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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・コルトンズ

禁断の絆

禁断の絆


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・コルトンズ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイシー・マイケルズ(Kasey Michaels)
 ニューヨークタイムズのベストセラーリストに二十以上の執筆作品が載った実力派作家。夫とのあいだに四人の子供がいる彼女は、アメリカロマンス作家協会やロマンティックタイムズ誌の数々の賞の受賞者でもある。

解説

 殺し屋に狙われて逃げ回る日々は終わり、最愛の母とともにコルトン家へ帰ってきた。安堵してもいいはずなのに、エミリーの心は沈んでいた。自分を守って命を落としたトビー・アトキンズに対する、罪悪感にさいなまれていたのだ。そんなある日エミリーはたくましい男性に出くわした。射るような視線を向けながら、彼はトビーの兄ジョシュだと名乗り、ひるむエミリーに対して言い放った――弟を殺したことは忘れさせない、と。

抄録

「わたしが考えた方法を先に試してみましょうよ。つまり、あなたは左を下に、わたしは右を下にして寝るの」エミリーはこわばった口調で言うと、寝袋の上を四つん這いになって横切っていった。そして寝袋をめくり、その下に滑りこんで、頭を鞍にもたせかけた。「ねえ」彼女は楽な姿勢をとりながら言った。「わたし、こんなことをするのは久しぶりなのよ」
「男と寝るのがか?」ジョシュは顔をしかめた。考えるより先に、口が動いてしまった。
「そんなこと……」エミリーはしばらく両手で顔を覆っていたが、腹だたしげに寝袋を肩まで引っぱりあげた。「この洞窟で眠るのは久しぶりだという意味よ。お願いだから、そういうみだらなことは言わないで。あなたの弟さんは紳士だったわ」
「そうだな」ジョシュは不機嫌に言うと、エミリーをまたいで自分の鞍に腰をおろし、ブーツを脱ごうとした。もしかして、エミリーはバージンなのだろうか? もしそうだとしたら、世の中の男たちの目は節穴なのか? ジョシュはさらに彼女への攻撃を続けた。「弟は確かに紳士だった。それでどうなったか考えてみるんだな」
 エミリーはなにも言わなかった。どうやら攻撃がきいたらしい。ジョシュはブーツを脇にどけ、寝袋の下にからだを滑りこませた。
 ジョシュはあおむけになり、洞窟の暗い天井を見あげた。肘枕をしながら、今いるこの場所以外なら、どこでもいいから行ってしまいたいと考えた。消えかけた火が、ごつごつした天井に奇妙な影を映しだしている。絶え間なく向きを変える風が、煙を洞窟のなかへ押し戻した。
 馬に乗った幽霊が宙をさまよっているのがジョシュには見えた。年老いたカウボーイたちが馬の亡霊に乗って、あの世をさまよっている。あれがぼくの運命だろうか? 身を落ち着けろと、地に足をつけた生活をしろと言ってくれるトビーがいなくなった今、ぼくは残りの人生も、ロデオ競技会を回り、オフシーズンに臨時雇いの仕事をして、ひとりぼっちで生きていくのか?
 ほかにどんな生き方があるというんだ? 家を手に入れて、家族を持つのか? トビーがぼくの家族だった。本気でほかに家族がほしいのか? また家族を失っても、生きていけるか? トビーを失って、ぼくの心はずたずたになった。
 ジョシュは頭を右に向けた。暗くてエミリーの髪の色は見えなかったが、寝袋の下のからだの輪郭は見てとれた。エミリー・コルトンには家族がいる……大家族が。いったい彼女になにがあったのだろう?
 家族といても心が安らがないのかもしれない。そうでなければ、ここにはいないだろう。愛する家族とのあたたかい、安全な暮らしではなく、洞窟のなかでひとり過ごすほうを選んだりしないはずだ。ああ、そうか。エミリーは愛する家族に殺されかけたのだった。
 孤独な人生も悪くないかもしれない。わずらわしさのない人生も。
 そうやって過ごすうちに、膝が関節炎になったり、背中を傷めたりするだろう。そのうちバーでビールをあおりながら過ごす時間が増え、競技会に出るよりも、古きよき時代の思い出を語りたがるようになるに違いない。ロデオがぼくの恋人だった。手ごわい、わがままな恋人だ。
 おそらくぼくはその恋人を長く追いかけすぎたのだろう。すぐに別れて背を向けていれば、トビーは今も生きていたかもしれない。そして、ぼくはここにはいなかっただろう。じめじめした洞窟のなかで、弟の死に加担した女性から手と心を遠ざけておくよう自分に言い聞かせてはいなかったはずだ。
 ジョシュは息をとめ、エミリー・コルトンの息づかいを聞こうと耳を澄ました。馬が小さく鼻を鳴らし、消えかけた火がぱちぱちと音をたてる。風はうなり続け、遠くで雷がとどろいた。
 それなのに、そうしたすべての音の合間に聞こえるのは、エミリー・コルトンの息づかいではなく、彼女の歯ががたがた鳴る音だった。エミリーはなにかを言っているのでも、愚痴をこぼしているのでもなかった。
 まったく、強情な女だ。
 そしてぼくは愚かな男だ。愚かにも彼女のことを心配し、気にしている。ジョシュは起きあがり、鞍をどけると、寝袋を肩まで引きあげながらからだを右に向けた。
 エミリーに近づいていき、震えている彼女のからだが触れると、彼女の鞍に頭をのせた。このぐらい平気だ。寝心地が悪いくらい、どうということはない。どうせ今夜は眠れないのだ。エミリー・コルトンの体温がじわじわと伝わってきていては。彼女の細いウエストを抱えていては。あと少し指をのばせば、その上にあるものに触れられる――引きしまったおなかと、胸のふくらみに。
 ベッドで女性と夜を明かしたことがあったかどうか、ジョシュは思いだせなかった。だが、バージンと夜を過ごしたことがないのは確かだった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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