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僕が考えた最強の神様 上

僕が考えた最強の神様 上


発行: キリック
シリーズ: 僕が考えた最強の神様
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆2
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解説

 女子なら誰もが振り返るような美少年の水沢広志は、いわゆる「中二病」真っ盛り。中学二年になってもそれは変わらず、いまだに特撮ヒーローごっこをしている。彼が残念イケメンといわれる所以だ。そんな広志が新たに考案したのが、神様を自作して、信じること。単なるごっこ遊びの延長にすぎないはずだった。だが、あらゆる戦いを司るとして「龍武神」と名付けたその神は、たしかにご利益があると噂になり、いつしか広志の考えた「設定」を超え、多くの生徒たちの信仰対象となっていく。そこに、今度は別の神様から神託を受けたという者が次々と現れだす。そうして気づけば、校内には様々な神と教祖と信者から成る「教団」がいくつも出来上がっていた。しだいに激化していく布教活動と異教徒間の対立。それは、やがて大人たちの手に余る規模になり、最後には「宗教戦争」と呼べる異常事態へと発展する。生徒たちをけしかけ翻弄する神々──その正体とはいったい?

 宗教ごっこをしていた少年少女がいつしか狂信者の群れに……鬼才・梅津裕一が奇想天外な角度から放つ学園バトルロイヤルホラー、上巻!

目次

 第一部
 第二部
 第三部
 第四部
 第五部

抄録

 すでに体育館裏にはかなりの人だかりが出来ていた。
 なにしろショッキングな事件である。柳のときのほうが、警察沙汰にもなったし大きな事件ともいえる。だが、あのとき生徒たちは驚きはしたが、それほどの衝撃はうけなかった。
 いじめられっ子が逆襲をした。その程度にしか、みな認識していなかったからだ。あの事件の真相を知る者はごくわずかである。しかも、固く口止めをされている。
 そして、今回は猫が猟奇的、あるいは儀式的な殺され方をしたのだという。いまは無数の「神様たち」が校内で信仰されているのだ。このタイミングで、事件が起きた。
「やばいな……これ」
 光一郎が言った。
「ただの猟奇的な事件じゃなくて、どこかの馬鹿が、マジで生贄を捧げたんじゃないか?」
「かもな」
 陰鬱な口調で、広志はつぶやいた。
「あの、ブラックファイア教団とか、実在するのかもね」
 さすがに結衣も、不安げな顔をしている。
「おいお前ら……見世物じゃないんだ!」
 何人もの教師たちが現場の周囲にいたが、生徒のほうが圧倒的に多い。強引に人混みをかき分けるようにして、広志たちも猫の死体のあるあたりへと近づいていった。
「おい、押すなよっ」
「悪いっ」
 さすがにこの混雑ぶりでは、どうしても他人を押しのけるかたちになる。それでも、猫の死体を確認したかった。
 やがて視界が開けた。群衆の先頭に出たのだ。理科の教師が、難しい顔をして猫の死体を凝視している。ぶちのついた猫の死体だ。祥鳳からラブレターをもらったときに見かけたあの野良猫の死体だ、と直感的に広志は悟った。
 黒っぽい石で、小さな祭壇のようなものが設《しつら》えられている。なにかの捧げものにしか思えなかった。かたわらには、切断された首が置かれている。両眼球は無残にえぐられたようで、猫の頭は目をつぶっているようにも見えた。
「ひどい……」
 結衣が手で顔を覆った。あまりにも残酷で、犯人の悪意めいたものを猫の死体から感じた。
「まともな人間のやることじゃないな……」
 光一郎も顔をしかめた。
「これで教師連中も動かざるをえなくなったわけだが……また厄介なことになるな」
「でもこれって、犯罪になるのか?」
「なる、と思う。飼い猫なら器物損壊だが、あれは野良猫だ。まあ、動物愛護法違反あたりだろうな」
 だが犯人が十三歳だったらどうなるのだろう、とふと広志は思った。柳と同様「刑罰を与えることはできない」のではないか。
「それと動物、特に哺乳類を虐待して殺すってのは、危険なサインになることが多い」
「なんのサインだ?」
 広志の質問に、光一郎が答えた。
「ある種の快楽殺人者が、人間を殺す前に猫とかを殺すのはよくある話だ。例の、神戸の事件、知っているよな」
「あー、そういえば、あの犯人も猫とかいっぱい殺していたらしいな」
 ますます、いやな気分になってくる。
「邪神に生贄を捧げた者が、いるようですね」
 驚くほど近くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。いまや「龍武神の巫女」を名乗る、米原柚と、その取り巻きたちである。「邪神」などという言葉を、ゲームの世界以外で聞かされることになるとは思わなかった。
「これは……邪教の使徒を、狩り出す必要がありそうです」
 中二病もここに極まれり、といった感じの発言だが、誰も笑ったりはしなかった。みな柚の発言に動揺し、あるいは怯えている。彼女の放つオーラめいたものに圧倒されているのだ。取り巻きたちも、狂信的な目をしている。一目みて「あまり関わりたくない」と思うような者ばかりだ。
「龍武神様は、このような悪を決して許しません。我ら龍武神様に仕える者が、邪教の使徒に鉄槌を下しますっ」
 もう米原柚には冷静な中学二年生としての判断はできていない。母親の病気、手術で不安だったところを、柚は龍武神様に文字どおり「救われた」のだ。
「おい、お前」
 竹刀を持った体育教師がこちらに近寄ってきた。
 アダ名はゴリラ。容姿も、そのままゴリラである。本名も強羅《ごうら》というのだから、たぶん昔からゴリラと呼ばれてきたに違いない。
「なに、わけのわからんことを言っているんだ。そろそろ、お前たちをなんとかせにゃならんとは思ってはいたが……まさか、お前たちがこんなことをしたんじゃあるまいな」
 すると、一人の女性教師が金切声をあげた。
「なにをおっしゃるんですか、強羅先生!」
 見ると、松崎がそこにいた。正確な年齢は不明だが、四十歳前後、いわゆるアラフォーなのは間違いない。松崎を見て少し広志は驚いた。昔とはまるで別人だ。かつての松崎はひどく地味で、化粧なども最小限に控えていた。しかしいまの松崎は、以前からは考えられないような、派手というよりは華やかなパンツスーツを身にまとっている。
 化粧も厚くはなっていたが、それもよく似合っていた。女は恋をすると美しくなるという。真実かどうかは知らないが、松崎に男が出来たという噂は、真実かもしれない。
「この子たちは、別におかしなことはしていません。龍武神様を信仰しているだけです」
「し、しかしですね」
 松崎の剣幕に押されたように、ゴリラが身をかがめた。
「私も生活指導ですし……やはり、校内の神様ごっこの現状には、ちょっと問題があるとしか……」
「私も生活指導ですが、その私がかまわないと判断しているんです。それとも、私の判断が間違っていると?」
「いやあ、そういうわけではないんですけどね……」
 ゴリラのこんな姿を見るのはめずらしい。普段からジャージ姿で竹刀を持ち、不良どもに睨みをきかせているのである。それが、松崎にあっさり屈している。たぶんゴリラも本能的にわかっているのだ。「この集団を本気で敵にまわすと、大変なことになる」と。
 そのとき、チャイムが鳴った。

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