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スイーツ文庫 可愛い女と呼ばれたい

スイーツ文庫 可愛い女と呼ばれたい


発行: マリクロ
レーベル: スイーツ文庫
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 坂宮 あけみ(さかみや あけみ)
 1964〜
 埼玉県生まれ。神奈川県在住。大学の生理化学研究室に勤務ののち、市場調査の仕事に転向。その後、執筆活動をはじめる。

解説

 遠距離恋愛中の彼が戻ってくる! 今までなかなか逢えなくて我慢していたから、私はウキウキ。映画みたいなラブラブ&イチャイチャな毎日を夢見ていた。なのに、彼が突然Hできない体に……。それだけだって衝撃だっていうのに、内緒で合コンに出ていたり、キャバクラに行っていたことが発覚! 彼の気持ちが分からない。このままじゃ、毎日がつまらない。可愛くて優しい女の子でいたいのに、もう無理。もっと可愛がってくれる彼氏を探したほうが幸せなの? あなただったらどうする?

目次

お帰りなさい、これからはいっぱい逢えるね
やっとデートできた。しかし、予想外の展開
両方の両親にも紹介。結婚への段取りは進んでいるが……
こんな時に合コン。その上、キャバクラ!? 信じられない
可愛い女と呼ばれたい
仲直りと本音
かゆい! もしかして、原因って私!?
山アリ、谷アリの克服物語
新たな問題!?

抄録

 昨日から1時間おきぐらいに「あと24時間だね」「あと6時間だね」とメールを打ち合っている。そうでもしないと、駆け出したい気持ちが抑えられない。何をしていても、ソワソワするし、顔がにやけてしまう。
 私、平河美樹と安西拓斗は、池袋に本社がある同じ会社に勤めている。私は短大出だったが、拓斗は大学を出て1年間別の会社に勤めていたが倒産して転職してきた。転職といっても社会人経験が1年だったことがあり、新卒と同じように入社研修を受けていた。
 入社してすぐの研修で同じチームになったことで知り合い、しばらくして付き合い出した。私が21歳、彼が24歳だった。配属は彼が営業部、私は資材管理の事務職だったので、同じ会社といっても、一緒に働いているわけではない。それでも、たまに営業にでかけるところを見かけたりすると胸がキュンとなった。うちの会社は、独身男性は、入社してすぐは地方にまわされることがほとんどであった。ので、彼もいつ辞令が来るか分からない、という感じだった。
 同じ会社で出会うというのは平凡だが、この「近いうち転勤で、離れ離れになってしまうに違いない」という状況は、すごく燃え上がった。拓斗は私のことを「最初見た時、すっげー可愛いと思ったよ」と付き合いはじめてから教えてくれたし、いつも「美樹は可愛い、可愛い」って言ってくれた。可愛いっていうのは、最大の誉《ほ》め言葉だと思う。
 私は高校時代から、友達に夢子ちゃんとあだ名をつけられていた。名前は美樹だから、全然関係ない。夢見る夢子ちゃん、というのが命名の理由だ。私からすると、みんなが現実的過ぎると思う。高校生の時に映画の『プリティ・ウーマン』を見た。娼婦《しょうふ》のジュリア・ロバーツと大金持ちのリチャード・ギアが出会って、恋に落ちるという設定だ。当時高校生だった私は、彼氏もいなかった。女子高だったので、同級生の中学時代のクラスメートとかを紹介してもらったりしていたが、いっこうに運命の出会いは訪れなかった。デートにいっても、入る店はマクドナルド。高校生でも金回りのいい子もいるが、私の周りには普通の子しかいなかったので、したがってみんな小遣いなんかたかがしれていた。マクドナルドでビッグマックを食べるのも、贅沢《ぜいたく》って感じだった。そんなわけで、『プリティ・ウーマン』のリチャード・ギアが、レストランに食事に行くために高級ブティックで服を買い与えるとか、レストランを貸切にしていて客が他におらず「どこでも好きな場所を」というのに、クラクラしてぼーっとしてしまった。そこまでゴージャスなのは無理だとしても、手が届く範囲のプチ・ドラマチックというのなら、なんとかなる。
 しかし、短大時代でも「友達の紹介で知り合って結構いいかな、と思って、付き合い始めました」と30秒で馴《な》れ初めの紹介がすべて終わってしまうような人にしかめぐり合わなかった。その間、クリスマスも、誕生日などカップルの過ごす各種イベントはあった。クリスマスはごく普通に赤いリボンがついた箱に入ったプレゼントを手渡しで貰《もら》った。めかしこんでいったレストランは、隣のテーブル席が近くって、女の子は似たようなリボンのついたプレゼントを同じように渡されていた。一抱えするほどの花束の中に翌週からのヨーロッパ行きのチケットが結んであるとか、ワインを飲み干すとグラスの中にダイヤの指輪が入っているとか、せめて100本のバラの花束が急に届けられるとか、そんなことは何も起こらなかった。クリスマスプレゼントは、その先週壊れたと話をしていた折り畳み傘だった。とても役にたったけれど、実用品の傘に夢はひとかけらもない。傘を開けると、もしや、ラブレターがパラパラ落ちてくる展開か、と秘《ひそ》かに期待したが、付いていたのは注意書きの札だけだった。
 ま、そんな昔のことはどうでもいい。半年付き合った後、仙台に彼の転勤が決まった。辞令が出てから1週間で転勤先に赴くという速さだった。転勤が決まった時、平日なのに急に呼び出された。会社は池袋で、私は東上線の上福岡、彼は所沢に住んでいるので西武線で帰る。社内恋愛なので、会社には内緒にしている。池袋は広いとはいえ会社に近い。特別な時でない限り、東上線と西武線が通っている川越で待ち合わせしていた。
 あの日も、本川越駅の駅ビルに入っているカフェで待ち合わせた。待っていると、拓斗がちょっと青ざめた顔で入ってくる。テーブルに着くなり、
 「仙台に行く。数年で戻る。俺のことを信じて、待っていてくれ」
 と言われた。「信じる」「待つ」。なんて甘美な言葉なんだろう。気分はとっぷり、出陣する男を陰で支えるけなげな女、だ。映画だったら、絶対切ないメロディが流れているはずだ。
 その時も、お互いに何度も愛している、拓斗だけ、美樹だけと言い合った。駅前の低めの街路樹は、下からライトアップされ、金色の小さな豆電球がいくつもついている。
 涙で滲《にじ》む目には、とても光がまぶしく見えたが、その後ろにでっかい「ギョウザ、ラーメン」と「○○ローン」の看板があるのは、見ないふりした。イルミネーションの綺麗《きれい》な街角で、愛を語らう恋人たち!そんなふうに思えて、うっとりした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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