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スイーツ文庫 深く静かに失恋。

スイーツ文庫 深く静かに失恋。


発行: マリクロ
レーベル: スイーツ文庫
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 田代 ききょう(たしろ ききょう)
 1963〜
 東京都生まれ、在住。スポーツ誌の編集記者、広告クリエーターなどを経て執筆活動に入る。

解説

 能里子には腐れ縁な彼氏はいるものの、彼としかエッチしたことない。ちょっと変わった「いい人君」とこのまま結婚しちゃうことになるのかな……と思いきや、トンだたらし男に誘われる。処女の頃ならともかく、エッチを楽しめる今なら、気持ちよさに鎖はつけられない! そう思う反面、実は臆病で小心、恋に恋することのできないリアリストな能里子。たらし男とエッチをしてしまい、彼氏との仲が……。自分にとっての心地いい恋愛、結婚を模索する女性必読の告白小説!
 失われてはじめて味わう恋の味もある。大騒ぎしないで深く静かに味わうべき恋の味が。

抄録

 だから、最初はセックスへの好奇心が一番だったのかな。無害そうな幸介ならいいぞと自分で自分にGOサインを出したと。そうか。するとオス度の低さがこのときは幸いしたのかな。
 あ、顔もあるかな。正直いって、私の顔はアレなんで、キレイな顔の幸介が、私を誉めてくれたことがかなり嬉しくはあった。いや、私だって自分に魅力がないとは思ってませんよ。そんなこと思ってたら女商売やってられないでしょう。私は私で、コレはコレなりにがんばっている。男子学生人気ランキングでは、かなり下にいる幸介が、私をくどいても当然? みたいな気持ちもあったし。でも造形物として、顔が整っているか、いないかは別の話だから。その辺、私は現実をちゃんと認識しているのである。
 ともかく、貫通したのは、それから三ヶ月後だったりして。そのときも、事後、バスルームに向かう私に、
「あれ、すごい血! 脚の裏の方……どうした?」
 と、幸介はすごいボケをかましてくれた。「どうしたも、こうしたもないだろっ」というツッコミはできなかったけど。突っ込まれたあとだけに。

 出血してから早一〇年になろうとする夏の終わり、幸介はいつものように、いつもの道を運転しているわけだった。
 どうしてあれ以来、男が変わっていないのかというのも、よくわからない。
 一つには、私と幸介はケンカらしいケンカをしたことがないからだろう。私は幸介に腹を立てたことがない。腹を立てる理由がない。
 むしろ、私の都合に合わせてもらってばかりでゴメンと思ってる。
 私以外の女に相手にされそうにない、なんて腹の底でバカにしていてゴメンと思っている。
 もっといい男が現れたら、そっちを好きになるかも知れないなんて不届きなことを考えていてゴメンと思っている。
 幸介も、ときどき、私が合コンに参加したなんていうと「そういうことは、いわないでおいてくれるのが礼儀です」とムッとしたりしたこともあったけれど、ケンカにはならない。何でだろう。幸介も内心、私のことを見くびっているのだろうか。この女は、俺以外の男が相手にするほどじゃないと。
 いや、私の名誉のためにいいますと、相手にされないわけじゃないんです。ただ、それほど積極的に誰かを好きになることはなかった。いいなと思う人がいても、幸介にそれを告げて、すったもんだするほどのもんじゃないと。面倒くさがりなんだろうか。
 見ようによっては、幸介をキープしていて、あわよくばもっといい男を……と狙っているわけだから、とんでもない女だ。私というのは。だが、その実態は、そんなスリリングなものじゃないわけで。何なんだろうな、私。

「ねぇ幸介さ、最初のときさ、途中でやめてくれたじゃない? あれ、何でだったの? やめられるもんなんだって、正直、私、驚いたよ」
「何? いきなり」
 話しかけてもしっかり前を向いて安全運転している。鼻がグンと高く、顎の先と一直線が結べる横顔を見せながら。そして、横から見ると幸介の頭の形はどんぐりのようだった。
「うん、だってさ、ゆうべは、結構、よかったじゃない」
「ん〜っ? スミマセン、話が全然、つながってないんですけど」
 幸介が片えくぼを見せて笑った。ものすごく無防備で上等な笑顔だ。この男の何が好きって、やっぱりこの顔かもしれない。幸介に笑ってほしくて、あれこれガンバル私がいる。まあ、たいがいは好き勝手なことをいってれば、いいだけなんだけど。
 私たちは、ようやく休みを合わせた温泉一泊旅行の帰りだった。旅館のフカフカお蒲団《ふとん》の中で、三十路《みそじ》の男と女は久しぶりに「精進した」のだった。精進するって、意味が真逆だろうと思うんだけど、これも幸介語で、「温泉にいって精進でもしましょうか」なんて誘いのメールがくる。誰に見られても平気だ。
 幸介としては、「励む」とか「修行する」って感覚で使ってるみたい。この男は、男のくせにすべすべ肌の持ち主で、そのくせというか、そのためというか、気が入ってくるとあのときに大汗をかく。ポタ、ポタ、ピシャピシャと二人して滝に打たれたようになり、あそこがしびれてくるのを今か今かと待っている時って、修行僧になった気分がするのもたしか。
 六根清浄《ろっこんしょうじょう》、六根清浄、六根清浄、六根清浄……とは、唱えないけどね。あそこがしびれてくるのも毎回じゃないけどね。まあ、昨夜は、しびれました。久しぶりだったからでしょうか。それとも。

「だからさ、何だろ、ゆうべは珍しくグッといってたじゃない。グッと。それで、ずいぶんとしっくりいったと思うのよ。うん、未熟者だった二人が、よく修行を重ねてきたなと、ちょっと昔を思い出しちゃったんだって。あのときの幸介の声ってカワイイよね」
「うわ、聞いてて赤面する」
「赤面しなさい」
 すると本当に耳たぶを赤くする男。それが幸介だ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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