マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

別れの薔薇でなく

別れの薔薇でなく


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

 社長のラングは頑固で高慢、おまけに移り気で癇癪持ち。あんな人のどこがいいのかしら、と秘書のニコラは思う。ブロンド美人がお好みのプレイボーイで、新しい女性が現れるたび、それまでのガールフレンドに別れのしるしの赤い薔薇を送りつけてお払い箱にしてしまう。その花を手配するのは、いつもニコラの役目だ。それだけでもうんざりなのに、よりによって、今度は私の妹に目をつけるなんて! 妹は夫ある身。なんとか二人を引き離さなくては……。

抄録

 言われた時間にマンションへ行ってみると、寝ぼけまなこのラングがドアを開けてくれた。今の今まで眠りこけていたらしい。髪には寝ぐせがつき、ひげも伸び、そして、またもや素肌の上にガウンをひっかけただけの姿だ。
「朝食を頼むよ」ラングは言い、奥に引っ込んだ。十一時からの会議に間に合うように帰る、とアンドリューに約束して出かけて来たので、そんな時間はない。断るつもりで後を追って行くと、ラングはくるりと振り向いた。「ぼくは今からひと風呂浴びるんだが、背中でも流してくれるつもりか?」
 思わず棒立ちになったニコラをしり目に、ラングは悠然と浴室に姿を消した。ニコラは小声で、レディーにもあるまじき暴言をはいた。
 なんとか朝食をこしらえて寝室へ運びかけていると、間の悪いことにちょうどラングが浴室から出て来た。まだぬれてつややかに光っている体にタオルを一枚巻いただけの姿だ。ニコラはあわてて台所に引っ込んだ。ひとを、ただ働きの家政婦だとでも思っているのだろうか?
 着替えがすんだと思われるころあいを見はからって、ニコラは再び盆を手に台所を出た。寝室のドアをノックする。中からはすぐに返事があった。
「入りたまえ」
 だが、ドアを開けたニコラが見たのは、さっきのままの姿で鏡台の前に立ち、髪をとかしているラングだった。鏡の中で二人の視線が合う。ニコラは頬がかっと熱くなるのを感じた。
「その盆はベッドの上に置いてくれ」ラングの声はまだかすれているが、昨日とは比べものにならないほど良くなっている。ベッド脇のテーブルには、開けたばかりのティッシュ・ペーパーの箱がある。一日で一箱を使い切ってしまったようだ。
「のんだ薬が効いたらしい」ラングは振り向き、言われたとおりに盆をベッドの上に置くニコラの仕草を見つめた。
 ニコラが顔を上げると、長身のたくましい体がずかずかと歩み寄って来る。ニコラは奇妙な不安感にとらわれた。それに、どうしてこんなに頬が熱くなるのだろう?
「ガウンはどうなさったんですか?」ニコラは早口のかすれた声でたずねた。
「それがどうしたんだ?」ラングの声は笑いを含んでいる。「君は男の裸を見たことがないって言うのか? こいつは愉快だ!」
 その口調にニコラはかっとなった。「早く何か着てください!」
「参ったなあ。君は正真正銘の生娘らしい」
 火のように赤くなりながら部屋を飛び出そうとするニコラの腕を、いかつい手がわしづかみにして引き止めた。
「放してください」ニコラはつかまれた腕を懸命に引っぱりながら言い、相手をにらみつけたが、次に急いで目をそむけた。むき出しの広い肩と胸。これほどみごとな筋肉の持ち主だとは、今まで夢にも思わなかった。腕にも太腿にも筋肉が盛り上がっている。ラングはおもしろそうに目を細めてニコラを見つめた。
「怖いのか?」
「いいえ」ニコラはかすれた声でうそをついた。「ただ迷惑しているだけです。放してください!」
「ぼくが何をすると思っているんだ?」低い含み笑いに、ニコラはますます激しくもがいた。ラングのもう片方の手がニコラの顎にかかった。顔をそむけようとしても、力強い手にはばまれて身動きもできない。ラングは腰をかがめ、唇をニコラの口もとに寄せて、軽いキスをした。「さあ、もういい。震えなくてもいいぞ。もう終わった」
 ラングが手を離してベッドに向かったとたん、ニコラはもう寝室から駆け出していた。台所にたどりつき、壁に寄りかかる。頬が燃えるように熱い。ほてった顔を冷たい水で洗うと、ようやくいくらか気分が落ち着いてきた。
 勇気をかき集めて寝室へ戻って行く。ラングは朝食を終え、セーターとズボンをきちんと着込んでいた。「気分は良くなったのかね?」
 返事の代わりにニコラは言った。「もう会社に帰る時間ですから、失礼します」
「ルッチのパーティーには、弟といっしょに行ってくれ。ぼくは今週いっぱい静養するつもりだ」
 さっきのできごとにまだ憤然としながら、ニコラは会社に向かった。ラングがあんな振る舞いに及んだのは初めてだ。好みでもない娘に手を出すとは、いったいどういうつもりだろう? 一人でマンションに閉じ込もっていたので、退屈したのだろうか? もともと、本人が騒ぐほどの重病人ではないのだから、退屈するのも当然だ。しかし、だからといって、相手もわきまえずに性的魅力をひけらかすとは、なんという男だろう! ニコラはラングに対して、そしてまた、たとえ一瞬にもせよ相手の思わくにはまってうろたえてしまった自分に対しても、腹が立ってしかたがなかった。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。