめて、ラナの頬にキスをした。「おめでとう、ラナ。地元の女の子がこの風来坊をつかまえてくれて本当によかったわ」
「ありがとう、アンジー」本当のことは言えず心苦しかったが、ラナはなんとか答えた。
「おふたりさんはここでなにをしているんだい?」チャンスがきいた。
 ハーモンは自分の妻を指さした。「アンジーは家で料理するのをやめたんだよ。だから仕事が休みの夜は、ふたりで外食するのさ」
「一日じゅう店の客のために料理をつくっているのよ。仕事が休みの日にわたしが食べるものくらい、誰かにつくってもらいたいじゃない」アンジーは声高に言った。
「ずっと電話をかけようと思っていたの。このあいだチャンスにおいしいアップルパイを持たせてくれたでしょう。いつも言っているんだけど、あなたのアップルパイはカリフォルニア一よ。本当においしかったわ」ラナは言った。
「どういたしまして」アンジーは機嫌よくほほえんだ。
「よかったら、一緒にどうだい?」チャンスが誘った。
「とんでもないわ。あなたたちはまだハネムーンの最中みたいなものよ。邪魔をしようなんて夢にも思わないわ」アンジーは言った。「水入らずで楽しんでちょうだい」彼女は夫の腕をとった。「行きましょう、ハーモン、おなかがぺこぺこよ」
 ハーモンはいつも口数の少ない彼らしく、挨拶代わりにうなずいて、アンジーとともに去っていった。
「アンジーっていい人ね」ふたりが見えなくなるとラナは言った。
 チャンスはうなずいた。「彼女とハーモンには何度も救われたよ」
「どういう意味?」
「父と険悪になって逃げだしたときに、よくカフェにいさせてもらったんだ。アンジーはいつも同情してくれたし、ハーモンは――」チャンスは声をあげて笑った。「ハーモンはなにも言わなかったが、たまに彼が口にする言葉はたいてい重みのあるものだったよ」
 ラナはワインをひと口飲んでから、身を乗りだした。「あなたの仕事のことを教えて、チャンス。中西部での暮らしはどうだったの?」
 考えてみれば妙な話だった。ベッドをともにするようになってもう一週間あまりが過ぎようというのに、チャンスがどんな人間なのか、ラナはほとんどなにも知らないような気がした。どんな暮らしをしてきたのか聞けば、彼について知らなかった面をかいま見られるかもしれない。
「話すようなことはあまりないよ。ぼくの担当地域は五州にわたっていて、決まった販売先もあるけれど、常に新規の取引先も開拓している」チャンスはそこで言葉を切ってワインをひと口飲み、それからまた続けた。「移動のために車で過ごすことが多いよ。もちろん、今は休暇をもらっている」
「車の運転は好き?」ラナは尋ねた。
 チャンスは考えこむように眉をひそめた。「別に」
「でも、毎日違う場所に行くのは好きなんでしょう?」
「そうだな」眉間のしわが消え、チャンスは椅子の背にもたれた。「行った先々でいろんな人に会うのは大好きだよ。自分の決めたスケジュールで自由に動けるのも気に入っている。おなかがすけば食事をし、疲れたら眠り、誰になんの断りを入れる必要もない。農業機械の売り上げさえあげている限り、上司の機嫌はいいし、あれこれ言われることもない」
「でも、寂しくならない?」ラナにはそんな暮らしは想像もできなかった。同じ人にもう一度会うことはめったになく、毎朝違うベッドで目覚める暮らしなんて。「そんな生活では、誰かと友達になったり、信頼関係を築いたりすることも難しいでしょうに」
 チャンスのまなざしが険しくなった。「自分にいちばんふさわしい関係なら築いているよ。ちょうどきみとの関係のようにね。一時的な関係さ」
 ラナはまたもや警告されたような気がした。ただ今回は、それと同時にとんでもないことに気づいてしまった。何年も前、チャンス・ライリーへの恋心は捨てたはずだった。それなのに、この一週間のどこかの時点で、ラナはまた彼に恋してしまったのだ。その事実にラナは衝撃を受けた。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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