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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・アシュトンズ

プルメリアの誘惑

プルメリアの誘惑


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・アシュトンズ
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ナリーニ・シン(Nalini Singh)
 物心ついたときから書きたかったという。英文学と法律の学位を取り、二年間法律事務所に勤めていたが、二十五歳の誕生日を前に執筆に専念することを決意。生地のフィジーがもっともロマンチックな場所だと語る。現在は福岡県在住。

解説

 ワイナリーに滞在中のアレクサンドルをひとめ見たとたん、シャーロットは初めての恋に落ちた。でも、内気で地味な私が振り向いてもらえるはずもない。満たされぬひそやかな憧れを、彼女は日記につづることだけで満足していた。自分への熱い思いをしたためたシャーロットの日記を読み、アレクサンドルはひとりほほえんだ。近づくたび逃げ出すくせに、僕に惹かれていたとは。ここにいる間だけでも、彼女の願いをかなえてあげよう。
 ★大好評刊行中のシルエット・アシュトンズ。今月は人気急上昇中のナリーニ・シンの作品です。熱いロマンスとともに、アシュトン家に大事件が起こります。★

抄録

「こんにちは《ボンジュール》、シャーロット」
 彼に気づいていたシャーロットは驚かなかったが、目には警戒の色が浮かんでいる。「こんにちは」
「行こうか」ほかの女性なら腰に手を添えたり腕を取ったりするところだが、彼女にとっては、そんなちょっとしたしぐさも性急に感じられるに違いない。
 しばらくためらってから、シャーロットはいつも自転車で屋敷へ向かう道を彼と並んで歩きだした。日は沈みかけていたが、謎《なぞ》めいた連れの女性を眺めるには充分明るかった。
「ここで育ったのなら、ぶどうには詳しいだろう」二人の間に揺らめく欲望の炎を感じながらも、アレクサンドルは努めて明るい口調を心がけた。
 隣でシャーロットが肩をすくめてみせたが、緊張しているのがわかる。同時に一瞬顔が曇った。自分の暮らす環境には触れたくないようだ。
「いいえ」顔を上げた彼女と目が合った。「あまり興味ないの。ほとんどかかわってこなかったし」
「好きなのは花だけ?」アレクサンドルが立ちどまると、シャーロットも足をとめて彼に向き直った。
「だけでもないわ」彼女の顔に笑みが広がる。「今の時期のぶどう園は大好きよ」
「どうして?」くつろぎ始めた彼女をまた警戒させないよう、アレクサンドルは優しく話しかけた。
「新しい命が芽生えつつあるもの」彼女の指がぶどうの新芽を撫《な》でるのを見て、欲望が燃え上がる――男の体もこんなふうにそっと撫でるのか?「何もかも始まったばかりで、可能性に満ちているわ」
 控えめな仮面の陰からのぞいた女の顔に、彼は心を奪われた。「ああ、可能性は無限にある」
 ほんのり染まったシャーロットの頬は、もはやぶどうの話ではないとわかっている証拠だ。だが、彼女はひるまず続けた。「でも、慎重に選ばないといけないわ――それで実りが大きく左右されるから」
「そうだろうな」少なくとも、彼女は二人のこれからの関係を考えようとしている。アレクサンドルは希望を持った。「でも、思いきってやらなければいけないときもある」
「慣れたやり方のほうが安全だわ」
 挑戦されて彼はにやりとした。「安全な方法では味のいいものができるが、それだけだ。それよりぼくは、香りと味わいが見事に調和したこくのあるワインが好きだ。きみは嫌いかい?」
「いいえ、好きよ」彼の言葉につられて、シャーロットが夢見るように答える。その響きをアレクサンドルはたっぷり味わった。「ワイン造りのことはよくわからないけれど」
「ぼくが教えてあげるよ。なんでもきいてくれ」
 シャーロットは口を開きかけたが、そこまでだった。不意に男と女としての意識が割り込んできた。彼女は目を見開いたが、意外にもあとずさりはしなかった。愛らしい唇が誘いかけるように震えている。
 待て。優しく話しかけろ。無理に迫ってはいけない。アレクサンドルは自分に言い聞かせた。だが次の瞬間、押し寄せる欲望のうねりに警告は跡形もなく流されてしまった。彼は片手を伸ばしてシャーロットの頬を包み、顔を近づけた。自然に彼女の唇が開いて、彼の自制心を打ち砕いた。
 シャーロットはやわらかく、胸の奥深く秘めた夢のような味だった。純真な目に不釣り合いにセクシーな唇に、アレクサンドルはわれを忘れた。軽く触れるだけのつもりが、気がつくと少しずつキスを深めていた。情熱が二人を包み込んだ瞬間、驚いたことに彼女も同じように激しく求めてきた。
 だが、夢のようなひとときは続かなかった。かすかなうめき声をもらし、シャーロットがさっと身を引いた。「何を……」震える手をキスでぬれた唇に当て、もう片方の手で彼の胸を押しやるようにしながら、うろたえた目で見つめている。
 目もくらむような初めてのキスの意味を受けとめきれずにいるのだ。瞬時に絡み合った官能の糸に引き寄せられたアレクサンドルだったが、こうした感覚は何度となく身に覚えがある。だから、足元の地面が崩れたような面持ちの彼女を責められなかった。
「ただのキスだ」シャーロットを抱き締めたいのをこらえて、両手を脇《わき》に下ろした。「たいしたことじゃない」安心させるつもりで言ったが、傷ついた目でよろよろとあとずさりする彼女を見て後悔した。
「わたしのことを誤解しているようね、ミスター・デュプレ」その目には涙が光っていたが、口調は打って変わって険しくなった。「ただのキスをしたいのなら、ほかの女の人を探して。わたしは一時の退屈しのぎになるつもりはないから」
「シャーロット」真実を知ったら少しは反応が変わるだろうか――出会ったばかりなのに、ぼくがほかの女性とは比べものにならないほど彼女を求めていることを。
 シャーロットを見た瞬間、アレクサンドルの体は彼女を求めてうずいた。そして今のキスで、いつか二人が情熱に身をゆだねるときが来るきざしを感じた。純真な彼女がうろたえるのも無理はない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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