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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ディザイア

初恋の残り火

初恋の残り火


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ディザイア華麗なる紳士たち闇の子守り歌
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★2
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著者プロフィール

 ローラ・ライト(Laura Wright)
 ミネソタ州生まれ。演劇に歌、社交ダンスに没頭してきたが、ロマンス小説を執筆し始めたとき、これが自分の真に望むことだとわかったという。余暇には画廊や映画館へ行ったり、森を散歩したり、飼い犬と遊んだりして楽しむ。彼女の演劇作品のマネージャーでもある夫とともに、ロサンゼルスに住んでいる。

解説

 看護師のタラは困った人を見ると放っておけない。記憶喪失の女性を自宅で世話しようと思ったところ、その患者の警備を担当するクリントが現れ、猛反対した。初恋の彼がすっかり大人の男性になった姿を見て、タラは図らずも胸を高鳴らせた。それでも患者の希望を優先して家に連れ帰ってしまう。すると、クリントが怒りの形相でやってきて宣言した。「きみにつきまとうことになるから、覚悟しておけ」そう言い放った彼の瞳に、誘惑するような光がきらめいた。
 ★大人気ミニシリーズ『華麗なる紳士たち』第四シリーズの二話めを執筆したのは人気急上昇中のローラ・ライトです。胸に残る傷跡が呪縛となってつらい過去に苦しむヒーローの心を、ヒロインはどのように開かせるのでしょうか?★

抄録

「もう大丈夫だ」クリントが耳元でささやいた。
 タラは胸がいっぱいになった。誰かにそんなふうに言ってもらうのはずいぶん久しぶりだった。そして彼女は彼の言葉を信じたかった。「クリント……」
「断言するよ、タラ。誰も君を傷つけはしない」
「自分のことだけを心配しているんじゃないのよ」
「わかってる」
 少しの間、タラは頼もしいクリントの胸から離れ、彼を見あげた。「これからどうするつもり――」
「しいっ……」クリントはタラの唇に人差し指をあてた。「君たち二人は安全だ。信じろ」
 ただクリントが触れているだけで、タラは落ち着きを取り戻したが、興奮は高まった。どうして彼にはこれほどの影響力があるのだろう?彼女は考えた。するとクリントの親指が彼女の唇の上を何度も往復した。
 先ほどまでの恐怖から立ち直ったタラは、そのやさしくて執拗《しつよう》な指先がもしもほかのところに触れたら、頬や首、胸のふくらみに触れたら、どんな感じがするだろうかと考えた。
 すばやく息を吸い、タラはしばし我を忘れた。自分の胸を強く彼に押しつけた。
 クリントは息を吸いこんだ。「タラ」彼のささやきはハスキーで、もの欲しげだった。
「お願い……私……」タラは最後まで言えなかった。声が出ようが出まいが、口にはできない。
 タラを見おろすクリントの目に欲望がひらめき、空いているほうの手が彼女の背中を力強く這いあがり、うなじを包んだ。彼はキスをするつもりだわ、とタラは興奮しながら思った。彼にキスされたら、息もつけなくなって、我を忘れてしまう。
 しかし、クリントは身をかがめることも、唇を重ねることもせず、うなじにあてた手に力をこめただけだった。
 クリントはこの状況と闘い、彼女に抵抗しようとしていた。それがなぜなのか、タラにはわからなかった。
「僕たちは慎重に行動しなければならない」
 タラは彼を見た。クリントは彼女を見た。彼の言葉にこめられた二重の意味を、タラは完全に理解した。彼の手から逃れて安全な距離まであとずさると、タラは自分の大胆なふるまいが恥ずかしくなったが、先ほどの忠告を思い返して、落ち着きを取り戻した。そして、今の状況と衝撃的な手紙に意識を戻した。
 重々しくため息をついて、クリントはキッチンのカウンターに寄りかかり、髪をかきあげた。「申し訳ない、タラ。やっぱり、危険がおよぶかもしれないことを言っておくべきだった。でも、言わないほうがいいと思って――」
「言っておく?」タラは口をはさみ、警戒心をあらわにした。「なにを?」
「数週間前、男がジェーンの病室に入りこもうとしたんだ」
 タラは急に不安になった。「なんですって?」
 クリントは首を振った。「僕が阻止した。でも、そいつには逃げられてしまった」
「なんてことなの」
 鷹《たか》の目のように、なかば閉じた目で、クリントはタラを見おろした。「何者かがオータムを病院からさらおうとした事件もあった」
「あの子を?」タラは喉がつまり、激しい恐怖にとらわれた。
「心配するな。オータムはソレンソン家で安全に暮らしている」
「タラ?」
 階段の上からジェーンに声をかけられて、タラは振り返った。すべてを一度には理解できなかった。手紙、キスをすることにクリントが慎重な態度をとったこと、たった今彼にたたきつけられた新情報。おまけに、崩れそうな自制心もなんとかしなければならない。
 タラはいろいろなことに押しつぶされそうだったが、取り乱すわけにはいかなかった。今はだめだ。冷静でいよう、冷静でいなければならない。ジェーンは今も私の患者で、私が責任を負っているのだ。
「すぐに行くわ」タラは叫び、それからクリントに向き直ってきっぱりと言った。「彼女のところに行かなければならないわ」
 クリントはうなずいた。「僕も仕事がある」
 しかし、彼は玄関へ向かって立ち去ろうとはしなかった。
「帰っていいのよ。私たちは大丈夫だから」タラは憂鬱《ゆううつ》な気分で言った。「あなたの携帯電話の番号は知っているのよ。なにかあったら連絡するわ」
 タラと同じ落ち着かない気分が、クリントの熱をおびたサファイア色の目に宿っていた。「離れたくない」
 タラの脈が速まり、呼吸も浅くなった。彼がほんとうはどういう意味で言ったのかはわかっていても、その言葉と耳に心地よい声に、彼女は心をつかまれた。「ジェーンと私は大丈夫よ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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