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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・セレクト

裏切りの予感

裏切りの予感


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

 サンチャのもとに、ある日、匿名の手紙が届いた。そこに書かれていたのは、夫が秘書の若い女性と逢瀬を重ねていて、今夜も彼女の家で会うという衝撃的な内容だった。まさかとは思ったが、確かに夫のマークはこのところ帰りが遅く、夫婦の間もなんとなくぎくしゃくしているのは否めない。その夜、思い悩んだ末にサンチャは、秘書の家に電話をしてみた。すると、受話器の向こうから聞こえてきたのは、紛れもなく夫の声。あわてて電話を切り、目を閉じた。ああ、なんてこと……。嫉妬が全身をむしばみ、悲しみと怒りが心を苛む。その日から、サンチャの結婚生活は苦痛に満ちたものになった。

 ■ゆるぎない幸せなんて、嘘。愛し合っていたはずなのに、たった1通の手紙が日常を破綻させる――シャーロット・ラムの鋭利な筆で綴られると、何気ない夫婦生活も歪んだ硝子の迷宮に変わります。はたして真実は……愛する夫は本当に妻を裏切ったのでしょうか?

抄録

「笑わせるつもりはないさ」マークはネクタイを外しはじめた。
 胸の鼓動が速くなり、サンチャはさらにあとずさった。「ほかの女と浮気しているときに、わたしがあなたと寝るなんて本気で思ってるんじゃないでしょうね。出ていってよ、マーク!」
 シャツのボタンを外しながら、彼は物憂げにつぶやいた。「きみのベッドにするか、それともぼくのベッドにするか、どっちだ?」
「やめてよ!」サンチャは叫んだ。鳥肌が立ち、体がどうしようもなく震えている。
 シャツの前をはだけたままマークはベッドの縁に腰かけると、靴を脱ぎはじめた。いつもしているようにごく自然な身のこなしだ。冗談ではない、彼は本気なのだ。無理やり行為に及ぶ気でいる。そんなことをされたら、わたしは二度と立ち直れなくなってしまう……。
 サンチャはドアに突進したが、マークの動きはそれよりもすばやかった。恐怖にかられ、サンチャは夢中で彼から逃れようとした。だがマークはがっちりと彼女の腕をつかみ、強引にベッドへ引き戻そうとする。
 必死で抵抗しながら、サンチャは涙のにじんだ目で彼を見上げた。「やめてよ、マーク。手を放して。どうしてこんなまねができるの? 愛人とあなたを共有するなんてまっぴらよ!」
 彼はサンチャをベッドに押し倒すと、その上に覆いかぶさった。彼女は起きあがることもできず、よく知っている彼の体がもたらす心地よい重みから逃れることもできなかった。
 こんなふうに組み敷かれるのは、いつ以来だろう。ふいに体に震えが走った。彼が欲しい。欲しくてたまらない。そんな気持をごまかすことはできないし、欲しくないふりをすることもできそうにない。
 でも、彼を止めなければ。欲望に負けてしまったら、わたしは自尊心を失うことになる。彼がこんなことをするのは、わたしの自尊心を傷つけたいだけなのだ。彼はわたしに腹を立てている。そんな状態でセックスをしようとするのは、単に懲らしめのためなのだ。
 サンチャは顔をそむけ、全身の力を振りしぼって抵抗しようとした。「やめて! お願いだからわたしにかまわないで!」
 マークは彼女の顔を両手ではさむと、強引に自分のほうを向かせた。一瞬、二人の視線がからみあった。大きく見開かれたサンチャの目には怒りと反抗の色が見てとれた。一方、マークの目は何を考えているのか計り知れない不気味な光を放っている。
 なおも抵抗しようとするサンチャは彼に悪態をつこうとしたが、ひと言も発する間もなく唇をふさがれた。激しく強引なキスに全身の血が脈打った。
 なつかしいキスの味……サンチャはぼんやりと思った。唇は飢えたようにキスを返している。彼にキスされたのは、いつ以来だろう。
 なぜ、めくるめくようなこの思いを忘れることができたの? なぜ、愚かにも二人のあいだに邪魔が入るのを許してしまったの? なぜ、彼を失いかけていることに気づかなかったのだろう。
 フローラを産んだあと、わたしの官能は麻痺してしまったのだろうか。実際、彼に触れられるのも、愛を交わすのも気が進まなかった。来る日も来る日も、朝から晩まで母親と主婦の役目をこなすことに専念してきた。少しでも気を抜いたら、続けられないような気がしたから。そしてマークに注意を向ける心のゆとりもなく、セックスへの欲望も感じないまま彼をなおざりにしてきた。
 今、それがわずかながら氷解しつつあった。彼の手が顔から離れ、指先が胸のふくらみを軽く撫でると、サンチャの口からうめき声がもれた。長いあいだ封じこめられていた氷のなかから溶けだした情熱と欲望に体が熱く燃えている。だが、今夜は彼と愛しあうわけにはいかない。彼がほかの女性と関係を持っているあいだは、絶対に誘惑に屈してはならない。まずは彼女との関係にけりをつけてもらわなければ。
 手遅れにならないうちに彼を止めないと。今や体の芯が熱くうずき、彼と一体になってのぼりつめたいという思いで自分を失いかけている。
 サンチャは頭をねじ曲げると、彼を押しのけようとその胸を力いっぱい突いた。
「いやよ! あなたの好きにはさせないわ!」眠っている子供たちのことも忘れ、大声で叫んだ。隣の部屋でフローラが目を覚ましたのか、すすり泣く声が聞こえた。
 サンチャははっと身をこわばらせた。すすり泣きはしだいに大きくなってくる。
「マミー……マミー……マミー……」
 おびえたような声だった。怖い夢を見たに違いない。絵本かテレビで目にした怖いものが夢に出てきたのだろう。昼間、庭で目にしたものかもしれない。フローラは昆虫が嫌いで、蛾や蜘蛛、すずめ蜂、毛虫などを見るとヒステリーを起こす。それを知っている二人の兄は、妹の服の上にわざと蜘蛛や毛虫を落とし、妹が両腕をばたばたさせて泣き叫ぶのを面白がる。
「上の二人まで目を覚ますわ。行ってやらないと」サンチャは言った。「どいて、マーク」
「一度くらいほうっておけよ」彼の声にいらだちがにじんだ。「泣き叫びさえすれば言うことを聞いてもらえると思ってるんだから」
「ほうっておけないわ。わかってるくせに……」サンチャは彼の肩を乱暴に押した。
 むっとした声をあげ、マークはベッドの片側に転がった。サンチャはベッドから出ると、隣の部屋に走った。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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