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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・テンプテーション

記念日には花束を

記念日には花束を


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・テンプテーション
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジーナ・ウィルキンズ(Gina Wilkins)
 アメリカ南部は物語の舞台にふさわしい、魅力にあふれた土地だと語り、根っからの南部人を自負している。南部、とくにアーカンソー州北部とミズーリ州南部にまたがるオザーク山地の一帯を舞台にし、そこに住む誇り高い人々を描いた作品を数多く書く。長くシルエット・シリーズで活躍しており、ジーナ・フェリス、ジーナ・フェリス・ウィルキンズというペンネームも使っていた。現在は夫と三人の子供とともに、アーカンソー州に住んでいる。

解説

 愛ゆえに夫は妻を追い、愛ゆえに妻は夫から逃げた。
 ■愛するペイジと結婚して、今日でちょうど三週間、帰宅したゲイブを迎えたのは、一通の置き手紙だった。〈私をさがさないで。ほんとうにごめんなさい〉どうしてさがさずにいられるだろう? あんなに愛し合っていたのに。そして二年半もの間、彼はひたすらペイジをさがしつづけた。ついに遠く離れた町でペイジが見つかったという報告を受け、ひそかに彼女の自宅前で、本人が姿を現すまで待った。まちがいない、髪も目も色が変わっているが、あれはペイジだ。ところが目の前に立ったゲイブに、彼女は恐怖に引きつった顔を見せた。「お願い、私のことはほうっておいて。そばに寄らないで」
 ゲイブの目を見て、ペイジは彼の意志の強さを思い出していた。彼は今まで欲しいと思ったものを一心に追い求めてきた――大学進学も、事業も、私のことも。でも、どんなに彼が追ってきても、私は逃げなければならない。

抄録

 ペイジは試しに肘をつき、頭を起こしてみた。ゲイブは動かない。次に彼女はベッドの足元の方へと少しずつ移動しようとした。もしこのままゲイブの目を覚ますことなく、ベッドから出られれば――。
 ゲイブの手がペイジの腕をつかんだ。「やめるんだ」
 その彼を、ペイジは突き飛ばした。
 ゲイブは彼女にのしかかった。「どうしてもあきらめないんだな、そうだろう?」
「トイレに行こうとしただけだわ」ペイジはつぶやくように言った。「どいてちょうだい」気後れするような状態にあっても、ペイジは必死で落ち着きを保っていた。
 ゲイブは動かなかった。顔をすれすれまで近づけて、じっくりペイジの顔を眺める。「茶色の目だと感じがちがうな。だが、それが狙いだったんだろう?」
 ペイジは質問に答えなかった。「息ができない」彼女は代わりに文句を言って、ゲイブの広い両肩をむなしく押した。
「前にも、僕は君の上におおいかぶさったことがある。覚えているかい? そのときは一度も文句を言わなかった」
 ペイジはあえぎ声をのみこんだ。体はすでに思い出していた。ゲイブが彼女の上におおいかぶさっていたときのことを――そして、ペイジが彼におおいかぶさっていたときのことも。そして、もっと悪いことに、ゲイブの体もそのときのことを覚えているのが感じ取れた。
 ペイジは頬を紅潮させた。「手荒なまねをする必要はないわ」
「どうしてだい? 今のところ、ほかの手段はみんなだめだった。僕は君の答えに、頭がおかしくなったのかもしれない」
 ペイジは冷たく言った。「どいてよ、ゲイブ」
 その言葉を、ゲイブは挑戦状と受け取ったようだった。「どいてやるさ――その気になったらね」
 ペイジは唇をゆがめた。「ストーカー行為に襲撃、誘拐、脅しときて、今度はなに? レイプ?」
 ゲイブを恥じ入らせて、解放してもらうのがペイジの狙いだった。だが、ゲイブはそうする代わりに、片手で彼女の顔をつつんだ。ペイジの口元に自分の口を寄せる。
「これはレイプになるかな、ペイジ?」ゲイブが誘うようにささやいて、その息がペイジの唇をなでた。「ほんとうにそうかな?」
 反射的に、ペイジは唇を湿らせた。彼女はなにか言い返そうとしたが、声が喉に引っかかって出てこなかった。
 ゲイブの唇がペイジの唇をかすめる。そっと軽く。試すように。それからゲイブは、激しく、深く、むさぼるように彼女の唇を奪った。
 意志の力よりも欲求のほうが強く、ペイジはゲイブに抗うのをやめた。
 分別のあるペイジも、今はゲイブに反抗するだけの力は見つけられそうになかった。彼の首に両腕を巻きつける。ゲイブの抱擁に身を投げ出したとたん、あまりに長く抑えつづけてきた感情が体じゅうにあふれ出た。
 こうしてゲイブの腕に抱かれるのは、ほんとうに久しぶりだった。

 迎え入れるようなペイジのやわらかな体を抱きしめながら、ゲイブは頭がからっぽになったような気がしていた。かすかな苺の香りがゲイブの心を満たし、ペイジの甘い味わいに、全身が欲望で激しく脈打つ。
 こんなふうにもう一度ペイジを抱きしめることを、ゲイブはずっと夢見てきた。
 ゲイブはペイジの変わりようが見えないように、目を閉じた。彼の知っていたいとしいペイジをふたたび抱きしめているような、そんな錯覚を覚える。
 胸に手を触れたとき、ペイジがあげた小さな声には聞き覚えがあった。喉に唇を押しつけたときの、激しく乱れる呼吸のリズムもそう。最後に抱きしめたのが昨日のことだったかのように、ゲイブはなにもかもを鮮明に覚えていた。
 痛みも怒りも苦々しさも、情熱の嵐にのみこまれて色あせた。欲望に勝る感情など、ゲイブは感じたくなかった。
 今はほかのどんな感情にひたるのもつらすぎる。
「ペイジ」彼女の喉に顔をうめながら、ゲイブはつぶやいた。「久しぶりだよ」
 ゲイブの髪に差し入れたペイジの指に力がこもる。ゲイブの下で、彼女の胸が大きく上下した。
 ペイジが泣いていると気づくのに、ゲイブは少し時間がかかった。
 ゲイブは頭を上げた。ペイジは顔をそむけたが、その前に、ゲイブは彼女の苦悩に満ちた表情を見てしまった。
 ペイジは低い声ですすり泣いていた。やりきれない絶望感に満ちたその泣き声に、ゲイブの心は引き裂かれた。
「ペイジ、話してくれよ」ゲイブはもう一度頼んだ。
 ペイジは体をよじって、さらに激しく泣いただけだった。彼女はずっと、泣くことを自分に許してこなかったのだろうかと、ゲイブはいぶかしんだ。
 ゲイブは横に転がって、わきを下にして横たわり、腕にペイジをかき抱いた。彼女はしばらく抵抗したが、結局、ゲイブのなすがままに頭を彼の肩にもたせかけた。ペイジが胸も張り裂けんばかりに泣く間、ゲイブは彼女を抱きしめていた。
 ゲイブの目も潤んでいた。どういう理由でペイジがこれまでの態度をとっていたにしろ、彼女がひどく苦しんでいるのはたしかだった。腕の中のペイジはとてもはかなく、頼りなく思えた。彼女はこれまで孤立無援だったのだ。
 ペイジを見つけ出してから初めて、ゲイブは自分の気持ちではなく、彼女の気持ちだけに注意を向けていた。そして、この二年半、悩み、傷ついていたのは自分だけではないと悟った。


 *この続きは製品版でお楽しみください。

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