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シークの愛した客室係 ホテル・チャッツフィールド I

シークの愛した客室係 ホテル・チャッツフィールド I


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンスホテル・チャッツフィールド
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ルーシー・モンロー(Lucy Monroe)
 アメリカ、オレゴン州出身。姉の影響でハーレクインのロマンス小説を読み始めた。大学在学中に“生涯でいちばんすてきな男性”と知り合って結婚し、子供が生まれてからは母親としての道を選んだ。十八歳の夏に家族で旅行に行ったヨーロッパが忘れられず、今も時間があれば旅行を楽しんでいる。

解説

 天涯孤独の身となった彼女の前に、本物の王子様が現れた。

 亡くなった母の最後の手紙を読み、リヤは衝撃を受けた。彼女の実の父親はホテル王ジーン・チャッツフィールドだという。偶然にも〈チャッツフィールド・ロンドン〉では、母の故郷である砂漠の国の皇太子サイードの宿泊を控え、イスラム文化に通じた客室係を求めていて、同系列のホテルの勤務経験があるリヤに白羽の矢が立った。父との対面を夢見て、すぐに働きだしたリヤだったが、思わぬ事態に遭遇してショックを受ける。偶然、エレベーターで出くわした皇太子にいきなり腕をつかまれ、中へ引っ張り込まれたのだ! 二人きりの空間は熱を帯びて……。

 ■超一流ホテル〈ザ・チャッツフィールド〉の経営者一族をめぐる華麗なるロマンスを、8作連続でお届けします。豪華作家陣の競作でお贈りする読み応え満点のシリーズをどうぞお楽しみに!

抄録

「まあ」アーリヤはひどくうれしそうににっこり笑った。「あなたは結婚前からちゃんと貞節を守るタイプなのね」
「タヒラとの婚約が公表されたあとで、ほかの女性と関係を持つことはできなかった」
「婚約者があなたを誘ったことは?」
「なかった」
「それって、なんだか……」
「正しい行為だ」
 アーリヤは不満そうだった。「そうかしら?」
「では、痛ましいとでも?」たとえどんなにこの女性が欲しくても、哀れみでベッドを共にしてもらうのはごめんこうむる。
「あなたに対して“痛ましい”という言葉を使おうと思う人はいないわ。わたしが言いたかったのは、あなたはそれを警告として受けとるべきだったということよ」
「警告?」どういう意味だ?
「つまり、あなたたちはお互いに性的に惹かれてはいなかった。そういうことでしょう?」
「そうだな」
「それって、問題だとは思わなかったんですか?」
「我々のような身分の人間の結婚は、きみたちとは別の理由で決まるんだ」
「エリートのなかのエリート?」
 サイードは肩をすくめた。否定しようとは思わなかった。「住む世界が違うということだ」
「あなたは、本当にそこまで傲慢な人なの?」
「どういう意味かわからないな」
「当然でしょうね。住む世界が違うから言葉が通じないんだわ」彼女は皮肉いっぱいの口調で応じた。
「いまは同じ場所にいる」
 実のところ、それは驚くべきことだった。皇太子であるサイードがホテルの使用人と密室で二人きりになり、しかも彼女に対して記憶にないほどの激しい欲望を抱いているのだから。
 アーリヤがわずかに首を傾けて彼を見あげた。無意識なのだろうが、ひどく官能的なしぐさだ。
「それはそうね」
「この時間はあくまで例外だ」
 アーリヤは声をあげて笑った。「本当に傲慢で俗っぽい人。なのに、どうしてわたしはあなたにキスをしたいのかしら?」
 何がそれほどおかしいのか、サイードには理解できなかった。「なぜきみがぼくにキスをしたいと思ってはいけないんだ?」彼はきき返した。欲望がどんなに激しくても、彼女のほうが望まなければ、サイードはどんな行動にも出ることができない。ぼくには重んじるべき名誉というものがある。
「あなたは自分のことを、わたしなんかにはもったいない人間だと思っているのね」
「まさか」彼女の言葉にサイードはショックを受けた。「そんなふうには思っていない」
「住む世界が違うと言ったわ」
 彼の意図とは違う受けとり方をされてしまったらしい。「単なる事実を述べただけだ。人としての価値を判断するものじゃない。近隣の王族のなかには、二度とかかわりたくないと思う者もいる」
「本当に?」
「もちろん」
「わたしは?」
「これからもずっときみと一緒に過ごせたらとてもうれしい」いたって正直な言葉だった。
「でも?」
「でも、皇太子はホテルの客室係とかりそめの関係を結ぶことはできないんだ。実際の人生はおとぎ話のようにはいかない」たとえサイードがどんなに望んでも。
「それに、あなたはすてきでチャーミングな王子とは違うわ」
 不満げなアーリヤの言葉が、なぜかサイードの胸に引っかかった。「当然だ。ぼくは人間だからな」
「人間の王子様というわけね」
「そうだ」
 アーリヤは不思議そうに彼を見た。「あなたは傲慢にふるまおうとしているわけじゃないのね?」
「もちろんだ」
「でも、傲慢なのよ。あなたは自覚していないかもしれないけれど」
 いつの間にかサイードは笑っていた。「心に留めておくよ」
「怒らないのね」
「怒る必要などないだろう?」
「単なるホテルの客室係の意見なんて取るに足りないものだから?」
「いや、きみの意見はとても貴重だ」
「なんだか政治家みたいな言い方ね」
「ぼくは政治家だ」とはいえ、投票で選ばれる政治家とは少し違う。
 彼の生活において、駆け引きはとても重要だ。しかし、アーリヤは駆け引きの対象ではなく、彼の言葉は本心だった。彼自身にも分析できないさまざまな理由で、アーリヤの意見はとても貴重だった。
「政治家にしてはとてもセクシーだわ」
 それ以上欲望を抑えきれなくなり、サイードはアーリヤに顔を寄せた。「きみがそう思ってくれてうれしいよ」
「わたしにキスするつもりなのね」彼の唇が数センチのところまで迫ったとき、アーリヤはつぶやいた。
 サイードは答えず、ただ唇を押しつけた。一瞬アーリヤは戸惑ったようだったが、彼女の柔らかな唇はすぐに彼を迎えた。
 一瞬とはいえ彼女が戸惑った理由を、サイードは察した。一夜だけの情事はしないとアーリヤは言っていた。だから、これからの展開を警戒するのも当然なのだ。
 なんとも残念な思いで、彼は唇を離した。「ぼくたちが一緒に過ごせるのは一晩だけだ」
 どんなに不都合でも、サイードはやはり信義を重んじる男だった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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