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呪いが解けた夜

呪いが解けた夜


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

 死ぬほど好きなのに、あの悪夢がまた甦る。彼女は怯え、彼を、歓びを、愛を拒絶した。

 ■ニュージーランド北島のプライベートビーチ。そこは亡くなった大叔母がこよなく愛した自然の楽園であり、サンチアがケイドと出会った思い出の場所だった。ある年の夏、二人は激しい恋に落ちた。だが、少女時代に男性に襲われた経験を持つサンチアは、それがトラウマとなってケイドの求めに応えられず、彼の前から逃げるように姿を消した。三年後、大叔母の遺言を果たすため、彼女はビーチを訪れ、思いがけずケイドと再会する。不動産開発会社を営む彼はさらに魅力を増していた。“あなたはまた同じ過ちを繰り返すつもり?”サンチアは切なく悲しい問いを自分に投げかけた……。

抄録

「だが、法的に定められた相場はない」彼は淡々と告げた。「オプションの売買はビジネス上の判断であって、金額は当事者同士が相談して決めればいいことだ」
「それでも普通は形だけ――せいぜい一ドルくらいだわ。あなたは私を試しているのよ」サンチアはいったん言葉を切り、彼の顔を見つめた。「一ドルでけっこうよ。それでも売る気のないことに変わりはありません」
 ケイドがにやりと笑ったので、彼女はつい、よけいなひと言をつけ加えてしまった。
「あなたがいかなる脅しをかけても、どんなに気のあるそぶりを見せてもね」
 ケイドの顔から笑みが消えた。しかしサンチアが悦に入る間もなく、彼は威嚇するように彼女に近づいた。サンチアは著しく動揺したが、その場を動くまいとした。
「このことは」ケイドはサンチアの喉もとに親指を当てた。「契約書にサインしてもらうこととはなんの関係もない」
 彼はそのままそっと彼女の首に触れ、敏感なうなじのあたりを指先でゆっくりとなぞった。かすかな摩擦がなんとも言えないエロティックな感覚を呼び覚ます。
「そして君の瞳がこの前会ったときよりも微妙な緑色になっていることも、君の唇が奇跡のたまものだということも……」
 ケイドの目をのぞいたサンチアは、彼が指先の力を必死で制御しているのを感じた。彼女の中でそれまで眠っていた欲求が目を覚まし、待ち続けていた春をようやく迎える生命のように、じわじわと全身に広がる。
「ビジネスとはいっさい関係ない」ケイドは抑えた声で繰り返した。「君はとても魅力的だ。君が十六歳になったときからずっと、僕は君に惹かれ続けてきた。だが僕は女性を脅してベッドに連れこむようなまねはしないし、だまして誘惑したりもしない。僕は今、君に何かを無理強いしているかい?」
「いいえ」平板でぎくしゃくした声になった。
 サンチアの脈が速くなったことを、喉もとに当てた親指から感じ取ったケイドは、再び彼女の肌を撫ではじめた。サンチアは思わず身を震わせた。
 ケイドが顔を近づける。「逃げたければ逃げてもかまわないんだよ」
 サンチアはゆっくりとまぶたを上げた。「逃げたくないわ」
 ケイドの瞳が勝ち誇ったように輝いた。「それならいい」彼は唇を重ねた。
 大地震に襲われたかのごとく、サンチアの世界は土台ごと揺さぶられ、衝撃が全身を駆け抜けた。ケイドの求めに激しく応じる自らの勢いに圧倒され、彼女は考えることをあきらめ、息苦しいほどの喜びに身をまかせた。
 しばらくして、サンチアは我に返った。肩から腿までぴったりと重なるように抱きしめられ、ケイドの熱い高まりがはっきりと感じられた。
 サンチアが驚いて身を離そうとすると、ケイドは顔を上げた。「もう遅い」
「そ、そんなことないわ」サンチアは小さな声で言って、迫りくる恐怖の最初の一撃をはじき返そうとした。「私ったら、どうかしていたんだわ。放してよ!」
「なるほど、何も変わっていないわけだ」ケイドは冷ややかに言い、彼女の体を解放した。「キスはいいが、それ以上は決して許さない。なぜだ、サンチア?」
 彼女は顔をそむけ、震える手で髪をかきあげた。「二度とこんなことはさせないわ」
「そうだろうな。これほど君のことが気になるのは、たぶん夏が来るたびに君の成長を見守ってきたせいかもしれないな。そして三年前の夏、君に触れて鉄のバリアに締めだされたせいでもある。いったいなぜなんだ?」
 サンチアは目をしばたたき、混乱する頭の中をなんとか整理した。「そんなことより、早くオプション契約の書類を出してちょうだい。サインしたらすぐに帰るわ。そうすれば、お互い今起きたことも忘れてしまえるでしょう?」
「臆病者め」ケイドはなじった。
「そうよ」サンチアはぴしゃりと返した。ケイドに手を離され、満たされない欲望に体がうずく。「私は平穏な人生を送りたいの。そしてあなたは平穏からほど遠いところで生きている。私たちにはなんの共通点もないわ」
 サンチアは謎めいた表情を浮かべる彼から目をそらし、部屋の中を見まわした。
「書類はどこ?」
「向こうだ」ケイドはドアのひとつを顎で指し示した。「共通点ならあるさ。お互い、どうにかなってしまいそうな激しい欲求を体の中に抱えている。どうしてそこまでおびえる? 僕は決して君を傷つけたりはしない」
 パニックと耐えがたい屈辱感がサンチアに襲いかかった。でも、まだ大丈夫よ。彼女は自分に強く言い聞かせ、体をケイドの正面に向けた。「あなたとそういう関係にはなりたくないのよ」
「君は三年前にも同じことを言ったね。なぜだ、サンチア。情熱に身をまかせることがそんなに怖いのかい?」
 ああ、彼に何がわかるというのだろう。
「利用価値がなくなったらぽいと捨てられるおもちゃにはなりたくないのよ。あなたは気づかなかったでしょうけれど、あなたが私の脚の長さを吟味したり、私が笑ったかどうかを気にしたりしている間、私はあなたのあとを追う女の子たちを観察していたのよ。あなたは決して本気で逃げたりはしない。ほんのちょっと気のあるそぶりを見せて、彼女たちの心を傷つけるだけ。私はすぐにあなたの行動パターンを見破ったわ。そういうのは性に合わないのよ。私はもっと自立して、自分の力で、自分のために生きるわ」

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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